「チーム・バチスタの栄光」2012/01/01 00:30

 前の職場がアレだったもんで、評判が良くてもなんとなく、医療ものを避けていたのですが、たまには、もうそろそろ。

 キャラクターがとても良い小説でした。ポジとネガって何のことかと思ったら、ポジティブとネガティブやったんですね。
 実は、最初は、ちょっと読みにくかったんですよね。グッチーの一人称は、出世コースから外れていることに開き直っているようで、でもトコロドコロ拗ねている、皮肉と卑屈の混じった視点。そんなグッチー、キライではないし彼の考えに共感できる所も多々あるのですが、なんか、ハツラツとしない。状況説明のための細切れのエピソードで話の流れが悪く感じたり、事件解決の道がさっぱり見えなくて、手詰まり感があって。
 それが後半、白鳥の登場によって、物語は一気にスピード感を増します。グッチーが、手足を縮めた亀のようであれば、白鳥は正に、翅を広げどこへでも無遠慮に這いずり回るゴキブリの如き傍若無人っぷりです。
 この二人のほかにも、ひょうひょうとした病院長とか、高潔な志を持つ桐生医師とか、みんないい味だしているんですよね。
 ただ、ミステリーとしては、少し残念でした。容疑者たちの人物像を炙り出していくのが捜査の中心であり本書の面白味なのですが、肝心の犯人特定にはあんまり関係ないんですよね。手術中の殺人トリックも、「それって医学の知識がないとわかるわけないやん」て思ったし。
 病院ものとしては、大学病院独特のシステムが、私立病院と違ってて、面白かったですね
 私立病院では医師の論文の数なんてコレッポッチも意味ないですし、救急病院としては嫌がらずに救急患者受け入れて夜勤にも入ってって医師が尊敬されますし、事務職員としては救急受け入れと並んで書類を溜めずに書いてくれる医師が有難がられます。
 でも、電子カルテの導入を進めにくいのは、どこもオンナジですね。

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