「三四郎」2014/08/27 00:00

「しかしこれからは日本もだんだん発展するでしょう」
(中略)
「滅びるね」

夏目漱石のユーモア小説。熊本から上京してきた三四郎君、冒頭からいきなり食べ終わった弁当の折を窓から投げ捨てるような田舎者っぷりです。アカンやろ三四郎、と突っ込みつつ読む。
最初の方は「昔の東大生ってこんなエエ加減やったんか」と面白く読んでいくのですが。でも、なんか漱石のユーモアって分かりにくいなあ。
お友達の与次郎君はイイ感じにお調子者で楽しいです。
でもヒロインの美禰子さんが、何考えてるのかよく分からないっていうか。なんかただの性格悪い人のようにも思えます。三四郎君は純朴な性質なんで、わけの分からないまま、熱を上げてしまうのですが。
美禰子さんの心情の方をもっと深く追及してくれれば案外魅力的なヒロインになったかもしれないのに、前に読んだ「門」でもそうですが、漱石は話の中心人物の一人なのにその実情をすっとばしてしまう傾向があるようです。もやもや感があります。
だからこそ、「迷える子羊」なのかもしれませんが。