「獣の奏者 探究編・完結編」2014/05/11 23:27

 上橋菜穂子の、アンデルセン賞受賞記念ってことで。
 元々「戦蛇編・王獣編」で完結した小説だったのに、それから十一年後の世界が続編として描かれる。ヒロインのエリンちゃん、「三十代、子持ち、リケジョ」という児童向けファンタジー小説の主人公らしからぬ設定です。
 第一部で、最強の獣を操る術を会得した「最終兵器彼女」が、それゆえに続編では命を狙われたり戦争に利用されたりします。第一部に比べると、暗くて悲壮感が漂います。
 その一方で、母と子の物語でもあります。特殊な立場に立たされながらも、母親として息子の将来を思いやり、彼らのふれあいが丁寧に描かれます。彼女の波乱に満ちた人生における、何気ない日常エピソードの数々が、なんだか尊いモノに感じられてきます。
 しがらみに捕らわれ思うままにならない中で、何とかして家族を守り、最善の道を探そうとする(探究編)のですが・・・・・
 昔の王様が政治的判断によって秘密主義な掟でガンジガラメにしたことを、それが通用しなくなった現実を前にして、エリンちゃんはリケジョとして真相を暴くことに邁進します。
 ありのままの、自然な生き方を求めて。

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