「野火」2015/10/25 13:41

戦争もの小説って、「バリバリ戦場もの」と「戦時下の一般民衆を描く」の二種類ありますが、前者の代表各として超有名なのを初読み。この夏映画にもなって話題になっていました。
こういのって残酷で悲しくて人間性を否定するようなヒドイ物語と相場が決まっていて、そんなものを読んでわざわざ気分悪い思いをする意味があるのかという疑問がないでもないのですが、年に一度ぐらいはそういうのを読んで、そういう現実がある、ということを意識するのもわるくないでしょう。それで、昨年は「西部戦線異状なし」読んで。
しかし、「野火」は、思っていたのとは別の意味で読みづらかった。
「西部戦線」では主人公は戦死して作風はちょっとジャーナリズムっぽかったのですが、「野火」は戦地から帰国して精神を病んだ人が回顧して叙述したってことだからか。
妙にインテリ臭い、持って回った感。形而上的な妄想的な哲学的な自己憐憫的な描写の数々が、かえって戦場を作りものっぽくする。ナマナマしさが無くて。
極限状態にある人間は、そのことを克明に認識しているもんじゃないのかもしれません。あやふやな部分や現実逃避的な思索があって当然なのかもしれません。
でも読んでいて面白いかって意味では、多分、映画見た方が面白いと思う。

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