「タイタス・アンドロニカス」 ― 2013/11/21 11:47
漫画版「サイコパス」の三巻を読んでいたら、無性に気になって、図書館から借りてきたシェイクスピア戯曲。
漫画では、少女の体を切り刻む殺人娘を、この戯曲に登場するタモーラ女王にたとえたり、主人公の娘のラヴィニアにたとえたりと、統一感のない引用の仕方をしています。
最後の締めセリフの突き放しきった感じが、とても効果的です。
これはシェイクスピア作品ではないという説もあったそうで、読んでみたら、それも納得。
内容がグロテスクで、残酷すぎて。
主人公・タイタスさんの単純さや嘆きっぷりはシェイクスピア悲劇っぽいのですが、悪人たちの描かれようが、猛烈に「悪」なのです。
悪人であっても、どこか愛嬌があったり、人間の野心や嫉妬心なんかにスポットを当てて人物像がつくられていることが多いのですが、ところが、この作品ではそうした要素が薄くて、反吐が出るような悪そのものを描くために悪人像を作ったとしか思えません。
白水Uブックス、小田島雄志氏による、けっこう簡素な訳文のために極端な印象になるのかもしれませんが。
主人公が可哀想な目に合う悲劇作品は世に多くありますが、虐げられる主人公たちよりも、虐げる側の悪人の方がこれほど印象的な作品も珍しいです。
漫画では、少女の体を切り刻む殺人娘を、この戯曲に登場するタモーラ女王にたとえたり、主人公の娘のラヴィニアにたとえたりと、統一感のない引用の仕方をしています。
最後の締めセリフの突き放しきった感じが、とても効果的です。
これはシェイクスピア作品ではないという説もあったそうで、読んでみたら、それも納得。
内容がグロテスクで、残酷すぎて。
主人公・タイタスさんの単純さや嘆きっぷりはシェイクスピア悲劇っぽいのですが、悪人たちの描かれようが、猛烈に「悪」なのです。
悪人であっても、どこか愛嬌があったり、人間の野心や嫉妬心なんかにスポットを当てて人物像がつくられていることが多いのですが、ところが、この作品ではそうした要素が薄くて、反吐が出るような悪そのものを描くために悪人像を作ったとしか思えません。
白水Uブックス、小田島雄志氏による、けっこう簡素な訳文のために極端な印象になるのかもしれませんが。
主人公が可哀想な目に合う悲劇作品は世に多くありますが、虐げられる主人公たちよりも、虐げる側の悪人の方がこれほど印象的な作品も珍しいです。
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