「こころに剣士を」2017/01/24 09:58

The Fencer
強いて気になったところを上げるなら、「ラブシーンはもう少し削っても良かったなあ」。
中学生の見ている前で長々いちゃつく体育教師ってどうなのっていう、日本人的発想。
しかし、めっちゃこころに残る映画です。
ストーリーはシンプル。いわゆる「部活系」で、熱心な指導者、熱心な生徒たち、そして晴れの舞台で大活躍、というパターン。閉塞感漂う寂れた田舎町が舞台って意味では、「フラガール」に近い印象です。
ただ、閉塞感のレベルが違います。スターリン時代のソ連に支配されるエストニア。結構な人数の子供たちがあんまり笑わない厳しい先生の指導でフェンシングにハマるのは、単に田舎で娯楽が少ないってだけではありませんでした。
当局の顔色をうかがう大人たち、家族を強制連行される子供たち。そんな中で、「お前は、剣士だ」の一言が、少年を勇気づけるのです。
主人公の体育教師も元ナチス関係者(エストニアというのは、ナチス支配下にあったりソ連支配下にあったり、小国の悲劇の典型)で当局から隠れるために田舎にやってきて、ずっと暗い影をしょっていましたが、子供たちを指導するうちに、熱を帯びてくる。画面上には寂れた印象だったパーシバルという町の、美しい自然の姿も映されます。
最初に主人公を動かした少女・マルタが素晴らしかったです。とても可愛い娘さんですが、キャピキャピしたかわいらしさじゃなくて、強い意志・誇り・闘志を秘めた真っ直ぐな瞳。小柄な彼女が剣を手に、都会の学校の生徒に立ち向かう。

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