第95回センバツ記念大会、決勝、初優勝2023/04/01 17:29

7-3
甲子園まで観戦しに行った昨日の準決勝に続いて、決勝も好ゲームでした。
山梨学院、県勢初優勝おめでとうございます。開幕戦から、6連勝!
吉田監督はかつて普通の公立高校チームを長崎初の甲子園優勝に導いた、どう考えても名将ってやつで、山梨に移り10年で、優勝請負人、果たしました。TVのゲスト解説では比較的厳しめなお言葉で、でも試合展開を観るとなるほど監督のおっしゃるとおり、と納得でした。……今大会でのインタビューで、謙虚な言葉が多くてちょっと意外。
エースの林くん、「何での俺が(ヒーローインタビューに)呼ばれないんだ」とのコメントには笑いました。強気、試合中はイイ笑顔。インタビューに呼ばれないのは九回投げきった直後で翌日の決勝に備えて休息するのに専念してもらいたいって配慮もあったのではないでしょうか。
しかし、杞憂っていうか。剛速球の力投型ってわけではないのですが、それでも疲れは在るはず。急速も昨日より抑えめで。ボークで先制点を許した時にはひやりとしましたが、大崩れしない。昨日の広陵戦もそうでしたが、三振は少なく、フライアウトが多め、制球良く四死球少ない(「おおふり」で主人公が優勝するにはこのパターンが理想、という投球内容)。おまけに、反撃のツーベース打って同点ホームを踏むとか、ヒーローだねえ。
打線は、集中打と積極的走塁がお見事。準決勝は劣勢続きで最終回に打者一巡5点でしたが、今日も押され気味の中、六回に大逆襲7点とって試合ひっくり返しました。
準優勝の報徳学院、準決勝では「逆転の報徳」の面目躍如、序盤の5失点を挽回し、大阪桐蔭の春連覇を阻み、秋近畿大会のリベンジを果たしました。山梨学院とは対照的に、3投手をまんべんなく起用して勝ち進んできましたが、今日の決勝は、ちょっと先発投手を引っ張りすぎたか。相手の勢いを止められませんでした。

マスクなし声出し応援も解禁されて、WBCの名言じゃないけど、高校野球が勝利した大会だったと、思いました。ありがとうございます。

「THE LEGENDO & BUTTERFLY」2023/04/09 17:22

大河ドラマからドラえもんまで、大人気の古沢良太の脚本に、大友啓史監督。東映創立70周年記念で、その気合いの入れ方は、主演のチョイスにもうかがえます。
前半は、綾瀬はるか演じる帰蝶さまの凜々しさが光ります。この方も、民放でも大河でも武家の娘やってきましたし、さすがに板についています。
後半は、木村拓哉演じる信長の、裏に苦悩を伴った魔王の姿。クライマックスの本能寺は「生きて帰る!」決意と状況の絶望感の二律背反ぶつかり合いで盛り上がりました。
主演二人がとても運動神経良い方々で、戦闘でもそれ以外の動きでも、見応えがありました。
脇役の方々もそれぞれしっかりと個性的。徳川家康なんか、「味のあるおっさんだなあ、なんていう役者さんだろ」と、思っていたら、クレジットにイケメンで有名な俳優のお名前でびっくりしました。
口だけ格好だけのダサい尾張の悪ガキが、政略結婚で素敵なお嫁さんを迎え、彼女にイイとこ見せんがために柄にもなく張り切って、都へ乗り込む。
ふたりの運命が、重い沼にはまり込む。

「THE FIRST SLAM DUNK」2023/04/16 00:19

名作の名場面集をコダワリの作画映像演出でご覧ください、という作品。
原作者・井上雄彦によるセルフリメイク。くらいに思っていましたが、作品知名度だけで年末興行から四ヶ月も上映され続けられません。漫画・アニメファンも目の肥えた映画ファンもうならせた、納得の出来栄え。映像監督初作品でこれだけの仕事、井上監督のセンス感性と、スタッフをまとめる人間力が凄すぎる。
山王戦を二時間に収めてしまうのにちょっと不安はありましたが、問題なし。漫画で数コマ・数ページ費やすシーンもアニメでは数秒ですからね。
バスケの迫力だけでなく、人間関係や心情の機微を描くのも上手いことに改めて気づかされました。リョータ君のバックグラウンドを掘り下げる描き方でしたが、他のメンバーも十分格好良かったです。
あえて脚本に難を言うならば、爽やかバスケ少年だったみっちーがどうして不良グループになってそれからどうしてバスケに戻ってきたのか、原作読んでいない人には(そんな客はほとんどいないのかも知れないけど)全く謎であろうということか。
「THE SECOND」を制作するなら、是非とも、そんな三年生たちをメインでリメイクお願いします。

「おそろし 三島屋変調百物語事始」2023/04/22 23:08

続編の、くろすけの表紙絵が、可愛い。
宮部みゆきの、このシリーズ、自分は聞き手が変わったところから読み始めたのですが、若いおちかさんが聞き手を務めたのが発端。まっとうに生きてきた善人たちの、内に秘めた暗い影が語られる。
語られてきた怪異が、ラストの第五話できれいにまとめられ、おちかさんの人間への恐れと後悔も拭われて、めでたし、めでたし。シリーズものにする必要ないじゃないかとも思えましたが、作者の好み・創作意欲にばっちりハマった形態なのでしょう
舞台が江戸時代なのも良いです。基本が怪談なので、暗く悲しいエピソードなのですが、お着物描写の華やかさ、商人たちの言葉遣いの丁寧さ、礼儀正しさがいいなあ。ちょっと見習いたい。