「夜市」2010/11/01 19:12

 人は何故、自ら怖い思いをしようと恐怖小説なんぞというジャンルを作るのでしょうか。

 日本ホラー小説大賞っていうと、どう考えてもこれはSFやろって言いたくなる第2回の「パラサイト・イブ」とか、あと短編で第6回の「ぼっけえ、きょうてえ」が怖かった。
 「よいち」、と読む、常川光太郎の短編。これはH17年、第12回大賞。
 妖怪たちが集い、何でも買うことのできる夜市。子供のころ、そこに迷い込んでしまった兄は、人攫いに弟を売って買い物をしてしまった。歳月が経ち、再び夜市に行く機会を得た兄は、弟を買い戻そうとして人攫いの店を探す。
淡々とした語り口ですぐに読み終わります。ホラーって言うより幻想的なファンタジー色が強いです。怖くはないけど(水木しげるあたりに作画してもらったら怖くなりそう)題材が面白く、ストーリーも軽やかにひねってあって、お話にひきこまれます。
 もう一本収録されてあった「風の古道」のほうが私は好きです。
 異界に入り込んでしまった登場人物が出られなくなったり、そこで出会った人の数奇な運命が語られるあたりは「夜市」と同じ形式なんですが。
 こちらのほうがページ数が多く、人物描写が丁寧で感情移入しやすいんです。レンさんが格好良いです。

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