「US」2019/10/08 00:28

つい最近読んだものだから、「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」を連想してしまう。監督・脚本のジョーダン・ピールは、ああいう春樹ワールド好きかもしれない。地下の世界と、陰謀と、そこで蠢くモノたち。
始まりは、ちゃんとホラー映画。ドッペルゲンガーもので、もう一人の自分が襲い掛かってくる。鏡映しの己自身が最大の恐怖。
しかし、途中からは、不条理モノ。村上春樹は不条理や理不尽をわりと淡々と受け入れて憂いに沈むけど、米国映画はそうはいかない。己の居場所を守るために血みどろの戦いを繰り広げるのだ。
大量のウサギちゃんたちとか、赤い服で手をつなぐイメージとか、エレミヤ書11章11節とか、鑑賞後にパンフレットでようやく意味が分かる。
社会の矛盾と罪。結構真面目な問いを、ギリギリ、エンタテイメント性の枠に入れてきている。

ベルリンからのフルート2019/10/08 00:35

今年はベルリンの壁崩壊30年であると同時に、巨匠・カラヤンの没後30年でもあったのだった。
今年の大フィル京都公演のチラシ、二度見して、即日チケット購入。パユだ、パユだ、世界最高峰ベルリン・フィルの首席フルート奏者だ!くしくも30年前、神戸国際フルートコンクールで一位入賞してるんで日本に縁があるとはいえ、大物登場だ。
一曲目はモーツァルトのフルート協奏曲2番。モーツァルトっぽい可愛い曲だ。オーボエ協奏曲をモーツァルト自身がフルート用に編曲して別の曲としてカウントしているという、手抜きとも流石とも言えるなあ。
二曲目は編成が大きくなりピアノや、私の好きなハープも入ってくる。「ちょっと病み上がり(本人談)」な本日の指揮者・尾高忠明氏の父上、尚忠氏のフルート協奏曲。日本人の生み出すフルート曲らしいっていうか、ところどころ日本の横笛っぽい。ハープが時々お琴っぽく聴こえたり。
フルート演奏的には、こちらの方が聴き応えがある。モーツァルト時代のフルートは楽器としてまだまだ未完成で安定しない部分が多かったそうで、新しい時代の曲の方がフルート技巧楽しめるのでした。
そして、後半はさらに大編成。抱えるだけでも大変そうな巨大チューバが目を引く。チャイコフスキーの5番は、冒頭が暗くて重くて疲れている時聴くと間違いなく寝てしまうけど、すぐに悲鳴のような大音量で目が覚める。……ていうか、この一楽章を聴いているとTVアニメ版「銀河英雄伝説」艦隊出撃シーンや「パイレーツ・オブ・カリビアン」のテーマを思い出してしまう。
上品で軽やかなフルートコンツェルトのあとだと、かなり荒々しく聴こえる。第三楽章のワルツ要らんのじゃないかってくらい、激しい闘争からの勝利の雄叫びだ。
でも、そんな大音量曲ばかりがチャイコフスキーじゃなくって。アンコールの弦楽によるエレジーはとっても静謐な美しさだから。