「姉の結婚」2015/04/25 14:50

子供の頃、母が群よう子のエッセイや小説を「面白い」と読んでいたのですが、私にはなんかピンとこない。どんな内容だったかもカケラも覚えていない。
そして今、結構イイ歳になった自分が、改めて短編集を手に取って。

友達(それほど親しくない)の結婚式のご祝儀が若夫婦の家計に重く圧し掛かる。
オシャレな部屋に住むため、手取り13万5千円の月給で家賃8万、節約生活。
貯金通帳を眺めるのが趣味のセコイ親父が、独立した元同僚の成功を面白く思わない。
ファンシーショップでバイト、しかしドケチなオーナーと店主(愛人)が夜逃げ。
美形の娘(3歳)を芸能人にしたい妻が、娘に金をつぎ込み夫の分をケチル。
金持ちの男と結婚したはいいが、相手の実家と歴然たる経済格差有り。
学生の姪がカードでお気楽に生活し、未婚で収入不安定な主人公はカードを作ることすらいい顔されない。
夫の所業に耐えてきた姉が、父親の遺産が入ったとたん強気になって離婚。

・・・・全部のお話の基盤に、金銭の問題。
もちろんお金は大切です。私だって一人暮らし始めてから家計簿つけたりしてるし。
でも、幸か不幸か、私自身に小説の中の皆さんのような状況や心境に縁がない。
理解はできます。でもそんな生き方シンドイなあ、と思う。
一遍読むのに10分ほどの中に込められたシニカル。ひとつふたつならともかく、全部が「夢も希望も望みウス」(解説が氷室冴子ってのが懐かしい)となると、なんだか息苦しい。
最近読んだ斎藤一が、財布ごと金銭を投げ出し金に拘るのを不浄とするキャラだったのと、あまりにも対照的です。
浪漫と理想を描く男性作家と。
現実の本音を描く女性作家だ。

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