「一刀斎夢録」2015/04/18 00:19

一刀斎、ひっくり返して斉藤一。
明治生まれの若い近衛中将相手に、幕末の生き残り、動乱の時代に人を切り殺しまくった斉藤一おじいちゃん(69歳)が酒を飲みつつ夜な夜な思い出話に花を咲かせるお話。
浅田次郎作品は登場人物が立派すぎて苦手な感じもあるのですが、「壬生義士伝」の斎藤一は格好良かったので、こちらも読んでみたいと思っていました。
これが、予想と違う方向に、面白い。初めはヒトキリの貫録たっぷりダークな盛り上げ方だったのが、一刀斎の一人称になると、なんか話好きなじいちゃんっぽくて。
もう、しゃべるしゃべる、「あれは何年何月何日のことで」って、どんだけ記憶力いいんですか、日記でもつけてるんですか、日記つけて若いもんにツラツラ思い出話する斉藤一ってオモシロスギルヨ。
話の内容は、主に人切りと負け戦なんですが。
そして、浅田次郎特有の、健気で賢い薄幸の少年も出てきます。その可愛らしさにヤラレテしまう、市村鉄之助君、と言えば土方歳三なんですが、この小説では斎藤の弟子になっています。函館から逃がされて、その後彼がどうなったのか、というのが実はこの長い語りのメインテーマだったという構成。
私は電車での通勤読書だったのですが、梶原中将気分で七夜にかけて読んだ方が気分出るでしょうね。そして、終盤はお部屋で読まないと、鉄之助君のいじらしさに泣けてきちゃいますから。
幕末の戦いとは何だったのか、新選組とは何だったのか、西南戦争とは何だったのか、武士とはどうあるべきなのか、剣の奥義とは、生きること、死ぬこと・・・・・・
斎藤一の口を借りて、著者の解釈を語らせたって感じです。

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