「大奥」2010/10/02 02:48

 グッズ売り場の金魚ストラップがかわいい。
 原作は未読です。
 カラフルな衣装は和風でありながら誰も見たことのない斬新さ。かといって芝居役者の賑やかさとも違い、華やかでかつ上品さを表す和菓子を思わせます。そんな表面上の美などものともしない女将軍の、質実剛健そのままな姿。
 美術、色彩、衣装、メイク、豪華な小道具。ビジュアルに力を入れている映画は劇場に足を運んで鑑賞しようか、という気にさせます。衣装設定見たくってパンフレット購入しました。
 観客は若い女性が多いような気がしました。二宮くんのファンでしょうか。
 私も、彼は存在感のある人だと思います。確かに格好良かったですよ、江戸っ子言葉が私のツボなせいもありますが。
 男女逆転江戸時代設定で、世間の男の価値は女に子種をもたらすこと。それが男ばかり集まった大奥に来ると一転、美しく着飾り権力を争う世界になります。いやー、玉木宏や佐々木蔵之助の色気たっぷりなこと。
 しかし二宮演じる水島は、そのどちらとも違う。「侍」っていうか、剣術をよくし、颯爽として、他人の気持ちを汲む優しさがある。暗く閉ざされた大奥の中で水島には邪念が無い。新入り下っ端時代は先輩からの嫌がらせも受け、しかし上役の目に留まって出世し、当然のように上様の目にも留まるのですが、そんなシンデレラストーリーに落とし穴が待ち構えていて……
 この辺の展開はちょっと唐突な感じもしたのですが。
 そんな水島よりもさらに男前なのが、柴咲コウ演じる将軍・吉宗。彼女もまた、存在感のある役者ですね。昔見た「メゾン・ド・ヒミコ」を髣髴とさせるキリッとキツイ表情で、でもその中に微妙に柔らかい感情も織り込んで。
 しかし。将軍吉宗で、白馬に乗って駆け巡り(その1シーンだけのために阿蘇でロケ。柴咲さんお疲れ様です)、身分を隠して市井を見て回るなんて。
 暴れん坊将軍以外の何を連想しろというのか。格好良いのに、笑うって。
 あれだけカラフルだった男たちが、将軍の好みと知るやみんながみんな黒い裃で勢ぞろい、中には水島を真似て月代を剃る者も出てくる、滑稽さ。金魚鉢に喩えられた大奥を一蹴する吉宗の、痛快さ。
 それなのに、残念、エンディングが全然合ってない。甘甘だ。
 あれならいっそのこと、葵の御紋をバックにちゃーらーちゃらーららー、ちゃーらーらーららー、とか流してくれた方が思い切って笑えて好かったのになあ。

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_ 映画を観るなら - 2010/12/19 00:00

き合いで観にいってきました。ハッキリいって全然期待してませんでした。ところが一転、結構面白い☆最初は男女逆転という設定の、将軍が女で大奥にいるのが男達という馬鹿げた発想の違和感がありましたけど、それを超えると、逆にそれが面白くてしょうがなくなってきま..