「風神秘抄」2012/07/18 22:23

 毎週、スゴク面白く大河ドラマ視聴してるんですが、視聴率は記録的に低迷してるそうです。
 不人気の理由として、「分かりにくさ」があるそうです。
 清盛が頼朝くんを死罪にせず伊豆に流したエピソード、今後の歴史の因果を思えば大変にドラマチックな決断だったのですが、その理由を通説のように「殺すべきなんだけどお母ちゃんが同情して助けてあげてって言うから」とは、しませんでした。死んだ源義朝への思い(怒りや悲しみ、無念)から、清盛は頼朝を殺したくなかった。色々解釈の余地が生じるようなドラマになっていました。
私なんかは、そういうとこに奥深さを感じたりもするんですが。
 分かりやすければなんでもイイってわけでもないですよね。最近思ったところでは「国民の生活が第一」なんて、日本語の意味は明快ですが……
 ただし、分かりにくいことっていうのは、表現の仕方に注意と工夫が必要なのは確かだと思う。

 
 源氏の御曹司にお仕えしていたはずが、カラスの御曹司と行動することになってしまった武家の少年・草十郎。
 主人公の草十郎君が影のある性格なんですが、カラスの方は動物特有の合理的なカラッとした明るさで、しかも事情通で戦の内情なども説明してくれるのがとっても親切。
 以前ラジオドラマで聴いたことがあるのでだいたい内容は知っていたのですが、原作を読んだほうが、主人公たちの心情がよく分かりました。なんでさほど深い付き合いでもない源義平のことをそんなにも慕うのかと思っていましたが、一人で笛を吹くのが好きな変わり者で、孤独な草十郎君にとって、義平はほとんど唯一心をゆるした相手だったのですね。確かに、すぐに死んじゃったけど義平はたいへん格好良いキャラでした。
 草十郎の笛には不思議な力があって、同じく特殊な舞を舞う少女と色々奇跡を起こすのですが。
 ラジオドラマでもそうでしたが、その力を後白河帝に目を付けられたあたりから、なんか話が暗く、つまんなくなってしまいます。
 歌舞音曲によって、義平たちの鎮魂や、頼朝の死の運命を変えるくらいなら、納得できます。すぐれた芸術は人の魂を揺すぶりますから、それによって変えられることもあるでしょう。
 でも、後白河さんの寿命を延ばす、っていうのは、やりすぎでついていけない感じがしました。長寿祈願の舞がホントに効力を持っていて、しかもその対象が世の権力者ならば、確かに未来社会を変える力ですが。
 その奇跡を起こすもう一方の、舞の娘さんが、また、なんというか、あんまり好きじゃないタイプで。間違ったことを言うわけじゃないけど、感情のままに動いて、でも周りから恨まれずに異様にチヤホヤ持ち上げられているのも不可思議で。
 強大な異能の持ち主っていうのは、説得力を持たせるのが難しいのだなあ。

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