「あやかし飴屋の神隠し」2019/10/13 23:27

妖怪は出てくるけど、怖いお話ではない。登場人物の皆さんが基本的に気の優しい人たちで、ほんのり温かい系だ。
紅玉いづき、は前から気になっていたラノベ作家。文章が句読点で短く区切られているあたり、懐かしの若木未央を思いだす。心理描写の揺らめきとか。
しかし、ラノベはすいすい読めるなー。メディアワークス文庫から14年刊行の本書では、主人公もその相方も二十代後半男性、でも女子高生キャラの描写のイキイキっぷりから、こちらの方が作者の本分なのだと思われる。
人生後悔ばかりでやたら自虐的な男が、妖怪の力でやり直し可能、と知っていたら、どうなるだろうか。あれもやり直しできる、これもやり直しできる、希望でいっぱい……には、ならない。
人生二週目望むのは、それまでの一週目人生の喜怒哀楽に対する否定なんじゃないか?