「コドモノクニ」2010/10/06 11:22

 長野まゆみ、珍しく少女が主人公で、全部で三篇。大阪万博に行く、という話が出たので、その頃の時代設定なんでしょう。新幹線を珍しがり、ケータイとゲームが無い昭和の子供たち。でもノスタルジーって感じはあんまりしません。コドモ目線なので情緒的に書いてるわけじゃないんですね。
 作者の子供の頃考えていたことかエピソードとか、そのまんま書いてるんじゃないかと思わせる、具体性バリバリな世界。

「小鳥の時間」は、マボちゃんは中学生。オンナノコのしゃべりの取り留めのなさ、話の飛んで行き具合に付いて行くのが大変。表題どおり、愛らしく元気な小鳥の成長を見守るところもあるのですが、ピーチクパーチク、少女たちのお喋りのイメージが強いです。
 可愛いものを収集して、男の子の噂して、ちょっとでもオシャレしようとして鈴やら刺繍やらが流行り、それを先生が禁止して。
 中学時代、周りの子はそんな感じだったけど私自身はそういうのに疎くって、横目で眺めていた。
 
「子どもだっていろいろある」ではマボちゃんは小学校四年生。これもまた小学生女子の書いた日記のような、でもこちらの方がまだ出来事単位でまとまっているので読みやすいです。
 香りつきの鉛筆とか、あったなあ。クラスの男の子は確かにアホやったしスカートめくりとかしてた。
 でも、黒板に男子の名前を並べて相合傘を書くことはなかったよなあ。

「子どもは急に止まれない」マボちゃん五年生のお話ですが、どちらかというと、悪ガキのバンと転校生のセイちゃんのお話。セイちゃんは町から町へ旅を続ける見世物小屋の子で、この子の存在が特殊で、先の二編に比べてフィクションっぽい。