「天、共に在り アフガニスタン三十年の闘い」2023/01/28 12:19

石風社の「医者、用水路を拓く」は中村哲医師暗殺後に図書館で借りて読み、目から鱗が落ちる思いでした。土木工事を見る目が変わりました。アフガニスタンという国の歴史や社会も興味深い。9.11後のアフガンを同国農村地帯から見た記録として、歴史的価値もある一冊と言えるでしょう。米軍がテロと戦っていた裏で、地球温暖化と闘う人たちの姿。
今年になって中村医師の別の著書を読んだのは、昨年の米軍敗北やロシア・ウクライナ戦争の影響もあってのこと。ウクライナでは破壊された町の映像が大量に発信されましたが、同様のことはアジアの農業国でも起こっていたのです。
NHK出版の本書も、用水路作りが中心ではありますが、技術的・社会的な困難についての説明を大きく端折った分、読みやすい。2013年までの30年間プラス、著者の生い立ちにも触れられています。
記述内容が時間を遡ったり進んだりすることも多く、巻末の年表を見返しつつ読んでいくのですが、様々な事件や事業が同時並列で繰り広げられているものです。
著者の功績は大きい。そして、事業に協力した大勢の人たちがいました。凶事により偉大な人物が失われましたが、志や技術を受け継いだ人々と、水路は残されました。
命が尽きても、魂は輝き続ける。