「風立ちぬ」2013/07/20 00:14

 堀辰夫より、劇中でちらっと触れられていたトーマス・マンの方を読み返したくなってくる。その昔、あまりに長すぎて途中で挫折したけど、サナトリウム文学の夢幻と現の狭間感が半端ない、「魔の山」

 映画の試写会に当たって、観に行きました。
 ポスターの大事がなんでこんなドピンクなのかと思っていたら、主人公(成人男子)のイメージカラーでした。
 ドリーマーで、ロマンチストで。ジブリの主人公でこんなベタベタいちゃついているのって異例な気がします。
 それでいて、お話はとっても現実的で、ふわふわしたファンタジーから離れた大人仕様です。ジブリ映画特有の雄大な自然描写は主人公の夢の中だけで。一番の見どころは震災シーンでした。
 関東大震災に、貧困、病、戦争。
 現実は苦しくて矛盾に満ちているけれど、それでも夢を追って、美しく生きて行こう、というお話。
 主人公の二郎さんは、大変清々しい男なのですが。
 声が、おっさん。特に学生時代のシーン、瑞々しく演じてほしいところで、とっても枯れたお声で。
 アニメって、声のイメージが重要ですね。

「きっと、うまくいく」2013/07/20 00:15

ボリウッド作品もここまでのレベルに来たか、て感じです。字幕監修いとうせいこう。
インド映画に特有の、突然歌って踊る愉快なエンターテイメントですが、三時間、たっぷり泣いて笑えました。
名門工業大学の3バカトリオの繰り広げるハチャメチャ学園コメディーですが、しかし訴えるテーマは真面目なモノ。
画一的な詰め込み教育とか、拝金主義とか、競争社会における自殺学生の多さとか。
どっかの島国とおんなじ道をたどっているよ、経済大国インド。
恐れずに、自分の信じる道を進め、結果は後からついてくる・・・・・
わかっているんです。
現実は、そんなにうまくいくはずない。
それでも、この映画のエンディングの後には、決め台詞の「Aal izz well」が、脳内をリピートすること間違いなしです。