「野ブタ。をプロデュース」2010/04/10 21:13

 TVドラマにもなった、白岩玄のデビュー作。アイデアが面白いですよね、いじめられっ子をクラスの人気者に仕立て上げるっていう。
 すぐに読み終わりそうだと思って図書館で借りたら、本当に早かった。読むのん遅い私でも二時間くらいで、ティーンズ小説かネット小説かと思うほど。いまどきの小説は普通に文章の中に(笑)なんて出てくるのですね。
 分かりやすいのですが、ボキャブラリーの貧困さが…まあ、高校生たちの会話の、その薄っぺらさがミソだったりしますが。
 この間観た映画「パレード」と同じ感じなんですね。近すぎず遠すぎず、なヌルくて居心地のいい人間関係を、器用に築き上げていく主人公。
でもそれじゃあ、退屈なんで、いじめられっ子のプロデュースを面白がって始めてしまうのです。その過程は、確かに小気味良いものがあるのですが。
 正直、頭が良くて何でも器用にこなして覚めた目で周りを見下してる主人公は、好きになれませんでした。言いたいことは良く理解できるんですけどね。私自身がそんな無難に調子よく立ち回ることのできない質なので。クラスの人気者だったはずが、一つの綻びでふわふわふと作り上げた地位が崩れていく様子も、なんだか不思議な感じでした。
 したたかで、脆弱。