「駆け出し男と駆け込み女」2015/06/21 23:33

なんかもったいないなあ、という印象の映画。
江戸時代の離婚問題を題材にしたのは、流石の井上ひさしの目の付け所。
役者陣も、実力ある演技派揃えているんです。
主演の大泉洋は難しい江戸言葉(歌舞伎とかゆっくりもったいぶって喋るけど、昔の江戸っ子って凄い早口なんですね)の長台詞をとうとうと喋る。満島ひかりの艶のある格好良い女性像も良かった。しいて言うなら、戸田恵梨香がお肌キレイすぎ有能すぎたかなあ。
脇役も皆さんそろいもそろって達者で、中でも光っていたのが尼寺を仕切り役の方、エラい美人で且つ貫録ある。宝塚出身の人だ知って超納得。
美術もロケ地もイイ、最高、全てのシーンが美しい。
これだけ格好良い要素を取り揃えていながら、何故かあんまりパッとしない。
メイン三人のエピソードに絞って堀さげた方がよかったんじゃないかと思うのです。原田眞人監督作品は、「わが母の記」でも話を盛り込みすぎな気がしたんですが。
離婚したい女が寺に駆け込むだけでも、様々な事情や手続きがあるのですが。
それに加えて、水野忠邦の改革(1841)やら滝沢馬琴やら隠れキリシタンやら。特に、監督は馬琴が好きなんだなあ、って感じで。
時代を感じさせるためにほんのり。なんかじゃなくて、各要素がちゃんとバッチリ存在感がありました。いろんなエピソードを積み重ねて世界観を膨らませる手法の監督さんなんでしょうが、全体として雑多で長ったらしい気がします。
こだわりを持って制作されたからこそ、贅沢で感動的なカットが次々と生まれて。
しかしそのこだわりゆえに、あんまり一般受けしそうにないのがもったいない。

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://mimikaki.asablo.jp/blog/2015/06/21/7677383/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。