日向大神宮2024/01/03 23:34

初詣にあらず。23年はあんまり寺社参りしてないな、と思い、年の瀬に日向神社へ。奥にある天岩戸をくぐり、そのまま大文字山頂上を目指す。午後二時半頃到着し、持参した蜜柑を剥いて休憩。
それから少し下り、普段職場の窓から眺めるだけの、送り火の大の字へ至る。京都市街地一望。
この日は日暮れ前に下山するペースを考えていたのですが、下り途中に上ってくる人と多数連れ違う。今度行くときは、私も夕日の時刻を狙っていこうかしら。

ランタンと琉球太鼓2023/01/14 23:40

魂を震わせる、ずしりとした響き。時に指笛。
据え付けて連打する和太鼓とは趣が異なる。吊帯を肩から斜め掛けし、腹に抱えた太鼓を右手のバチで打ち、緩いテンポでくるくるとステップを踏む演舞。
三十名ほどのメンバーは、小中学生が多いか。幟には「琉球祭太鼓 京都支部」とありましたが、大阪や兵庫からも集まってきたという。雨が上がって本当に良かったです。

そんな奉納太鼓が行われたのは、萬福寺のランタンフェスタ。日中国交樹立50年記念で、先月から開催されている光のイベントです。中華風寺院に中国のランタン飾り。入場料が強気なお値段設定だったのですが、市民サービスデーで半額以下、甘酒無料券あり、に釣られました。
骨組みにカラフルな布やガラス小瓶を貼り付けた、鶴やお釈迦様や宝船や桃園の孫悟空などの像が、日の落ちた境内に輝く。変わったものでは、樹脂製の大きな輪が色とりどりに吊り下げられている。十年以上ぶりくらいに、ブランコを漕ぎました。それも、色の変わる光を放つやつを。
蓮池周りの、大型犬サイズの昆虫たちのランタンは印象的でした。中国では虫っておめでたいモノなのでしょうか。
イタリア由来のルミナリエほどの洗練はありませんが、愛嬌は感じます。

灼熱のポンペイ展2022/07/03 23:19

何も考えずに近くのそば屋で腹ごしらえしてから行ったら、14時からしか入れない。混んでるんだ。チケット予約してからお昼にすれば良かった。(冷たいアカモク蕎麦は、美味しかったです。)

黒いワンコ、猛犬注意がマスコットなんだ。


ヴェスヴィオ山の噴火により、完全に滅びた町、ポンペイ。火山灰の下にまるまる残された紀元1世紀の人々の暮らしが、はるか東洋の島国にまでやってきました。
79年当時って日本では弥生時代なのかと思うと、異常なまでの生々しいタイムカプセルです。これ本物ですか、レプリカじゃないのですかと目を疑う。
動物性植物性のモノは腐るか炭化するかですが、鉱物性のものはバッチリ残るのですね。アクセサリー(金や宝石)は普通に今でも使える。当時のモザイク装飾の可愛いこと。なんてことない古代の地方都市が、いかにオシャレだったのかがよく分かります。
最近流行の、写真撮り放題太っ腹展示。本来ならナポリ国立考古学博物館でないと見られないアレコレ。
悲劇の舞台故のこの保存状態、と思うとチョッピリ複雑ですが、しかし楽しかったです。

「挑む浮世絵 国芳から芳年」2022/04/03 23:45

遅めのお昼ご飯は、京都文化博物館併設の飲食店で血の池に見立てた赤いスープのおうどん。……血の池そのものが登場する作品はなかったのですが。
「猫大好き」国芳先生と「血まみれ」月岡芳年作品を中心とした歌川一門の浮世絵展。同じ題材を師匠作と弟子作並べて展示したり、武者絵の特集では陣太鼓BGMだったり、飲食店のコラボがあったり、そして一番のサービスが、写真撮り放題。それ絵葉書や図録が売れないんじゃないかと思いましたが、スマホで撮影してもあんまりキレイに映らない。
何年か前に歌川国芳展は見に行ったことがあります。サービス精神たっぷりで楽しげで、人斬りシーンを描いていてすら、ぴょーんと首が飛んでいく感じがコミカルっていうか、芝居の舞台っぽい。
その弟子の芳年の方は、真に迫る。西洋的写実主義を導入する時代性の関係もあるでしょうが、ご維新で上野の戦を近くに感じたことも大きいのでしょうね、血の描写。
今回購入した絵葉書は、国芳師匠の擬人化雀の吉原風景と、芳年の「月百景」シリーズのひとつで僧に化けた狐。ミッキーマウスを始めとして、ひとはなぜ、動物の擬人化を好むのだろう。

東福寺に桜はない2022/03/06 12:27

文化財特別公開今週末までや!と気付き電車に乗り、昼前に東福寺に到着。暖かいけど風が強い。梅が咲く。
京都市観光協会さんの説明が丁寧で、全体的に満足な鑑賞でした。
まずは法堂で、昨年から何度か観る機会を作っていた堂本印象の蒼龍図。昭和八年八月八日に目を入れた天井画で、制作に使われた大筆や写真も展示。堂内では、大昔に火災焼失したご本尊の右手(全長2メートル以上)も間近に拝めます。
それから、三門の急な階段をのぼる。見晴らしが良く、蓮花を伏せた形の装飾、彩色施された梁が放射状に延びる。中央の御仏よりも周囲に並ぶ十六羅漢の方が印象的、なんかゴツッと強そうで、武士の時代の仏教美術って感じ。
昨年観た「燃えよ剣」のロケに使われていた(軍服土方が昔語りをするシーン)場所で、映画と違って出入り口以外の開口部は閉められていて、いささか暗いのは仕方がないなあ。
最後に昔の坊さんたちのトイレ、東司。これだけ見ても面白さは伝わりにくいモノですが、味のある再現図と丁寧な解説がありがたい。排泄物の再利用と同時に重要なのが清潔第一で、用を足した後厳密な手順に従って手洗い。
感染症予防大事!

「平家物語」2022/02/20 16:53

先月すえ、近所で平山郁夫の版画展示販売があった。縮小サイズでも、シルクロードやラクダがエキゾチックで美しい。日本の寺院も結構描いていて、リニューアル前の茶色い平等院が逆に新鮮。
そして二枚の厳島神社は、朝の光と、夜のかがり火の中で、潮風を受ける。

かつて、「鬼滅の刃」の超弩級迫力アクション描写や、「君の名は。」のスーパーリアリズム美麗描写のような、すさまじいアニメーション表現が、ニッポンを騒がせてきた。
しかし、そういった派手さとは別の領域、抜群のセンスと丁寧さを武器に、これほど目を離しがたい画が出来上がるとは。「平家物語」がツボだ。楽しすぎる。
映画顔負けの印象的なカメラワーク。四季の花や雪や紅葉で時の流れを表し、灯籠や屏風絵などの小道具で人物像や場面状況を表す。絵柄は「まんが日本昔話」の進化版みたいな感じで、シンプルな線だからこそ、こだわりの描写がよく見える。
大河ドラマでは意外と映像にならない鴨川の流れや東山の稜線もアニメでは再現される。度々登場する厳島神社や橋合戦の宇治橋などの建造物もそう、現物はCGで処理しないと現代の風景になってしまう。しかしそういうのは、一部抜粋よりも、引いて全体像を映してくれた方が美しく分かり易い。実写よりもアニメの方が歴史物語と現代のつながりを実感させてくれる。
現代といえば、安徳帝即位シーンはちょっと笑う。数年前にTVで見たのと同じで、明らかに意識的に令和の時代に寄せた場面。
オリジナルキャラを主人公にして、それでいて本家の主要エピソードはうまく押さえたストーリー構成。そこへ、琵琶法師の語りまで入れてくれるなんて。主演声優さんの力量が凄い。
盛者必衰の物語、明るいオープニング曲に合わせて笑顔の平家の皆さんが、これからたどる運命を思う。哀しく、美しく、そしてそれ以上の何かを見せてくれるに違いないと、期待している。

堂本印象美術館と、仁和寺2022/02/05 23:09

関西文化の日。博物館や美術館のPR企画で、例年芸術の秋に任意の一日が入場無料に設定されますが、2021年度は、+冬。コロナがらみの文化支援予算が付いたのでしょうね。

一月最後の日曜日に、堂本印象生誕130年展の後編を見に行きました。前編は絵画中心で、今回はポスターやデザイン画の特集。普通の肖像画だと思ったら額縁込の作品だった。ショップの土産物和菓子の包装紙が堂本印象デザイン。
春に見た鳥居の下絵もありました。下絵が多めで、デザインを担当し、制作は別のクリエーターの手によるパターン。
やはり完成品の方がイイナ。と、きぬかけの道を仁和寺まで。美術館が無料で作品鑑賞させてくれたのに対し、世界遺産指定でご朱印に菊の御紋を使うような格の高い寺院は、強気なお値段設定ですね。
昨年名勝指定された御所庭園がメイン展示ですが、黒書院が修理中で武骨な覆いがある状態。お目当ての堂本印象の襖絵はその黒書院に奉納されたモノですが、襖絵は裏表があるし正面から見るには座敷の中に入らねばならないのに、できない。外から覗いても、薄暗くてぼんやりしている。中に設置されたいけばなの花器の方が印象的。冬の京都の寝殿造りの寒さを体感できました。
霊宝館で展示されているほうは、暖房と照明設備アリで鑑賞できました。旭日と桜、秋草と兎、栗の木にリスの3セットでしたが、明らかに4枚1セットの襖絵を、2枚ずつに分けるという残念な展示の仕方。襖の紙は、近くで見るとずいぶん黄ばんでいました。京都の大寺院の歴史から見れば、昭和の作品なんてつい最近のモノなんじゃないのでしょうか。
文化財保護や展示センスについて考えさせられる。

お茶と宇治のまち歴史公園2021/10/02 22:49

交通各社、どこも減収で大変なのでしょう。
京阪のダイヤ変更で、以前より三分早く自宅を出なければならない。本数も減って、でも収益を考えたら、しかたのないことなのだと納得せざるを得ない。

そんな京阪宇治駅のすぐそばにオープンした施設。8月半ばに開館予定が、緊急事態宣言のために即日休館、10月になってようやくお客さんを迎え入れることができました。
しかし、開館前から施設周辺の芝生や遊歩道は気持ちの良いキレイな空間になっていて、親御さんが小さいお子さんを遊ばせたり、お弁当を広げたり、お散歩したり、のどかなくつろぎの場となっていました。
施設内のミュージアムにはあんまり興味ありませんが、昔の堤防(太閤堤)解説は面白く思いました。……アフガニスタンで亡くなられたお医者さんの著作を読んで以来、治水や土木工事を見る目が変わった感じです。
美しい広場や、ピカピカの新しい集会室をいかに活用できるか。魅力的なイベントを開催して人を集め、何よりも地元の人たちに好意を持ってもらえる場所にならないと作ったかいがありません。
オープン記念に来館者全員に配布の団扇は、プラスチックじゃない。竹の骨に抗菌抗ウイルス美濃和紙使用。なんだかんだ言って宇治市はおカネあるなあ。

堂本印象 生誕130年2021/09/26 21:58

京都駅からバスで40分ほど、ちょっと遠いけど、以前から気になっていた府立美術館。もともと印象自身が実家のすぐ前に建てた私設ミュージアムで、外観内装の意匠がヘンテコリンでオモシロ楽しく、いつまで居ても飽きない。
企画展は今週末まで、と、思っていたら11月23日まで延長。聞けば、コロナのために次の企画が難しくなって、と率直な返答が。どこの施設も大変なのでしょう。緊急事態宣言が解除されてから観に行きたいっていうお客さんもいるかもしれませんしね。
作品ジャンルが多様な堂本印象(五月に自分が見たのは神社の鳥居デザインだった)ですが、今回は絵画作品を中心に。人気投票BEST10が発表されていて、ポスターになっていた「木華開耶媛」は第3位。しかしポスター外の部分、女神の素足の色っぽさとか春の小川の華やかな景色がセットじゃないと全然違って見える、と思ってこれは絵葉書購入。もう一枚買ったのは、モノクロームで描かれた「夕顔」(同10位)。
印象は抽象画のイメージが強かったけど、動植物の描き方があたたかく可愛らしくて(同2位は春の野の兎だった)ほのぼのします。
抽象画はやはり難しいけど、「交響」(同4位)はなるほど、スタイリッシュ交わり響き合うって感じでした。
企画展後編も、できれば見に行きたい。

ハルカス美術館、パリの女たち2021/07/17 23:51

ミュージアムショップで購入した絵葉書を並べてほくほく。
土曜でそこそこ人出はありましたが、ポスターにも使われたルノワールの美少女の撮影(本物を撮れるものなんだ!)はできるレベル。
フランスはパリ、特に女性像を中心とした本展、香水瓶や化粧道具(カワイイ)の展示があるところなんかポーラ美術館コレクション展って感じです。近くに寄ってタッチを見たり、離れて全体を眺めたり。
妖怪か、異星人か、ピカソの存在感。事物の多面性を二次元で表現するとこういう怪物じみた継ぎはぎになるっていう。普通に柔らかげに描かれた母子像の絵と並べられている。シンプルに明快に受け止めたり、複雑怪奇な深淵に手を伸ばしたり。
一点だけ展示されていた、ゴッホ。川辺で女たちが選択している風景ですが、青い水と空、そこに、赤いアクセント。なんで橋の上に血しぶき?って思いましたが、あれ木々なんだ。色彩感覚重視。