「多十郎殉愛記」2019/05/17 23:09

主演が高良健吾くんでチャンバラメインの作品。ということで観に行った映画。
チャンバラと言っても、華麗な動きで鮮やかに切り倒す、ショーっぽいアクションではなくて、けっこう泥臭い。剣の達人設定とはいえ、ずっとニート生活で稽古もなんもやってない主人公なので、ぜいぜい息を切らしているほうがリアルではありますが。
ちょっと、盛り上げを効果音に頼りすぎる印象。
中島貞夫監督・脚本による人物描写には、何か、迫るものがありました。ある意味古い、パターン通りともいえるのだけど。
夢も希望もヤル気も無い男が絵筆をとって故郷の夏蜜柑を描いていたりしてモラトリアムな若者だ。おとよさんはしっかり者なのに情が厚すぎて惚れた男からの「頼れるのはお前だけ」という殺し文句に血迷う。多十郎の弟くんは甘ちゃん全開に都会に憧れて上京(京都)し、「お国のため」という流行にノリノリで。……時代は幕末なんだけど、容易に現代社会に変換できてしまうよ。
そして異様に雰囲気あったのが、役名も付いてないようなオッサンで。パンフレットによるとその昔「新選組血風録」で土方やってらした役者さんで、メッチャ納得。終盤にこんな渋い人登場させてしまったら若いメインキャストたちが相対的に軽くなっちゃって困るよ。