灼熱のポンペイ展2022/07/03 23:19

何も考えずに近くのそば屋で腹ごしらえしてから行ったら、14時からしか入れない。混んでるんだ。チケット予約してからお昼にすれば良かった。(冷たいアカモク蕎麦は、美味しかったです。)

黒いワンコ、猛犬注意がマスコットなんだ。


ヴェスヴィオ山の噴火により、完全に滅びた町、ポンペイ。火山灰の下にまるまる残された紀元1世紀の人々の暮らしが、はるか東洋の島国にまでやってきました。
79年当時って日本では弥生時代なのかと思うと、異常なまでの生々しいタイムカプセルです。これ本物ですか、レプリカじゃないのですかと目を疑う。
動物性植物性のモノは腐るか炭化するかですが、鉱物性のものはバッチリ残るのですね。アクセサリー(金や宝石)は普通に今でも使える。当時のモザイク装飾の可愛いこと。なんてことない古代の地方都市が、いかにオシャレだったのかがよく分かります。
最近流行の、写真撮り放題太っ腹展示。本来ならナポリ国立考古学博物館でないと見られないアレコレ。
悲劇の舞台故のこの保存状態、と思うとチョッピリ複雑ですが、しかし楽しかったです。

「本屋のダイアナ」2022/07/10 00:15

好みも家庭環境も全く違う、しかしお互いに対して(小学生らしい無い物ねだり的な)憧れを持つ少女たちの、成長物語。
柚木麻子の小説は設定や展開が上手くいきすぎに感じることがあって、この作品もその類なのですが、しかし読んでいて違和感はありませんでした。両者の主観と客観が提示されるダブルヒロイン構成がいいバランスで、そして何よりも彼女たちの共通の趣味である少女小説が、なつかしい。作者の愛を感じます
……文庫本巻末にお馴染みの<既刊シリーズ>に、「赤毛のアン」シリーズをはじめとした作中で触れられる作品名著者名がズラリと並んでいるのには笑いました。
アンと、その腹心の友、ダイアナを、等サイズで描くイメージ。それに、柚木麻子の一大テーマである女性問題も絡めてくる。
女たちの実情と理想が読める。

「ブラックボックス」2022/07/25 20:47

元自衛官作家・砂川文治氏の芥川受賞作は、本当に、この作品が賞を得ること大いに納得な、ズシリとした力強さがありました。ウーバー配達員とかコロナとか、今現在的要素を使いながらも、芯にあるものも表現も、古典的で硬派、正に本格派文学です。
しかし、読んでいて辛い。
たとえば「コンビニ人間」の女主人公も、ちゃんと普通にしなければと思いながら根本的に外れてしまうタイプの人でしたが描かれ方がユーモラス。しかし「ブラックボックス」は、重く閉塞感に満ちています。主人公・サクマは、根は悪い人間ではないのですが(暴力は良くないけど、確かにムカつく状況)、<安定するために堪える>ことができない。
この日常の果てにある将来を思うと不安なので目の前のタスクをこなすことに集中する心理が、詳細な自転車走行描写とリンクして重みを増す。
<普通の社会>では生きづらい若者の転落人生。
つまらない日々の繰り返しに思えても、その中から何かを得たり変化したりしているのだ。
最後に、ようやく、閉塞感にほんの少しの風穴を穿つ。

2022夏、大阪大会決勝2022/07/30 15:25

午前中までにお洗濯お掃除お買い物を済ませ、1時試合開始前までにオツマミとタカラ缶チューハイを用意して。
大阪にいた頃なら、原付飛ばして舞洲まで見に行ったかもしれない。今日はTV観戦。

履正社は今年から新監督(自分と同い年……)体制となり、夏の大会で11連敗という対大阪桐蔭戦の負の歴史に挑む!
迎え撃つセンバツ優勝チーム・大阪桐蔭は、余裕っていうか貫禄っていうか。四回までに5-0で試合を決定づけ、その後もジリジリ攻めていく。
とにかく勝負強い。ココゾというところでしぶとく安打を積み重ね、積極的な走塁を加点に結びつけ、凡打になっても走者を進める形でただではアウトにならない。逆に守備では、相手の好機を潰していく。しつこく牽制して刺し、連打を浴びた後にダブルプレイを取る。被安打8で零封なのだから、履正社の良いところを出させないディフェンス。
この暑さですが、両校とも複数投手制で決勝までの疲労は最小限に抑えてきたはずです。それでこの差だからなあ。特に印象的だったのが、星子主将のしぶとさでした。
7-0で、大阪桐蔭が夏の甲子園へ。

「キングダムⅡ 遥かなる大地へ」2022/07/31 23:02

ひとつだけ気になったのが、エンディングに流れるミスチルがしっとりしすぎて全然作品の空気に合わない。あそこはどう考えてもアップテンポの曲でしょう。

前作のアクションの派手さが楽しかったので、続編も。今回はお馬、戦車、そして大規模合戦。紀元前245、古代の戦が大迫力。日本映画であれだけ大規模なシーンを撮れるなんて!……と、思ったら、中国での撮影は当初予定を変更して(コロナ!)日本人は参加せず現地撮影会社のみだったという。大変な編集作業があったことでしょうが、日本の映画界があのレベルの映像作りのノウハウに触れる好機を逸したと思うと惜しかったなあ。
原作未読、ですが、漫画らしいそれぞれのキャラの立ち方、戦の大きな流れと局地的一兵卒視点の見せ方、そして熱いアクションと、文句なしのエンタメ作品。
役者陣も豪華だけど、通常のお芝居プラス乗馬の稽古を相当やったのでしょうね。前作には出てなかった女剣士(清野菜名)も、馬には乗らなかったけど良いチャンバラやってくれたし。
それから渋沢栄一(吉沢亮!)がドンと玉座に着いているのがなんか可笑しい。北関東弁では喋ってくれませんでした、当たり前だけど。