「乙女の密告」2010/09/01 23:20

 日中は、家事をしたり昨日買った「輝け甲子園の星」をめくったり。
 夕方から、図書館へ。雑誌コーナーで文芸春秋を。

 筆名の赤染晶子は日本詩歌文学を連想させるのですが。
 小説の舞台は京都外大のドイツ語スピーチゼミで、題材はアンネの日記、そして形式は面白おかしくデフォルメされた学園コメディ、という芥川賞受賞作。
 物語のヒロインの憧れであるスピーチクラスの先輩・麗子様。彼女が「乙女」にあるまじき行動を取ったと噂が流れ、そしてヒロインもまた、乙女たちの噂の餌食となってしまう。
 ガッカリな事実よりふわふわした便所の噂が大事な乙女たちに、真実を訴える術はあるのか。
 バラをくわえて人形に話しかけるドイツ人教師が主張する重要なこと、とは何か。
 麗子様の言う、忘れてしまってはじめて思い出せるもの、の意味するところは。
 麗子様は、尋常でなくスピーチが好きだったのにもかかわらず、沈黙することで自らの潔白を乙女たちに納得させます。
 そしてヒロインは、マイクの前に立った。忘れることの恐ろしさを胸に、思い出し、宣言(密告?)したのです。作中で言うところの、「血を吐く」。
 些細で無意味な差異によって区別(差別)したがる乙女たちを、ユダヤ人迫害になぞらえているのは分かるのですが。
 ヒロイン=乙女 と、アンネ=ユダヤ人の対比なのでしょうか?なんか、ここらへんがよく分からなくなってきます。乙女=真実ではないからです。
 もしかしたら彼女は、「乙女」などという曖昧なものから卒業して、彼女自身の真のアイデンティティを得たのかもしれません。

パンフをゲット2010/09/02 23:54

 冷たいものを摂取しすぎてはよくありません。
 分かってはいるのですが、消費量が多くなる。
お風呂上り、抹茶ミルクに氷を浮かべて。

 ド・ラペで、大阪クラッシックのスケジュール・開催地マップを手に入れてきました。
 ネットでも予定は確認できるのですが、やっぱ紙に印字されたものでないとなんか見にくいのです。
 こうして手に取ると、わくわくしてきます。一週間、はしごする気マンマンです。
 日曜日は整理券ゲットするために、早起きします。
 初日はワーグナー。

初日はワーグナー2010/09/05 22:42

 整理券配布は8:30開始で、私が市役所前に到着したのはその45分前でしたが、その頃にはすでに350人ほどが列を成していました。
 第五回大阪クラシック第1公演の席を確保しようと、日曜日の朝早くからやってきた人々。
 立ち見はシンドイと、昨年骨身に沁みたので、私もがんばって早い時刻に地下鉄に乗りました。
 前から22番目、真ん中辺りをゲットして、図書館前で持参してきた朝食を食べても、11時の公演開始までまだ2時間もある。中央公会堂でのショパン公演の当日券があったのでそちらに並ぼうかとも思ったのですが、あまりに暑くて(思いっきり日向に列が出来ていて)いやになって。
 木陰で、持参した文庫本を開いたり、日傘をさしてそこいらを散策したり。淀屋橋界隈は、市役所や図書館や中央公会堂だけでなく、そこここに、古めかしくてどっしりした建造物がたたずんでいますね。


第1公演:大植英次指揮、大フィルメンバーと相愛大学オーケストラ
 オープニングは、ワーグナー「ローエングリン」第3幕への前奏曲。私はオープニング公演初めてだったのですが、やっぱりメジャーで華やかなのをもってきます。
 大植監督の挨拶、大植監督デザインの銀杏ネクタイを市長に進呈。
 ビゼー「アルルの女」第一組曲「前奏曲」「メヌエット」第二組曲「メヌエット」
 「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕への前奏曲、で締めです。

 私が持っているワーグナーのCDより若干テンポが遅くどっしりした感じのマイスタージンガー。
 大フィルメンバーも混じっているものの、ほとんどが相愛大学オケでの演奏です。
 フルートの音色が大変美しかったのが印象的でした。

 明日は、難波でチェロ。

難波でチェロ、そしてスイスホテルへ2010/09/06 23:54

 夕方の公演までにだいぶ時間が空いていましたが、その間は心斎橋や難波界隈をうろうろ歩き回っていました。水掛不動尊にお参りしたり。
 それから、パークスのお庭のベンチで風に吹かれつつ読みかけの本を開いて。


第16公演:チェロ 石田聖子 ピアノ 高木洋子
 ちゃんと長袖の上着を持ってくるのだったと後悔するほど(寒がり)店内は冷房が効いていましたし、ちゃんとペットボトルにお茶入れて持ってきてはいたのですが、それでも飲み物を注文するのは、通常のカフェ営業をストップしてまで公演会場を提供してくださるお店の皆さんへの感謝の気持ちで。
 席は(他所の会場のパイプ椅子に比べて、座り心地がよいのです)舞台から一列目、ですが、前ではなく、真横。しっかり曲を聴けばいいのに、真ん前で音を奏でる弓の動きに目を奪われてしまいます。あんなんから音が出る、不思議。
 フォーレってあんまり聞かない作曲家さんですが、チェロ曲の定番だそうで、舟歌とエレジー、この二曲は確かに、聞き覚えありました。サン=サーンスの白鳥も。
 それからヴィラ=ロボスの黒鳥の歌。なるほど、なんか暗黒な感じ。
ビアソラ 3つの小品Op.4よりパストラル
ホッパー 演奏会用ポロネーズOp.14

第24公演:チェロ 庄司拓 ピアノ 右近恭子
 18:00からの庄司さんのチェロを聞きに、再びカフェ・ド・ラ・ペ。
 フォーレ特集。「シシリエンヌ」「夢のあとに」「蝶々」…庄司さんの奥様は蚊が飛んでいるようとおっしゃったそうですが、ちゃんと蝶の舞うように聴こえましたよ。
 それから、庄司さんの一押し、マイナー曲だけど「外れる感じが良い」そうな。
 チェロ・ソナタ第2番ト短調Op.109
 朝は右横からでしたので、今度は左横から、力強く美しいチェロの響きを堪能。
 これで今日は帰ろう、と思ったのですが、ふと見れば、カフェの出口に大植監督が!本当にあちこちの会場に現れるんや!帰って行くお客さん一人一人と握手。こんな間近でお会いできるとは思っていませんでした。もっと気の効いた言葉を掛けられれば良かったのですが心の準備がないとダメなんです。
 あんまり嬉しかったので、予定外に、スイスホテルの6階へ。

第25公演:ヴィオラ 小野眞優美 コントラバス 松村洋介
 チェロはまだ、宮沢賢治やら映画「おくりびと」で主人公が弾いていたりで、まだ一般になじみがある方でしょうが。
 正直私にはヴィオラはバイオリンと区別付きませんし、コントラバスを改めて近くで見て「うわー、マジでおっきいなあ」なんて思ったり。
 そんな、ちょっとマイナーな組み合わせのデュオを聴くのもこういうお祭りだからこそ。
 時間的に座席に座るのは無理だろうと思っていたのですが、6階から数階分吹き抜けのホール。6階の席は埋まっていましたが、7階まで行けば座れました。
 たまたま通りすがったお客さんが足を止めて聴く機会がある。それもいいものです。時折台車やワゴンがシャカシャカ通り過ぎたり大植監督がライトを持ってやってきたり(笑)するのはまあ、ご愛嬌。
 クレメンティ「ソナチネ」
 ディッタースドルフ「ヴィオラとコントラバスのためのソナタ」
 なんとなく、舞踏会やらパーティーのBGMやらでかかっていそうな、上品な朗らかさがある曲。前に聴いたフォーレのチェロが哀愁漂う感じだったのですが、こちらではホテルの豪華な舞台と相まって、優雅でリラックスしたムードで聴けました。
 帰りに、オバちゃんたちの列に並んで監督のサインを求めようか迷った末に、そのまま帰宅しました。

 明日は、中之島で弦楽。

中之島ダイビルへ2010/09/07 23:53

 昨夜はちょっと疲れたのか。
 寝坊してしまったので、午前中の公演は無理せずに。
 代わりに市役所によって、パスポートの申請書をもらいました。

第30公演:ヴァイオリン 佐久間聡一、浅井ゆきこ ヴィオラ岩井秀樹 チェロ松隈千代恵
 ダイビル会場は初めてでしたが、ここは座席がありません。折りたたみ椅子を持ってきている人や、床に何か敷いて座ったり、立ち見。
 二階に行って、立っていたほうが良かったかなあ。
 普通のビルで平日でお昼時で、人々のざわめきや地下鉄アナウンスが聞こえてくるのはしょうがないんですが、私が座っていた付近に、黙っていられないお子様が2人も居てはりますと、集中できない。
モーツァルト弦楽四重奏曲 第19番ハ長調「不協和音」
 ただでさえ、モーツァルトさんはバックミュージックっぽくってしっかり耳を傾けにくいのに。第三楽章の前に一人は母親が連れて行ってくれたので、そこからはちょっとマシに鳴なりましたが。
 実は、びっくりしたのは、アンコール演奏の方でした。見物していたところを突如前に呼び出されて演奏しはった方、あれドナタでしょうか。尻が痛いのも吹っ飛ぶ、凄くいい音。
 ……やっぱり、午前中から聴きに行けば良かったと、ちょっと後悔。

第33公演:大フィルチェロアンサンブル
 本日の目玉。このチェロばかりの演奏を聴くためにワザワザ座席もなく雑音も多い会場まで足を運んだわけです。近藤浩志さんのやわらかいトーク。昨日聞いた石田さんと庄司さんも。
 ポジション取りは大切です。同じダイビルの中の公演なので移動時間もなく、前の方に腰を下ろし、先程よりずっといい状態で、リハ演奏から楽しませてもらいました。
 12人編成なのを今回は8名で、クレンゲル「讃歌」Op.57
 ポッパは昨日も聞きましたが、今日は「レクイエム」
 賢者3名プラスそれぞれの馬(お付)という役割分担、カルザス「東方の三賢人」
 南米のノリとバッハの端整さを合わせたヴィラ=ロボス「ブラジル風バッハ 第1番」
 アンコールは、「うーさーぎーおーいし」……なんて豪華な「ふるさと」
 高音から低音まで幅広い表現力、ちょっとの雑音なんか目じゃない力強さ。
 大変良かったです。これは是非とも、来年以降もやってもらいたいです。近藤さん、今回は第1楽章だけだったブラジル風バッハ、次は第2楽章お願いします。

 本当は夜の公演も参加しようと思ったのですが。空模様が怪しい。
 台風が接近しているのですね。今日は原付で来ていたので、降られると嫌なので帰りました。
 明日はフルート、の予定なんですが。お天気が……

本町―心斎橋2010/09/08 21:55

 台風接近の折、日傘の代わりに鞄には折り畳み傘。地下鉄の本町で下車。


第40公演:ヴァイオリン小林亜希子 ヴィオラ川元靖子 チェロ庄司拓 ピアノ藤井快哉
 お寺でコンサート、というのは昨今よくあるそうですが、聴きに行くには初めて。本願寺津村別院(北御堂)、でっかい、天井高い。石段をふうふう登り、前列横手の席へ。冷房はあるようなないような、上着を脱いで。
 シューマン ピアノ4重奏曲 変ホ長調Op.47
 今年は生誕200年でショパンイヤー、シューマンイヤー。大阪クラシックでも両者のコンサートが多いのですが、今日やっとシューマンのピアノ曲が聴けました。躁鬱病になる前の、クララへの愛をこめたメロディー。
 アンコールは、「G線上のアリア」

第42公演:フルート 野津臣貴博 ヴァイオリン 梅沢和人 ヴィオラ 上野博孝 チェロ林口眞也
 座席は無いだろうと思って汚れていいジーンズはいて行ったのですが、時間に余裕あったのが幸いでした。20脚ほどの丸椅子の一つ、前から2列目の端に腰を降ろして、お昼ご飯のベーグルを齧る。
 野津さんのフルートは去年も一昨年もソロで聴いていてとても良かったので、今日の四重奏をとても楽しみにしていました。
 モーツァルト フルート四重奏曲第2番 ト長調K.285a
 このメンバーではまだ演奏していない最後の四重奏曲であり、梅沢さんの復帰コンサートなのだそうです。
 そんなに大事な演奏をクリスタ長堀の雑踏の中でやらんでも、と思ったのですが。
 北御堂に比べて低い天井の下に、水面の波紋のように広がるメロディー。雑音だって呑み込んでしまうほどのまろやかな音色。
 野津さんは今日も紅白の派手なシャツに赤いネクタイ。しかし目を潤ませて何度も瞬きしてるんですよ。
 例によって大植監督が乱入してくるわけですが、観客に大クラ団扇を配るくらいならまだしも、トークの方は野津さんか他のカルテットの方たちに喋ってもらえばいいのに、とこの時ばかりは思いました。
 続いて、同じくモーツァルトで、最もメジャーなフルート四重奏曲だそうです。第1番ニ長調 K. 285
 フルートの旋律を堪能。
 アンコールは「時の流れのように」……熱演。万感ってやつですね。

第44公演:ヴァイオリン 三瀬麻起子 チェロ 近藤浩志 ピアノ 仲香織 クラリネット ブルックストーン ファゴット 宇賀神広宣 トランペット 秋月孝之
 再び北御堂。時間的にはギリギリでしたが、午前の公演の座席数からしてなんとか座れるかなあ、と思ったのですが、立ち見。扇風機の横の壁にもたれて。
 平日で、演奏曲もマイナーなのに、みんなよく集まるなあ。
 マルティニュー「調理場のレビュー」
 曲解説は秋月さん。マルティニューはチェコの人でもとはバイオリニスト。でも学校で好みがかわってしまったのでしょう、全然勉強しなくて退学、作曲の道へ。今回演奏するのはジャズバレエの曲だそうで、主人公はポットで、鍋の蓋と結婚している……シュールだよ!
 皆さん白エプロンの調理場スタイルで、楽しい演奏でした。
 それから、オズの魔法使いより、「Over the Rainbow」を、近藤さんの編曲で。

第45公演:ヴァイオリン 佐久間聡一 チェロ 織田啓嗣
 またまた、御堂筋を心斎橋へ。オカムラ大阪ショールーム、演奏者の真後ろの床にペタンと座って。
 ヘンデル ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ第4番
 ヘンデル(ハルヴォルセン編) パッサカリア
 大フィルチェロメンバーで最年長の織田さんと、28歳の佐久間さんとの競演ですが、ヴァイオリンとチェロとでおしゃべりしているよう。
 そして、司会進行は、よく喋るヴァイオリニスト。長原さんとおっしゃるそうで長原さんとおっしゃるそうで、お若いのに大フィルの主席コンマス。
 午前中の弁護士会館公演のメンバーで、アンコール。

 今日はフルートで締めても良かったのですが、もう二つがんばって、会場移動しました。
 明日は場所は一箇所だけ、カフェ・ド・ラ・ペで3つ。

カフェ・ド・ラ・ペで3つ2010/09/09 23:46

 重陽の節句。台風が去って、朝夕の風が涼しくなってきました。
 今日はどうせ習い事で行くことになるので、昼からずっと難波です。
 移動のためにせっせと歩くことはないので、サンダル履きの軽装。公演と公演の間の時間は、パークスの木陰で小雀を愛でつつお弁当にしたり、秋物のお洋服や靴を見て回ったり。

 相変わらず平日の昼間から、立ち見の出る盛況。カフェ・ド・ラ・ペはやっぱり、演奏聴くのにいいんですよね。涼しくて静かで、席は120用意してくれているし、パイプ椅子より座り心地良いし、待ち時間の間に飲み物注文できるし。昼間からビール頼む人も。
 何よりも、御堂筋の青い公孫樹をバックにしたステージの、客席から近いこと。早めに並んで前の方に座れば、本当に目の前で演奏を楽しめるので、この点では本格的音楽ホールよりいいかも知れません。
 演奏家の方たちには、御堂筋の南の端っこまで移動してくるの、大変かもしれませんが。しかし今日も素晴らしい演奏で、命の洗濯させていただきました。

第54公演:ヴァイオリン 橋本安弘 チェロ 林口眞也 ピアノ橋本佳代子
 メンデルスゾーン ピアノ三重奏曲第1番 ニ短調Op.49
 12時からの公演は、前方壁際のゆったり一人がけソファで聴いていました。
 アンコールはとっても甘やかな「トロイメライ」。シューマン・イヤーですね。

第57公演:ヴァイオリン 佐久間聡一、田中美奈 ピアノ 鈴木華重子
 モシュコフスキー 2本のヴァイオリンとピアノのための組曲
 全然知らない作曲家さんでしたが、素敵でした。浪漫派、なんだそうです。
 アンコールのバッハまで、なんかロマンチックに聴こえてきちゃう。

第60公演:トランペット 秋月孝之 ピアノ 仲香織
 今年は弦を聴くことが多いですが、トランペットも好きです。かっこいい。
 昨日北御堂で「調理場のレビュー」をご一緒されていたお二方。秋月さんは今日も、昨日と同じくトークのためのアンチョコを用意していながら、忘れてきてしまったという。
 仲さんは、今日聞いた三人のピアノの中で一番私の好みかな。別に、昨日メイドさんルックをなさっていたからってわけではないです。
 曲は、
 アーバン チロルの歌による変奏曲
 サン=サーンス 変奏曲 ホ長調
 アンダーソン トランペット吹きの子守歌
 シャルリエ コンクールのソロ
 で、アンコールが「庭の千草」

 明日は、朝起きれたら、なんばCITY。日本人なら、ベートーベンでしょう。

ベートーベン?ベートーヴェン?2010/09/10 23:55

 寝不足気味(学生さん、夜中に騒ぎすぎ)で、筋肉痛で、しかもこの日差しの下、日傘を忘れてきてしまうという、痛恨のミス。
 公演の待ち時間でスウスウ眠りこけて、五時過ぎに帰宅してからもまた寝てしまう。

第63公演:ヴァイオリン 中西朋子 ヴィオラ 若松芳 チェロ 石田聖子
大阪クラシックロゴのTシャツにジーパン姿な女性トリオ。
 ヴェートーヴェン セレナード ニ長調Op.8
 なんとなく、日本人の感性に合っている様な気がするのです、ベートーベン。
 ですから、楽しみにしていたのですが。CTIY地下の、旧ロケット広場。ここもまた人通りが多いのは仕方ないとして、オバちゃん達立ち話するならもう少し離れたところに行ってよ、と思いつつ聴いていました。
 それと、メッチャ気になったのが、演奏に合わせて?フルフル手を動かしているオッチャン。きっとノリノリで音楽に没頭しているのでしょうが、なんか不気味で。
 演奏後に「演奏中の写真送って下さい」と石田さんがおっしゃっていましたが、でもいいんですか、演奏中にフラッシュたいて写真撮影するの?
 こういう所は、演奏者さんに接し易いのはいいんですよね。プログラムに石田さんのサインもらったお爺ちゃんの、嬉しそうな顔。

第68公演:ヴァイオリン 松川朋子 チェロ 石田聖子 ピアノ 松田みゆき
 ドビュッシー ピアノ三重奏曲 ト短調
 こう毎日大クラ通っていると、同じ演奏者さんにあたることも出てきますが、石田さんのチェロは今日二回目、全部で四回目かな。
 その石田さんがおっしゃるには、「演奏してると、暑いんです」。冷房効かない上に、ちょうど日が差していますから。聴くほうも移動は暑いですが(北御堂の石段、長くて日差しいっぱいで)、演奏は長くて体力使いますからねえ。
 それでもアンコールで、ベートーヴェン「街の歌」

第69公演:ヴァイオリン 鈴木玲子、浅井ゆきこ ヴィオラ 吉田陽子 チェロ 松隈千代恵
 CITYや北御堂では早くから並んでいたので前の席を確保できたのですが、クリスタ長堀は時間ギリギリなので、立ち見。
 ヴィオラの吉田さんは、活発な感じが印象深い(毎年最終日に弁護士会館でモーツァルトやっいて覚えてる)お姉さんですが。「どうぞ団扇で扇いでください。そして私たちに風を送って下さい」
 楽章の間にそんなこと言うの初めて聴きました。北御堂よりは涼しいのですが、やっぱり演奏すると、暑いですよね。
 ラヴェル 弦楽四重奏曲 ヘ長調
 弦を弾く、ぽぽぽぽぽんとした弾き方が印象的な曲。
 そしてすぐに次の公演へ向かう吉田さん。

 だんだん疲れてきているのですが。
 明日早起きして、最終公演の整理券を手にすることができるでしょうか。

第5回大阪クラシック最終日2010/09/12 00:23

 寝坊しました。8時を回っちゃうともう、座席指定券を取るのは無理ですね。
 大クラ最終日は、残暑の日差しを日傘で凌ぎ、ガッカリと長蛇の列の後方へ並ぶところからスタートです。

第75公演:ヴァイオリン 中西朋子、浅井ゆきこ ヴィオラ 吉田陽子、西内泉 チェロ 松隈千代恵
 11時からの公演なんですが、その2時間も前からちゃんと、中に入れてくれました、弁護士会館。席を確保して、朝ごはんのベーグルかじって。
モーツァルト 弦楽五重奏曲第4番 ト短調K. 516
 毎年、弦楽五重奏を1番から順番にやってきて、今年が4年目。
演奏は美しいのですが、楽章と楽章の間にイチイチ演奏位置を変えるという…日が差して暑いので、太陽の位置変化に合わせて移動するそうです。
 仕方ないですが、全楽章通しで演奏するなら、間を空けずにやってほしい気もします。

 枚方まで行って、友人とランチ。
 それから淀屋橋の大阪市役所まで戻って来て、四時半からの公演に行くつもりだったのですが、30分前には「もういっぱいで、入場制限をしているんです」……ああ、やっぱり土曜日は平日より人が多いんだ。
 仕方ないので、次の六時半からの公演まで、文庫本を開いたり、ランチ食べたお店で頂いたマスカットで水分補給したり。

第86公演:フルート 野津臣貴博
 最終公演の一つ前は、おなじみのフルートソロ。
 野津さんはサービス精神たっぷりの方なので、定刻になる前からお客さんにトーク!マエストロのしゃべりが聞き取りにくいのは「耳栓を使うといいですよ」……最早ネタとなっています。
J.Sバッハ 無伴奏チェロ組曲 第3番 ハ長調 BWV.1009
 近年、古楽器による演奏が流行りだしてから、特定の楽器で演奏するはずの曲を別の楽器で演奏することがやりやすくなったそうで。
 そういうわけで、チェロ組曲をあえてフルートで。
そんな実験的なものばかりでもアレなので、もう一曲は、
J.Sバッハ 独奏フルートのためのパルティータ イ短調 BWV.1013
 やっぱり普通のフルートの定番の方が、なんか馴染というか、慣れた感じ。
 今年の大阪クラシックは全体的に、皆さん時間厳守というか、駆け足というか。まあ、各会場の都合もありますし、スケジュールが詰まっていたりすると、それは正しいのですが。
 野津さんも、毎年これでもかってくらいたくさん喋ってアンコール曲やってくれるのですが、今年は何か言われているのでしょうか、「急いでやりましょう」って。
 まあ、すぐに最終公演がありますからね。

第87公演:指揮 大植英次 管弦楽 大阪フィルハーモニー交響楽団
 立ち見でしたが、位置が良かったです。去年みたいに座席の横の方だと、ほとんどオーケストラが見えないのですが、今年は後方とはいえ座席の正面。前の人の頭が視界に入ってこない分、座席に座るよりも舞台がよく見えるくらいです。
 今日はがんばって公演をハシゴしなかった分、疲れも乾きも無かったので、一時間半、立ち見でも十分楽しかったです。
R.シュトラウス 交響詩「ドン・ファン」Op.20
 曲が終る前に、早まって拍手しちゃう人も居ましたが。
チャイコフスキー 幻想序曲「ロメオとジュリエット」
 曲のラストを静かに終らせるバージョンで。
大阪市歌
 プログラムに譜面と歌詞を付けて貰っても、歌えません。堺市民なんで、初めて聴く曲。
 それに先立って、大阪市長ご挨拶。例の公孫樹のネクタイで。今回のテーマ?「ハーモニー」にかけて「ケンカしている場合じゃないんですが」(笑)…笑い事じゃないか、府民は。
 そしてまたもマエストロが、変なものをご披露して……大阪市マーク入り衣装。
ラヴェル 「ボレロ」
 かつて、これほどシンバルが注目された「ボレロ」があったでしょうか。大阪市内で日本で唯一シンバル制作をなさっている小出さんをゲストとしてお呼びするなんて、誰の発案でしょう?
 オーケストラという表現形態によってしか成り立たないのが「ボレロ」。オケがよく見える位置で、本当に良かったです。
 最後はみんなで「夕焼け小焼け」「七つの子」「ふるさと」を歌って、祭り囃子で、今年の祭りが締めくくられました。

 大フィルの皆さん。ボランティアスタッフのみなさん。ありがとうございました、お疲れ様です。

「風花」2010/09/13 17:30

 カザハナ、それはなかなか地面には落ちずに中空を漂う雪。
 そんな感じで、ヒロインののゆりは夫が浮気していると知っても、仲直りすることも開き直ることも別れることも出来ずにウダウダし続けている、お話。
 のゆりの年齢設定は私より少し上なんですが、本を開くと、えらく幼い声がします。「ゆりちゃん」「まこちゃん」「たくちゃん」という人物の呼び方のせいもあるでしょうが。
 なんていうか、このヒロインのグズグズして反応が鈍くて世間知らずで想定外の事態にはホンのちょっとしたことでも対応できずに固まってしまって、というあたりが、イライラするんだけど、他人とは思えない。なんか、分かってしまう。
 各章のサブタイトルは、本題を含めて全て季節感のある言葉。時の移ろいの中で、鈍いながらも混乱しながらもポツポツとわいてくる、のゆりの感情を描く。大きな感情の爆発とかがないので、起伏の乏しい微妙な変化を小説にするわけです。
 なかなか話が進展しないのは、自分の気持ちを掴みかねたまま、動けないから。
 川上弘美の小説にはありがちですが、夫である卓也の方の心情変化はのゆり目線から伺うばかりで、その内実にまでは踏み込みません。物語的には、彼の身に起きたことの方がドラマチックな気もするのですが、社内不倫、としか分からない。
 この人もある意味では真面目な人なので、本命である不倫相手が一番なんだけど、奥さんのことをポイと捨ててしまうこともできないで。
 ラストシーンで、のゆりは自分が赤信号を渡っていることに気付きます。「止まらずに、このまま渡っちゃえばいいんだ」そう思って駆け出す姿に、やっぱりなんか共感できるのです。
 個人的に、家出した時とか仕事辞めたときとか、そんな心境だったなあって、しみじみ思いました。