「完全なる報復」2011/02/10 10:17

 LAW ABIDING CITIZEN
 日本でも近年、裁判人制度とか検察の証拠改ざんとか当て逃げ船長の釈放とか、司法のあり方に注目が集まっていますが。
 とにかく、犯行が大掛かりで周到でトリッキーで、なんとなく「ルパンちっく」。ここまでやられたらいっそ痛快に思えてくるのですが、もちろん錯覚です。
 強盗に妻子を殺された主人公が復讐を考えるのはまあ、無理もないのかもしれませんが、そのやり方が徹底しています。これはサスペンスじゃなくてホラーかと思いましたよ。相手を拉致って、気絶しないようにアドレナリンを注射したうえで、手足を切り落とす、体を切り刻む。
 しかし、本番はその後なのです。主人公は早々に捕まって投獄されるのですが、そこからまた、次々と殺されていきます。強盗を弁護した弁護士、判決を下した判事、検察局……
 投獄されたままで、どうやって犯行を行っているのか。
 ラストは不満というか、もう一人の主人公が検事なので、もう少し法の正義を語るような展開でも良かったんじゃなかろうか。
 被害者遺族の気持ちとか、犯人との司法取引とか、極悪人がすぐに野放しにされてしまうぬるい判決とか、正義や真情を深く掘り下げればいくらでも深くなるところですが、そのへんの問題提起はちょっと、かすみがちだったかと思います。
 何よりも、「頭のいい狂人」が次に何をやらかすかに興味が行くので。最強の殺し屋にして最狂のテロリスト、この悪役っぷりが良かったです。

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