ロンドン・ナショナル・ギャラリー展2021/01/09 23:57

国立国際美術館のロンドン・ナショナル・ギャラリー展は大満足。超楽しい。図工・美術の教科書で見たことあるあれやこれや!
ゴヤが描く肖像画の物言いたげな表情。赤い衣でスーパーヒーローのようなエル・グレコのキリスト。スルバランの聖マルガリータが格好良くてかわいい。フェルメールは絵が小さくってせっかくのこだわり抜いた細部は意外と確認しづらい。いつまでも見飽きないモネの睡蓮。エネルギッシュだけどどこか苦しげなひまわりのうねり。そして西洋絵画は、人物画でも風景画でも、犬出現率高くてイイね。
ミュージアムショップを含めて三時間近くウロウロできました。絵葉書どれを買おうかと迷った末、図録(ミニ)を購入。全61点収録で、正規図録よりコンパクトでお求めやすいお値段、表紙のひまわりも素敵。
これだけ気合入った企画なのに、新コロの影響で開催期間変更、大阪展は風邪の流行期にぶち当たったのでした。館内は快適に空いていて、土曜日なのに当日チケットも販売されていた。……ある意味もったいない、これでたくさんお客さん集める予定だったんだろうに。

「ニュー・シネマ・パラダイス」2021/01/11 22:00

作品そのものよりも、むしろテーマ音楽の方が有名。昨年お亡くなりになったエンニオ・モリコーネ追悼で年末にNHKで放送されていたヤツ。
トト少年は、シチリアの田舎町にたった一軒だけの映画館に入りびたり。映写技師のおっちゃんと友情を深めていくのだけど、映画に夢中の小さな友人に、おっちゃんは言うのだ。町を出て広い世界を見に行くことを。
そう、映画は儚い夢の世界。しょせんは幻。三十年ぶりに返ってきた故郷には、廃墟となったニュー・シネマ・パラダイス。
だけど。
人々が集い楽しんだ思い出は、きらきらと輝かしい夢なんだ。

「背高泡立草」2021/01/30 12:25

私が個人的にぼんやりと抱いている世界観がある。世界は情報でできている。それは大別して自分が認識している情報と、認識していない情報があり、後者の分量が圧倒的に多い。そして両者は不可分である。
古川真人氏の受賞作は、時間と個人の枠を超えてこの両者を同時並列させている感じか。
誰も使っていない納屋の草刈りのために、血縁者たちが島に戻ってくる。草刈りミッションの合間に、一族の過去にまつわる、というか掠めるって感じのエピソードが挟み込まれる構成。
関係性が薄いようでいて、でもなんか濃く感じてしまうのは、つながりがあるのは確かだから。九州の方言も効いている(でも読みにくい)。
幾らでも茂ってくるのに、刈り取らねばならない雑草のように。理由があるようなないような、問答無用の関係性。