「家族はつらいよ」2017/06/04 23:05

引っ越ししてから、映画を観に行きにくくなりました。前は天王寺まで通勤で出ていたし、原付で出掛けたりもしたけれど。
休日の引きこもり具合に、拍車がかかる。


そんなわけで、TV放送されていたやつを録画して視聴。昨年公開されて、現在続編が公開中の作品です。
橋爪功(息子さんが薬物所持って報道されていたけど……しゃれにならないリアル「つらいよ」)演じる口の悪い親父さんが面白い。憎まれ口をたたきながらも周囲から「しょーがないなー」と受け入れられているキャラ。
登場人物みんなどこか「とほほ…」な感じを出しながら、でも明るく楽しげな家族。熟年離婚とか亭主が嫌んなっちゃった妻とか真面目なテーマを、全く深刻さを感じさせない映画に。肩の凝らないほのぼの娯楽作品として、山田洋次監督の意図した通り。
なんでしょうが、なんか物足りない。
コメディだけど笑えるのはツルベエ登場とか不自然に明瞭に歌う寅さんのテーマ曲とかで。
ほのぼのだけど、やっぱり真面目なのでしょう。
寅さん的な、愛すべき出鱈目さがもうあと一押し欲しい。

「アトミック・ボックス」2017/06/10 16:09

作品に合わせてGW期間中に読めたらより旬な感じだったかもしれません。
読めば瀬戸内国際芸術祭に行ってみたくなります。実際わたし第二回の芸術祭に行きましたし。
再読です。新聞連載中も毎日楽しみに読んでいたのですが、連載終了後、国家機密を「保護」し情報漏えいを罰する法案について話題になり、「この作中でそんな法が存在していたらどうなっていただろう!?」なんて思っていました。
要するに、一般人であるヒロインが明らかに「特定秘密」に属する情報(戦後日本の原爆製造計画)を得てさて公表しようかどうしようか、というストーリーです。世間様はもうすでに特定秘密保護のことなんて忘れ去った感じですが、北朝鮮の核開発問題が熱い時期に読み直すのもまたヨシ。
そんな風に言うと小難しい小説みたいですが、基本的には冒険小説です。警察が権力と組織力とシステムで捜査・追跡するのに対して、ヒロインが知恵と勇気と友達の輪で切り抜けるのがとても小気味よいのです。
大きな社会と個々の人間性を切り離すことなく描く、それが池澤夏樹の小説の魅力なのです。

「インデペンデンス・デイ」2017/06/11 23:24

96年米国映画。
宇宙人による地球侵略に対抗!がんばれ地球人!
というマンガか特撮ヒーローモノみたいな設定ですが、結構面白かったです。
圧倒的な破壊力で壊滅する都市。あらゆる攻撃を受け付けない強大な敵。
昨年観た「シン・ゴジラ」を思い出しつつ録画を観ていましたが。
「ゴジラ」との大きな違いはふたつ。
リアリティー度が「ゴジラ」に比べて格段に劣る。その分漫画チックな派手さやワクワク感があります。
もう一つが、キャラクター描写。ちゃんと個々のプライベートや考え方人間性を描いていて感情移入しやすい。大統領自ら戦闘機のパイロットやるとかビックリでしたし、おとーさんのカミカゼ・アタックなんてちょっと感動したし。
いい娯楽作品だと思いました。

「鴨川ホルモー」2017/06/21 07:07

せっかく京都府民になったのでKYOTOっぽい小説を。ちなみに宇治に関する物語、となると源氏関連か平家物語か、あとは京都アニメーションの原作になったヤツくらい。
万城目学の2005年デビュー作。洛中で一千年に渡って繰り広げられてきた「ホルモー」なる競技が、なぜか京都に実在する大学の学生サークルに受け継がれているという設定。
お話の核は、「設定」。この競技の解説が主な内容で、主人公たちの青春小説っぽい要素もないことはないけどほとんどどうでもいいって言うか、この特異な設定の前では無いも同然であったりします。
同じく京都を舞台に大学生が怪異と遭遇するハチャメチャ小説といえば「夜は短し歩けよ乙女」。似た印象もありますが、しかし「夜は短し」との決定的な違い、怪設定の説明に頼りすぎて人物描写が比較的弱い気がしました。
これが世にいう「中二」というやつなのか。
あまりに説明を引っ張って途中飽きがくることもありましたが、でもやっぱり上手いなあって思います。お話の都合に合わせて設定作っていけばいいもんなあ。
漫画やアニメではそういうトンデモ設定あるあるですが、日本の真面目な小説界にもそんな自由な発想が登場してきたのでした。

「猿の惑星」2017/06/23 07:46

人類の敵は、人類に似ている。
2001年の、ティム・バートン監督バージョン。ご存じ進化した猿の世界を描いた作品ですが、これだけ長い間様々なバリエーションが制作されているのも、この設定に人間の本質に迫る魅力があってこそ。
昔見た初代よりも、猿の顔が人間っぽい。とくに雌猿は頭髪を延ばしたりして。なのに動きは猿っぽいところがあります。そして奴隷扱いの人間たちはちゃんと人語を話していました。ちゃんと文明残っているのになんで猿に負けているんだろう……と思いましたが、言葉がある分ちゃんと「キャラクター」として存在しています。
猿も人間も、どちらもけっこう野蛮です。
終盤はかなり強引でご都合主義だとも思いましたが、あのラストを描きたかったんだなあというのはよく分かりました。
猿が人間を真似たからああなったのか。
そもそも人間も進化した猿も大差なくて当然と言うべきか。

「花戦さ」2017/06/26 00:32

どの花が美しいか。
どれも、それぞれに。
なーんて、某アイドルグループの代表曲みたいなマトメになったけど。
期待以上に面白かったです。戦国末期の時代の暗さもあるのですが、ユーモラスな部分も結構あります。「花の中に、仏様がいる」……野村萬斎演じる池坊専好の、人に優しく天真爛漫なキャラクターの魅力が、お話を殺伐とはさせません。
クローズアップを多用した映像で、豪華キャストの熟練の表情(頭踏みつけられる佐藤浩市とか!)の演技とお花の可愛らしさを味わえます。
ベテランはもちろん、中堅も若手も子役も犬に至るまでキャストに文句なし。京都が舞台なので京・大坂人はみんな上方言葉でしゃべるし。
久石譲の音楽も相変わらず良かった。
森下佳子脚本は、冷静に考えれば多少無理のありそうな強引な話の展開でも、キャラクターの魅力と勢いで細かい疑問を吹き飛ばして楽しませてくれます。