「ベイビーステップ」2014/08/09 12:31

 地味なようで、しかしジワジワと来るものがあります。
 NHKで放送されている、テニスアニメ。
 主人公のプレイスタイルは、相手の戦法を分析し、自分にできる範囲内で最良の手を考えるという、ちょっと「おおふり」っぽい頭脳派。そういう所も味わい深いのですが。
 まず突き刺さるのがオープニング曲の歌詞で、軽快なメロディーと穏やかな語り口でありながらその内容は「自分に負けるな、手を抜くな、できる限り頑張ることに意味があるのだ」と、実にまっとうに厳しい。私なんかにはかなり耳が痛い感じもあります。しかしながら、こういう怠け者には一切媚びない妥協しない姿勢には好感が持てます。
 そして主人公のエーちゃんが、まさにその通りの人物で。
 高校から「健康のために運動しよう」とテニスを始め、最初の大会では善戦するも一回戦負け。よくあるスポーツマンがみたいに、初心者がいきなり大活躍とかしないのです。そこから一年間地道な基礎練習があって、高2の夏にようやく同じ大会でベスト4にまで勝ち上がる。着実に実力と自信が伴ってきている感じが良いです。
 そしてプロを目指す決意をするのですが、それを両親に訴えるのがまた、とってもキチンとしています。来年の夏にプロへの登竜門的大会があり、それで優勝できなければプロを諦めて受験勉強に専念するので、それまで一年間は塾に行かずにテニスをやらせてほしい、と。
 まっとうです。普通です。意外な奇策などありません。
 近年のスポーツアニメは、黒子のバスケとかハイキューとか、キャラクターの魅力とアクションの見せ方がすごく面白いのですが。
 そんな派手さはなくとも。
 目標に向かって、真剣に考えて、行動する。
 ただそれだけのことに、なんか感動できる。

「暗殺教室」2013/10/05 09:48

 今、大変大ハマりな学園漫画。
 この作者にしか作りえない、非常に不可思議な状況設定なので、ストーリーを説明するのは難しいのですが。簡単に言ってしまえば、超生物を退治する物語と、超生物と学園生活を送る物語の、二つの要素があって、その両者を混沌と混ぜ合わせている漫画です。
 ジャンプ漫画と言えば、「友情、特殊能力、勝利」ですが、この漫画の主人公である「せんせー」は正に特殊能力の塊で、もうなんでもアリの超生物なんですが。
 でも基本、その能力はギャグとして描かれます。
 この漫画の真髄は、「特殊能力のない普通の中学三年生」である3-Eの面々が、この特殊な環境でどういう学園生活を送っていくかってところだと思います。
 生徒たち二十数名をきちんと書き分けてキャラクター設定を設けて、賑やかな学園生活と個々の成長を描く手腕が凄い。そして女の子たちが皆カワイイ。
 でももっと凄いのが、特殊能力はないハズなのに、ラスボスの風格たっぷりの学園理事長。実力とカリスマと揺るぎない信念によって、学園を強力に支配する。息子が父親そっくりの胡散臭い笑顔なのに笑った!
 特殊能力満載のモンスターは、漫画的ギャグです(今のところは)。
 特殊能力のない人間の、内側にあるモンスターを描くのが、この作者の真骨頂。

「軍靴のバルツァー」2012/08/04 10:05

 軍人さんつながりで、「パンプキンシザーズ」を思い出しました。あちらは仮想20世紀初頭の「戦後復興」こちらは仮想19世紀の「戦争前の準備期間」なのですが。

 まだ中世の面影が色濃く残る近代初頭の、ヨーロッパの空気がイイ感じ。
 絵とか設定とか、細かいところがとてもきっちりしていて、ある意味ではとてもオタクっぽいけど、むしろアカデミックな印象すら受けます。西洋史(政治面だけじゃなく生活史を含めて)をたくさん勉強したんだろうなあ。
 軍事国家の若い将兵が、同盟国の軍事学校で先生をする話。彼を含めて、大人たちは一人残らず腹の中で何か企んでいそうな人相ワルイのばっかりです。学校の子供たちはみんな可愛い顔してるのに。
 学校生活、政治工作、戦闘場面、の三つのバランスがほどよく、読みやすい。
 男ばっかりでキレイドコロがいないなーと思っていたら、意外な伏兵がいてビックリしたり。
 ただ、登場人物の名前が覚えられないんですいよねー、横文字で、人を名前で呼ぶことがあんまりなくて。主人公も、作中では主に「顧問」と呼ばれてるので、作品タイトルになっていなければ覚えにくかったろうなー。

「夢の雫、黄金の鳥籠」2012/07/08 13:27

 学べ。
 学門と教養を身につけて自分と世の中を判断できる目を養え。

 時は16世紀。小さな村で育ち、広い世界を自由に飛んで行ける鳥に憧れる少女。そんなヒロインが、賊にさらわれて売り飛ばされ、しまいにはオスマン皇帝の後宮へ入ることになってしまう。
 篠原千絵のイスラム版・大奥漫画。前に書かれていた古代オリエント漫画と違ってファンタジー要素はないので、ヒロインが八面六臂な活躍をするってことはないです。
それどころか、陰謀渦巻く後宮からは逃げられない、籠の鳥状態。自分を教育してくれたオスマンの高官を慕うも、その男こそが自分を皇帝に献上した張本人なのだから、ツライ所です。
皇帝の寵を得て、少しずつ後宮内で力をつけていくものの、自分がどう生きていくべきか見えず、しばしば物憂げな表情を見せる。そこがなんか、リアルなんですね。
彼女の望む自由は、どこにあるのか。
ある登場人物が、良いことを言っています。
自由とは、心のありようだ、と。身を立てることが肝心なのだと。
ヒロインはどのようにして、自分の道を進むための力を得ていくのか……
ってあたりがテーマなんでしょうが。
それとは別に。すでに、大きな力を持った皇帝・スレイマンが欧州遠征を開始します。そのうちウイーン包囲とかもやってくれたら嬉しいなー。
まだ二十代半ばの若き皇帝が、さらに力をつけていく。
歴史が、動いていく。

おおふり192012/06/24 23:14

 長かった「ハルナ編」がようやく決着した、おおふり最新刊。19巻で、いまだに高校一年の八月前半です。このペースで行くと高3の夏までいったいどれだけかかるのでしょうか。
 投手二人からナメられまくってる(たぶん悪気はない)けど、全然意に介さぬ三橋。
 準さんが立ち直ってくれて、でも「ワルイ人」って言われちゃってたり。
 利央君と田島君の体格差にびっくりしたり(並ぶと大人と子供みたい)。
 逆ナン(?)で練習試合の約束取り付けるモモカン。
 半日の甲子園観戦中にもモノを食べまくる男子高校生たちの食欲……
 そんな彼らの間でも、そのうち本格的にレギュラー争いが起こる予感。
 等々、色々楽しめました。
 今後も、長く続けて(そしてなるべく早く新刊出して)くれれば、嬉しいです。

おおふり17巻2011/10/03 13:37

「負けて礼言われるってどーよ」
「……屈辱」

 新刊は先月には出てたんですが、読んでみたら春日部戦のそれまでの展開が全然思い出せなくて、中断。16巻を引っ張り出して、改めて。
 スクイズに、本塁打に、延長に、投手交代の難しさに。
 ほんと、「普通の高校野球」なナイスゲームなんですが。
 ただ一人、榛名だけは、いかにも「高校野球漫画の主人公」って感じの格好良さ、頼もしさ。ぶつけて怪我させることは恐れても、自分の球を打たれることはコレッポッチも考えにない投手……
 そんな、清清しいまでに強気な榛名とは対照的に、元・バッテリー組んでた阿部君の屈折してること。イチイチ発想が小さい。阿部君がそんなだから、三橋くんもイロイロ気にしてしまうんじゃないか。
 けっこう前に三橋が、「阿部君は榛名さんに、自分にとってのエースでいて欲しかった」てなことを考えていましたが、全く、そのとおりなんだろうなあ。
 彼のこういう感じはまだしばらく続くでしょうが。
 次巻、ちゃんと十一月に出てくれるかな!

 台詞とか構図とか心理描写とかが相変わらずツボなおおふりですが、今回一番トキメイたのが、オマケページでピアノ弾いてる花井君と意外と骨太な字を書く沖君でした。

「おおきく振りかぶって16」2011/04/06 17:46

 センバツで、履正社選手達が手をつないで輪になっている映像が映し出される。
 おおふり式瞑想、なのかしら。

「あいかわらずイーツラしてる。それが負けてるヤツのカオか」
 なんて言われてる榛名が表紙だと思っていたのですが、16巻は双子バッテリーでした。
 センバツ開幕と同時に発売されていたのですが、閉幕まで読むのお預けにしていたおおふり新刊。朝の電車の中で読んでいたら、やっぱり、元気が出てきます。
 榛名がすんごい頼もしいキャラになってました。阿部君の中学時代の回想とは別人のようです。カッコいいなあ。
 それと、千代ちゃんが本当に可愛くっていいコで、はっきり言って阿部にはもったいない。阿部君よりも三橋の方がよほど気遣い屋さんなのだなあ、不器用だけだど。
 いろんな意味で、彼らの成長が楽しみだなあ。頑張って、秋にはいい成績残してもらいたいものです。
 今年のセンバツには、創部一年で甲子園に来ちゃったチームもあったことですし。
 秋の成果しだいでは、21世紀枠の候補だって狙えると思うんですよ、西浦高校。それで、甲子園で強豪相手にボロクソに負けて帰ってくれれば、言うことないです。

「魔法使いの娘ニ非ズ」2011/03/22 22:23

「こんなはずじゃなかったけど。でも、これが私」
 五話収録していますが、各話にサブタイトルがついているのにちょっとびっくりした、「魔法使いの娘」の続編。
 前と比べてホラー色は強くなり、コメディ色は薄くなった。初音ちゃんがパパに振り回されてってパターンがなくなったからなあ。彼女のブチ切れるところが好きだったのに。
 相変わらす那州雪絵は人間を描くのが上手いなあ、と思うけど、いずれの話も事件のゲストさん達の方がメインになっていて、初音ちゃんたちは裏方担当。
 まあ、いずれは初音ちゃんの抱える問題にも焦点が行くでしょうから、ぼやくばっかりじゃなくて、ウジウジモヤモヤしたモノを景気よく怒鳴り散らしてもらいたいもんです。

俺ティー10巻2011/03/20 22:46

 電車の中で、カバーをかけずに漫画の単行本広げるのは平気です。
 駅前の本屋で「俺ティー」の最新刊を購入して行く。学園コメディ、登場人物全員ユカイでアホな話で頭空っぽにして笑えるから好き。
 10巻は表紙も中身も主人公とは敵対してる(はずの)生徒会がメインだ!。北条さんの足がとてもステキでした。あのくらいのスカート丈が良い。そして登場する毎に確実に好感度の上がっていく生徒会長。
 オマケ四コマに、東西南北シリーズが無かったのがちょっと残念。

「屍鬼」2011/01/14 23:42

 うちに閉じこもりっぱなしじゃアレですね。本屋うろつくの楽しいです。
「ゴーストハント」の新装版は、表紙がゴチャゴチャしてんのが気に入らなくて買う気にならない。読みたいんだけど、久しぶりに。

 TVアニメ放送が終ってしまいましたよ、「屍鬼」。
 原作小説読んでて先の展開は分かっていても、十分楽しめました。深夜アニメはこうでなければ。吸血鬼モノ、血を吸った相手を操れるって設定で、ちょっと某死神ノート思い出したりして。
 小説の方は、最初の方が村の日常を描くばっかりでなかなか話が進まないのですが(そこを乗り越えればもう、怒涛の勢いなんですが)、日常描写の退屈なあたりかなりばっさり抑えて構成し直してくれていました。
 実際これ、構成が難しいと思うのですよ。昔、実写映画になるって噂がありましたけど結局立ち消えになりましたし。主な主人公だけでも少年、医者、坊さんの三人で、他にも登場人物たくさんいてそれぞれにドラマがあって。
 その辺を丁寧に、でも退屈にはならないように再構築したフジリューに拍手です。独特の髪型やらファッションやらに賛否両論はあるでしょうが、漫画にデフォルメはつきものなので私は気にならないや。むしろ、あの絵でフジリューワールドを創りつつ、原作の持つ怖さ悲しさを損なわず表現できるところがすごい。幼稚園児の持つ文楽人形の不気味さはフジリューならでは。
 じわじわと人間を狩る屍鬼の恐怖と
 いっきに屍鬼を狩る人間の狂気と
 ビジュアルや構成だけでなくストーリーにも変更は加えられていましたが、登場人物の心情、性格設定は原作に忠実なので、すんなり受け入れられるのです。
 アニメも、限られた尺の中で削られたエピソードも多々ありましたが、頑張ってくれたと思います。終盤はちょっと心配してたんですよね、アニメ版ゴーストハントはもう、駆け足すぎだったから。