「オール・ユー・ニード・イズ・キル」2016/09/04 16:24

金曜ロードショー。
原作ラノベのアイディア勝ちって感じの映画。タイム・リープを、こういう形で使うのか。同じ場面を違った形で使いまわす、映像向けです。
都合よすぎる設定とも思うのに、何故かちゃんと説得力があります。とにかく死にまくって生き返りまくって、徐々にたくましくなっていく主人公。
元通りになるって分かっていても、繰り返し訪れる彼女の死の場面は、気持ちのいいものではなかったでしょう。
敵宇宙人?や味方装備にはさほど格好よさは感じなかったけれど。
トム・クルーズとエミリー・ブラントが素敵だからそれで良いのです。

「ジュラシック・パーク」と「ロスト・ワールド」2016/09/11 00:03

この夏、私を熱くしてくれた、高校野球と恐竜たち。

バイオ・テクノロジーで現代に復活した太古の生物。ポケットに入りきらないモンスターを、と思って子供の頃以来のマイケル・クライトンです。久々に読んで、こんな話だったけ?と思う所もあるけど、しかしやっぱり、抜群に面白い。
子供の頃には大して気にならなかったことでしたが、これは企業の危機管理の問題とも言えるかもしれません。大事件になる前にも人死を含めて色々問題は出てきているのに、大丈夫だ、大したことではない、と真剣に向き合わない経営者。完璧なシステムを作ったつもりでも、人のやることには限界があり、想定外は起こり得る。
それから、作者はジブリとか好きかも、と思いました。人と、人以外の生命、世界との関わりについての思想。ちょっと「もののけ姫」っぽいなあって。
続編の方は読むの初めてです。研究施設の有る島で放し飼いされた恐竜たちが独自の生態系を作る。そこへ、てっきり前作で死んだとばかり思っていた数学者が、仲間たちと共に乗り込んでくる。
バイオ・テクノロジーの可能性に度肝をぬかれる「ジュラシック・パーク」に比べ、「ロスト・ワールド」はもっと冒険ものっぽくて、冒険用の特殊車両を作ってきたり、ハラハラよりもワクワク感が強い。
そして、キャラクターが濃い。特に、わがままトラブル・メーカーの古生物学者が面白かったです。いつも偉そうにして周囲を振り回して、それでも、文句言いつつもみんな彼を助けようとするし中学生の生徒にも慕われているし、なんか憎めない。そして肝心な時にはまるっきりヘタレで役に立たないという。
頭でっかちな古生物学者と数学者が危機的状況で完全に戦力外になるのに対して、大活躍な動物学者のサラさん。インディ・ジョーンズばりのアクション、タフで賢くて優しくて、めっちゃ格好良いです。
大切なのは知識や理屈じゃなくて。それをどう使って現実に立ち向かうかを考え実行できることなのでした。

第11回大阪クラシック、一日目2016/09/12 00:48

今年の初日オマケ、去年と同様クリアファイル。残暑対策に配布の大阪クラシック団扇は、サイズが小型になってファイルにすっぽり入ります。

第1公演:中央公会堂大会議室
柱の陰になってステージ全体が見えない。でも距離は近いし大植さんのぐいぐい引っ張るような指揮っぷりは良く見えます。約50分、短くて馴染みある有名曲を数曲。
ヘンデル/「水上の音楽」より ア・ラ・ホーンパイプ
今年は水都大阪フェス連携プログラムになっているとかで、それでいつもよりちょっと時期が遅くてパンフレットの紙が変わったのか?オープニングは明るく楽しい水の曲。
間違いなくどこかで聞いたことのある可愛い曲だけど、今日初めてタイトルを知った、ボンキエルリ/歌劇「ジョコンダ」より 時の踊り
大阪クラシック頻出の「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第一幕への前奏曲や、アンコールの「ローエングリン」第三幕への前奏曲。CD持ってるけど、生演奏の方が断然楽しいんですよねえ。

第4公演:日本生命本店東館
開演前に、会場近くの適塾跡地や古めかしい木造幼稚園舎(重文)をちょっと眺める。オフィス街に時代劇が混じっている感じがステキ。
モーツァルト/ファゴット協奏曲 変ロ長調K.191
ファゴットメイン演奏ってそんなに聴く機会ないですが、これが、ホルンに深みと優しさを加えたような、大樹のごとき音色です。待ち時間にちょっとおはなしした奥さんも、前年の久住さんの演奏を聴いて今年もリピーターになったそうで、確かにこれはハマります。癒し系。
アンコールの、無伴奏チェロ・ファゴットバージョン。そしてビバルディの「冬」(「みんなのうた」で歌詞をつけたやつがお馴染みです)ですが、オリジナルのバイオリンでの主旋律より、ファゴットの方があたたかい暖炉のイメージに合っていると思いました。

第8公演:大阪市役所正面玄関ホール
CD欲しいと思うけど絶対生演奏の方がイイんだよなあ、skyです。自称「雑用係」の近藤さんのお話が楽しい。ピアノの永井さん作曲のオリジナル曲と、サプライズでヴァイオリン田野倉さん40才はっぴばーすでー。
美しい映画のサントラ集を聴いている感じで、今日は特に野津臣貴博さんのフルートがきらめいて聴こえました。

第11公演:本町ガーデンシティ
ベートーヴェン/弦楽三重奏のためのセレナーデニ長調 作品8
ちょっと、モーツァルトっぽい(私的イメージ)ベートーヴェン。
演奏はskyに引き続き、田野倉さんと近藤さん、そしてファゴットの時にも出演していたヴィオラの木下さん。見慣れない若い人がいると思ったら、やっぱり新加入のお人。そろいの黒ユニフォームのトリオ。
美しい演奏。でも、堅い床に座るのはやっぱりお尻痛い。立ち見の方がまだ楽だったかな。

マス2016/09/16 00:06

昨夜は、小雨のちらつく中、中央公会堂へシューベルトを聴きに行きました。
シューベルトの「鱒」っていうと、なぜか「はーるのっ、うらーらーのー、すーみーだーがーわー」が頭に浮かびます。「鱒」のメインテーマに乗せて「はーるっのっおっがっわーのー、すーみだーがーわー」って歌ってもまるで違和感ないものです。
演奏は、日曜に聴いたベートーベンのトリオに、コンバスの新さんとピアノの法貴さんで、ピアノ五重奏。
全5楽章ですが、正直、第4楽章のTema con variazioniだけでいいんじゃないか、というみもフタモない感想。有名なテーマをいろんなバージョンで繰り返すだけなんですが、やはり、良く知られたメロディーというのは相応の良さがあるもので。
嬉しかったのは、アンコールでその第4楽章を、ピアノ・大植英次で演奏してくれたこと。真面目なシューベルトが、なんかカワイイシューベルトに大変身!大植さんのピアノやっぱりええわー。譜めくり役にまわってしまった法貴さんはビンボクジかもですが。
大きなまんぞくです。

巨人2016/09/18 06:51

祭り、最終日

第70公演:大阪市役所正面玄関ホール
小さいお子さん用に靴脱いで座れる席を真ん前に用意。会場外に並ぶベビーカーの駐車。
人気の打楽器コンサート(私が大クラにハマったのもこれきっかけ)が最終日のトップ。
腹の底から響くように。グリーデイングス・トゥ・ハーマン
小石が転がるように。ノック・オン・ウッド
バチを使わず、掌と「ハッ」短い雄叫び。蛇のうた
マンドリンの神秘的な響きから、荒々しく。最後は観客も、井口さんのリズムに合わせて。リチュアル・ミュージック。
全部知らない曲ばっかりですが、たくさんの種類の打楽器と観客参加型。立ち見でしたがコレはそれでヨシです。全身でリズムを感じる方が楽しい。太鼓習う人が増えてるの分かります、絶対健康に良いよ。

第73公演:大阪シティ信用金庫本店ビル
弦楽のためのソナタ 第5番
初めていく会場(でっかい風景画が何枚も)ですが、演奏はおなじみロッシーニ・バンド。
ロッシーニの曲は華やかでノリが良くって。それぞれの楽器が楽しくおしゃべりしているようだって毎年思います。この四人が楽しいからこそ、かもです。今年は椅子に座れる大きい会場で、可愛らしい三瀬さん(お辞儀の仕方がお姫様系)のお姿が良く見える位置でなおさら楽しい。
弦楽のためのソナタ 第5番と、アンコールがハンガリー舞曲。

第77公演:フェスティバルホールエントランスホワイエ
モーツアルトとどっちにしようか迷ったのですが、やっぱりベートーベン好きなので。
七重奏曲 変ホ長調作品20
編成は「鱒」のときの弦四名と、クラリネット船隅さん、ファゴット日比野さん、ホルン蒲生さん。クラリネットが印象的。管楽器みっつ入るとやっぱり力強い。そして、熱演。それぞれの楽器に見せ場があって、楽しめました。

第80公演:大阪市役所正面玄関ホール
J.S.バッハ/パルティータ イ短調   無伴奏チェロ 第三番 ハ長調
ロッシーニやベートーベンに比べるとバッハさんは大人しくて地味なもんです。それでも、毎年会場が満杯になる野津さんのフルート・ソロ。美しい。傾聴。
アンコールも毎年おなじみアルルの女で練り歩き。

第81公演:フェスティバルホール
リハ直後の野津さんの演奏の充実っぷりから期待たっぷりだったのですが。
マーラー/交響曲第1番「巨人」
最高でした。もともと好きな曲なのもありますが。第一楽章終わった時点でもう大興奮で拍手したかった。演奏時間がとても短く感じました。元気の良いイメージのある曲だったのですが、なんだか繊細な演奏。ホルンの優しいこと。
大地と大空の間にある世界の、全ての生と死。……巨人。
アンコールで童謡歌うのは毎年のことで、いつもはこれが楽しいのですが、今年ばかりはマーラーの余韻のまま帰宅したかった!

「坊ちゃん」2016/09/20 17:40

夏目漱石没後百年記念で。子供のころ読んで何が面白いのかさっぱり分からなかった作品に再チャレンジです。
何故かつて、面白く感じられなかったのか。
男の愚痴? 不平不満が並べ立てられます。松山へ数学教師として赴任したぼっちゃん、なんだかんだと江戸と引き比べて田舎田舎とバカにする。不浄の地!扱いです。……漱石先生、よほど松山で嫌な思いをしてきたのでしょうか?
冒頭の、親譲りの無鉄砲で子供のころから損ばかりしてきたって有名な書き出しも、無鉄砲も損ばかりなのも親のせいだと言わんばかりに思えてきます。そして、やたらと子供のころから可愛がってくれた老いた下女のことを引き合いに出してくるのも、なんかマザコンっぽい。
イタイ人です。うらなり君に同情したり山嵐と仲直りするあたりから、多少印象も変わってくるのですが。
独自の価値観を持って、それに反することは受け入れがたい。イイ歳して世間知の低い、坊ちゃんのままでいる主人公。
欺瞞に満ちた世間に喧嘩を売る姿は、多分、漱石先生がやりたかった、でも出来なかったこと。憧れなのでしょう。

「ライト/オフ」2016/09/24 23:05

暗がりに、人影。電気を点けると何もない。しかし消灯すると、やはり何かが、いる。
そんな恐怖映像がネットで話題になり、それにハリウッドが目を付けた。
ということで、恐怖感はバッチリだろうと期待して観に行ったホラー映画。期待に違わぬ怖さ。ダイアナこわー、貞子メじゃない凶暴さです。光の中では現れないので、ほとんど黒い影と音声(脅迫する声とか足音とか爪音)でしか表されないのですが、それが、イイ感じに怖いのです。
ダイアナに取りつかれるお母さん。怖いけどお母さんを見捨てられない少年。そんな弟を守ろうとする姉ちゃん。お母さんも彼女なりに子供たちを守ろうとしていた。
元になる恐怖映像を作った監督さんは、これが初の商業映画となったわけですが。
ホラーの怖さに加えて家族ドラマの要素もあり、私好みの戦う美人さんの物語でもあり。
とても面白かったです。