「洋菓子店コアンドル」2013/01/02 16:04

 年末年始恒例の、深夜放送枠の映画。
 主演の蒼井優と江口洋介は、昨年観た「るろうに剣心」にも出演していましたが、それとは正反対な役柄でした。
 江口洋介はさすがで、渋い斉藤一でも、心に傷を負った中年役でも、上手いもんです。
 蒼井優は、正直言って、るろ剣の時みたいな艶っぽい美人設定は全然似合ってなくて、こういう田舎から出てきた娘さん役の方がしっくりきました。鹿児島弁娘。
 しかし、この娘さんの、好感度の低さにはビックリでした。
 男を追って上京するのですが、男の手紙の文面からも行先を知らせないことからも、明らかにフラれてるのに「別れてない」って探し回るのがまずウザい。男が勤めてた店をすぐ辞めちゃったと聞くとお店の人に対して「苛めたんだ」と決めつけ、そんな失礼なことを言っておきながら「男を捜し当てるまでここで働かせてくれ」って図々しさ全開です。
 店長さんがすごいイイ人で、ケーキ作りの腕前も店のレベルに全然達していない田舎娘を住み込みで雇ってくれたんですが、その店長に断わりもなく勝手に店の材料使ってケーキ修行してたり、先輩従業員と喧嘩して(この先輩がキレるのもよく分かる)勤務時間中に職場放棄するし。
 とうとう捜し当てた男も、まあ、ショボイ感じの人でしたが、それでもパティシエの腕を磨くために留学するって言ってるのを「無理」と笑い飛ばすことないでしょうが。「私には分かる」って、どんだけ自信過剰な娘だろうか。フラれちゃうのもすごくよく分かる。
 そして、つらい過去のためにケーキ作りを止めた天才パティシエに向かって「逃げたんでしょう」と何も知らないくせに決めつけ、そんな酷いことを言っておきながら「店が大変だから助けて」と図々しさがここでも炸裂。
 みんな、なんでこんな娘に親切なんだろう?
 ていうか、映画のヒロインがこんな態度悪くていいのだろうか?
 田舎から上京してきた純朴な娘さんって言えば、その明るさと頑張りでギスギスした都会人のココロを癒すもんだとばかり思っていたのですが。
 そんな先入観をぶち壊してくれた作品でした。

「麒麟の翼」2013/01/04 16:20

 東野圭吾、コンスタントにヒット作を発表する人気作家さんですが、あんまり作品を読んだことがないです。そもそも、昨年はあんまりミステリ小説を読まなかった(昨年一番のミステリは、大津のイジメと尼崎のマインドコントロール一家だと思う。そのうち誰かが小説のネタにしそう)。
 でも、今年はちょっと、読んでみようかなあ。

 TVドラマになった「新参者」も、実は最初の一回か二回だけで、その後は視聴をやめちゃったんですよねえ。
 そして、劇場映画化された同シリーズの「麒麟の翼」
 阿部寛演じる加賀刑事。頭は良くてもなんか説教臭くて。愛嬌がないなあ。
 遠くへ羽ばたこうとする麒麟の翼に乗せたそれぞれの思いとか、お父さんの息子へ向けたメッセージとか、感動的なんですが。
 なんだろう。キレイにまとめられているからか。
 ホラ、感動的でしょう。
 って押し付けられてる感がしちゃって。加賀刑事にあんまり好印象を持てないのも、そのへんなのかなあ。
 まあ、私の個人的な関心ごととして、息子役の松阪君に「シンケンジャーの殿がまた高校生役やってるよ、主演映画も公開されて、最近ホントよく見るよなあ」なんて思いながら見ていたわけで。
 私の視点に要らん偏りがあったってことも、あるのかなあ。

「ゲゲゲの女房」2013/01/06 22:53

NHKの朝連ドラで大人気だった妖怪漫画家貧乏夫婦生活。
 ドラマの方も見てなかったんですが、映画版は、だいぶ様子が違いそう。
 なんていうか、暗い。新春早々、暗い。
 奥さんが無表情のまま、とぼとぼ歩く姿がとっても陰鬱です。
 まあ、分からんでもないです。
 生活は安定してるって聞いて、ろくに知らない片腕の男に嫁いでみたら、ツケのたまった貧乏住まい。この時点で、すでに詐欺被害者みたいなもんです。頑張って描いた漫画は「売れない、人気無い」と散々な言われようで、原稿料も約束どおりもらえず、苦労は報われず。何にも知らない姑がのんきな顔して嫌味ったらしくアレコレ注文してきて。
 あれをやって、これをやってって指示されるばかりの生活。辛いなあ。
 しげるさんの漫画はいつか認められますよ。
 って、夫を励ますいいセリフなハズなんです。奥さんが、もうちょっと明るい顔で言ってくれれば。
 貧乏は平気、命までは取らない。
 って、惨い戦地から帰ってきた男らしく含蓄あるセリフのはずなんです。でも、そのあと、貧乏で餓死した若者の話がでてきたりして。
 どうも、感動すべき点で素直に心動かされない。
 貧乏でも信念を持って、心は明るく。……なんて、考えてみれば、何かの幻想って気もします。暗い顔した奥さんの方が、リアリティはあるかなあ。
 終盤、漫画雑誌で描けるようになって、ようやく、ちょっとだけ空気が軽くなってきますが。
 明るいのは、浮世離れした漫画ワールドと、踊る妖怪たちだけって感じ。

「コクリコ坂から」2013/01/12 21:48

 金曜ロードショー。

 ヒロインが朝ごはん作って、高校生たちが大掃除をするビフォーアフター映画。
 いやー、掃除シーンが印象的な作品とは聞いていたのですが、本当に、掃除が一番の見どころだとは、思っていませんでした。
 主婦のような女子高生の細かい生活描写なんかはさすがにキビキビした清潔感があっていいのですが。 
 でも、キレイすぎるよなー。
 男にとっての理想の少女像
 ってのは、ジブリにはお馴染みで、でもそれはファンタジーだからこそ赦されるもんなんだなあ、って思いました。昭和ワールドとはいえ、現実世界に地続きな舞台では、色々違和感を覚えてしまいます。
 ストーリーはホント、古臭いメロドラマかつ初々しい青春モノという・・・・
 描写・演出の細やかさがアダとなっていかにも「どうです、昭和でしょう懐かしいでしょう」と言わんばかりで、かえってシラケる。
昭和の懐かしさとか少年少女の純粋さとか、そういうなんかキレイな雰囲気に頼りすぎなんじゃないかと思いました。
 子供が観ても、きっと受けないよなあ、これ。

「アバター」2013/01/14 16:49

 日曜洋画劇場です。
 さすがの面白さでした。あの映像を大画面3Dで観れば凄い迫力だったことでしょう。
 メカニックなSF世界に、異形の生物たちの住むファンタジー世界が一つに。
 地球人の利益のために、元々その星で生活していた異星人たちを攻撃。しかし、主人公は異星人と生活を共にして、彼らの仲間となっていく。
 スピード感満載の空中戦とか、異種族との心の交流とか、ジブリアニメっぽいところも感じられました。
 異星人たちのスピリチュアルな文化は、耳慣れない用語も多くて分かりやすいとは言えないのですが、それでも、納得させられますよ。
 あれだけ、神秘的な映像を表現されてしまっては。
 大きな、絆の物語。

「大奥~永遠~」2013/01/20 16:28

 サブタイトルの「永遠」が何なのか、さっぱりわからなかったわけですが。

 映画の予告編とか宣伝映像は、ワクワクして結構好きなんですが、最近はストーリーや見どころ映像や決め台詞をバンバン露出しすぎて、そこで満足しちゃって映画本編はかえって見る気を失うこともあります。
 その点、この映画は抽象的な単語を並べて焦点をずらした宣伝のおかげで、原作未読の者にはいい意味で予想外な展開で面白かったです。

 二宮君が主演だった第一弾映画は、主人公も将軍も凛々しいキャラクターだったものだから、とても華やかで前向きな印象でした。
 堺雅人主演の方は、ドラマも映画も、結構シビアで悲劇色が強いです。一番華やかに見えたのが坊さんの衣装って・・・・
 登場人物たちは、ままならない人生の中で鬱屈を抱え、歪な愛情でがんじがらめです。
 そんな中での、男と女。
 最高権力者の将軍にとって、それは血を繋ぐための義務でした。
 貧乏貴族の男にとって、それは飯のタネでした。
 いっそそのまま、二人の仲はプラトニックを貫いても良かったんじゃないかと思いましたが。
 ようやく、まっとうな愛をつかんだ女は、大切な父親も忠臣も振り切って、何も持たずにただ一人、走る。

「ウーマン・イン・ブラック 亡霊の館」2013/01/21 21:44

 屋根裏部屋、ままごと遊びに夢中の三人の少女たち。
 彼女たちは立ち上がると、まるで何かに引き寄せられるように三つ並んだ窓へ向かい。
 飛び降りた。

 
 新春早々に見た、ホラー映画。
 ゴシックホラー。昔の名作のリメイクなんでしょうか。
 電話も車もまだ珍しい、19世紀初頭のイギリスの田舎。
 ぼろぼろに朽ちた屋敷。そこに泊まり込んで仕事をすることになった主人公。
 彼の他には誰もいないはずなのに、見え隠れする黒衣の女の姿。子供の影。
 古典的っていうか、ストーリーではなく演出が怖い。古めかしい屋敷に、人形の瞳。主人公の背後や写真の中や窓の向こうとかにチラチラ現れる怪奇。いや、ホントに古典的なんですが、その効果は時代を超えて不変ですね。
 その昔、我が子を奪われた女が、次々と村の子供たちを奪い去っていく。
「決して、ユルサナイ」
 主人公は、息子を守るために、何とかして黒衣の女の怒りをなだめようとする。彼女に息子を返してやればどうか・・・・・
 ハリーポッターが、父親役を演じるような年齢になってるのですねえ。時代の流れ……

「たまこまーけっと」と「夜行観覧車」2013/01/26 00:00

 どちらもご近所づきあいを軸に、自分の家と地域コミュニティを大切にする気持ちが描かれているのですが。
 一方は、ヒロインは女子高生で、賑やか商店街を舞台にしたほのぼのファンタジックコメディなオリジナルアニメで。
 一方は、湊かなえ原作のサスペンスで、高級住宅街にお住いなセレブな主婦たちのドロドロと気持ち悪い姿を描くドラマで。
録画して続けて視聴すると、同じ現代日本を舞台にしているとはとても思えない落差があってなんか笑えてきます。
ちょっと、クセになりそう。