「太陽の塔」2011/01/17 15:48

 森見登美彦作品は初めてです。「夜は短し歩けよ乙女」で本屋大賞でしたっけ。
 こちらはデビュー作なんですが、好き嫌いが別れそうです。
 奈良生まれ大阪育ち京大農学部、という、作者プロフィールとおんなじ経歴を持つ大学五回生の、実にダメダメな日常を綴った手記。
 肥大しまくった自意識と虚勢によるもって回った言い回しで「華」のない男たちの生息が描かれるのですが、結構ウザいです。研究、と称して元カノをストーカーして長大なレポートを作成する、とか。
 このままストーカー日記が続いたらキツイなあ、と思ったのですが、幸いその辺の詳細は語られず、別のしょうもない話題にぽんぽんと移っていきました。コキブリキューブの応酬は笑えました、一生懸命なくだらなさが。
 第十五回ファンタジーノベル大賞受賞作品なのですが、半分以上読み進めても、どこがファンタジーなんかぜんぜん分かりませんでした。まあ、京都という舞台はそもそもファンタジックなんだ、とか太陽の塔なんて存在そのものが異次元ファンタジーだ、とかモテナイ学生のウザい妄想や夢は悲しいファンタジーじゃないか、と言えなくもないかも。
私も、「華」のある大学生活おくってたわけじゃないですが。
 モテナイ若者というのは、そんなにもクリスマスが憎いものなんでしょうか?
 京都に住んでる人にはなかなか面白いかも知れません。この辺の地理に詳しくない人には全く分からない面白さがあると思う。
 大げさな言い回しによる妄想(強がり)とその実態のダメダメさ加減のギャップに愛を感じられるか、それともただ単にウザイと感じるか。