「ビブリア古書堂の事件手帖」2015/01/18 17:09

 昨年五月の連休に二日間鎌倉を歩き回り、大船の白い観音様の見えるところに宿を取ったりしていたので、なんとなく作品舞台のイメージが湧いてきます。
 さらに漱石の「それから」も昨年に読んだばかりだったのですが、しかし「だいすけ」という名前から何一つインスピレーションなど湧かずに読み進めていました。言いわけですが、「それから」の主人公について甲斐性も根性もないダメ男としか解釈していなくて、身内の名前をそこから取ってくるとはまるで思わなかったのです。
 でも、「それから」の奥さんの立場で見てみれば、こんなダメ男でもロマンチックに思えるものなのか、と目から鱗です。
 
 三上延著、古書をめぐるライト・ミステリ。
 人気があるのも納得、面白かったです。
 古書に関する薀蓄も興味深かったですが、それ以上にミステリ小説として上質で、謎の提示と解決へのプロセスが巧みでした。
 先日観た「ゴーン・ガール」のデビット・フィンチャー監督もそうでしたが、「どう話が動いていくのだろうか」とお客さんの興味を引き続けて結果を裏切らない話運びができる作家だと思います。
 しかし後味は「ゴーン・ガール」とは真逆で、どちらもヒロインが周囲の人間を欺く話ではありますが、ラストで「あなたを信じます」とつなげてくれたので、読後はほのぼのです。

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