「砂漠でサーモンフィッシング」2012/12/29 15:03

 釣り漫画ではありません。
 サウジアラビアの南に位置する国、イエメン。その砂漠の中にダムで作った川を流し鮭を放って釣りをしようという、荒唐無稽な計画。
そんな無茶を考えるアラブの大金持ちってどんな嫌な奴なのかと思ったら、これがすっごくいい人で。理想家を飛び越して、夢想家と言われる。釣り好きには違いなうのですが、釣りに対する姿勢が独特で、釣果を待つ釣り人を「信仰」と重ねています。私は釣りには全く興味ないし不信心な者ですが、それでもなんか納得させられてしまうものがあります。
計画を手掛けることになったイギリス人水産学者も、彼の話を聞いて、この夢みたいなプロジェクトに、やる気を出してきます。
こうして鮭釣り計画に大金が投じられ、イギリス政府も大乗り気になってくる。ここで出てくる、「票の獲得」をすべての判断基準にしている政治屋さんたちの様子が、スピリチュアルなアラブ人と対照的で笑えます。
 しかし、こんな荒唐無稽なプロジェクトですから、反対意見が出るのもわかるんですよね。もっと他に有意義なお金と労力の使い道もありそうなもんですし。
 はたして、「奇跡」は起こるのか。
 夢の計画、コメディ、風刺、ラブストーリーと、様々な要素が盛り込まれたストーリーも面白いのですが、登場人物たちの描かれ方もイキイキしています。
 バリバリ仕事する三人の女たちと、彼女たちの抱えるプライベートの姿。主役の水産学者は堅物でサエナイ設定なんですが、演じるユアン・マクレガーはとってもチャーミングです。嫌なことがあると、自宅の池で飼ってる錦鯉にパンをちぎって投げ込む地味さにときめきます。

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