「THE SHAPE OF WATER」2018/03/16 00:15

“まとも”って、なんなのか。
ヴェネチア国際に続いて、米アカデミー賞も。たとえば「E.T」とか、「アバター」とか。どんなに高評価でも異形系はアカデミー賞取りにくいって話だったのですが、それを覆して。
美女ではなく声も出せない中年清掃婦、でも生々しく「女」であるヒロインと、半魚人のロマンス。「反・美女と野獣」の視点としては大成功。半魚人のグロテスクで獰猛な面と美しく神聖さを感じさせるデザインも秀逸だと思いました。言葉もなく名も知らずただただお互いだけを求める二人。
周到に計算された、間違いなく良い作品。
と、思う一方で、なんか、釈然としない、何故だろう?
差別や偏見や血みどろグロテスクはリアルなのに、話の展開はご都合主義的(ラブストーリーはお互いのすれ違いが無いと盛り上がらない)で結末は後味悪く思えたからか。
日本にある異種婚姻譚って、鶴にしろ龍にしろ狐にしろ、たいてい人の形を取っているイメージ。そしてみんな美形。その辺まで含めてファンタジーだと思う。「八犬伝」は人間に化けたりしませんが、だからといって交尾するシーンとかは無い(たぶん)。
それを、この映画は映像化してしまう。グロイと思うか美しいと思うか。そういえば「魔法使いの嫁」も骨男への輿入れ(こちらは美少女だけど)だ、異種婚姻譚ブームなのかな。
イライザさんは美人ではないなりにチャーミングさも持っていましたが、半魚人と近づいていくにつれ、なんかエキセントリックなパワーが出てきます。
他の登場人物は、ゲイの老絵描きさんも、ロシアのスパイ学者さんも、話好き世話焼き黒人女性も、米国的マッチョリズムの嫌な男も、それぞれの立場・性質からその言動はおおむね理解できて、言い換えればそれはある種の類型ってこと。
でもイライザさんだけは異色。でもそう感じるのは私だけで、異種婚姻譚ブームだし、異形ロマンスありですっていう人は案外多いものなんだろうか。

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