「家族はつらいよ 2」2018/06/03 14:27

休日の昼間にダラッとTVで観るのにおあつらえ向きな映画。
カンヌでは特殊な家族関係を描いた作品がグランプリ取りましたが。
古典的な三世代同居家族を中心にした映画を面白く撮るって、山田監督は逆に新しいんじゃないかと思えてくる。
思った以上に面白かったです。前作もTV放送されているの観ましたが、それよりもパワーアップした印象。
中心にあるのはサザエさんやちびまる子ちゃん的な古風な大家族。しかし、年寄りの運転免許問題というテーマを設け、前作で熟年離婚を考えていたおばあちゃんは離婚はしないものの亭主をおいて友達とオーロラ観に行くってウキウキ。寝たきり老人を抱える家族、貧困老人の孤独な生活……
配置されているアレコレは、ちゃんと現代的。娘の習い事にどこまでお金かけようか(ピアノ)とか。シビアなテーマでも、コメディチックに、そして優しく描く。
山田洋次作品に特徴的なのが、寅さんの妹さくらさんとか、小さいおうちのお手伝いさんみたいな、可愛くて善良でしっかり者で理想的な女性像。このシリーズでは蒼井優が演じる一家の次男の嫁さん。こんなイイ娘いるもんかい、と思いながらも可愛いなあ、と癒される。

君の名前で僕を呼んで2018/06/10 23:25

パンフレットが通常版の他に豪華版¥2200があって、どこが違うのか尋ねたら「写真が多い」とのこと。写真集かあ……美しい北イタリアの風景の中にある、イケメン映画。しかし、夏の休暇を、室内パン一で過ごすのは日本男児も西洋の美少年も変わらないらしい。(でも、パン一の美少年がエレガントに?ピアノ弾くってなんかスゴイ)
経済的にも文化的にもレベル高そうな環境で、エリオ君17才は気になる人がいる。最初はイケスカナイと思っていたのに、目が離せない。気の置けないガールフレンドもいるのに、本当に触れ合いたいと思っているのは、同居人のオリヴァー24才だった……
ひと夏の出会いと別れ、男同士版。
なのですが、筋書きそのものは王道っていうか普通っていうか。
イチャイチャと絆を深め、二人きりで旅行したりもするけど、やがて訪れる、夏の終わりと別れの時。……BLにも不倫小説にもありそうな感じです。
普通っぽくないのは、エリオ君の両親がもの凄く息子の同性愛まっしぐらに理解が深く、むしろ応援しているところ。時代が80年代なのに。
美しい風景、ピアノを基調とした美しい音楽、美しい男たち、夏の恋。あらゆる意味で理想郷な夏と、それが閉ざされる冬を描く映画でした。

アジサイとフクロウ2018/06/10 23:27

こんなお天気なので、お洗濯はサボり。
そのかわり、雨でも風情のある、アジサイ見物に出かけました。お近くの山の中の三室戸寺。昨年の黄金週間にはツツジを観に行った。あの時は斜面の赤を見上げてからツツジ小道を歩き回り、今回は谷を見下ろしてからアジサイ小道。
株数ではツツジの方が多いですが、同じような赤ばっかりと違って、色も形も様々なアジサイは飽きが来なくてよろし。
蓮の時期にはもうちょっと、ですが、気の早いのがふたつ、ほんのり花開いて。葉が風に揺れると輝く雨水がつるるんと滑る。
そう、ここはカメラを手にした観光客を呼び込む「花のお寺」アミューズメント。ご自由に鐘をついて良い(無料)ことになっていて、途切れることなくごんごんと鳴り続ける。
そして、本日のメインイベントは、今年の四月にオープンしたカフェ・レストラン、「ハルココ」。気になってはいたものの山まで行くのはちょっと面倒で、でもこのくらい涼しい日なら。
想像してみよう。普通の住宅地に、本格的なログハウスが一軒紛れ込んでいるチグハグ感を。明るく開放的なオープンテラス(犬同伴OK)、しかし景色はあんまりよろしくない。眼下に絵具工場と、貝殻の山がそこかしこに白くある風景は別の意味で非現実感だと思いながら無難にカレーを頂く。
気になっていたのは、このお店、二羽のフクロウちゃんがいるということ。カワイイ。残念ながら、フクロウカフェではないので間近に接することはできない(びっくりしちゃうそうな)。
食後のコーヒーを飲みながらゆっくり文庫本読めるのはイイなあ。日曜の観光シーズンの昼時に、店内閑散として。

「ズートピア」2018/06/16 16:29

2016年のヒット映画、金曜ロードショウ。
都会版シルバニアファミリー?いえいえ、ディズニーの3Dアニメ、侮れないなあ。ただドタバタしているだけじゃなかった。高評価も納得。
かわいいウサギちゃんが、相棒のキツネといいコンビを見せてくれる、バディものの面白さもあるのだけど。
明確なテーマ。さまざまな種類の動物が共に暮らすズートピア。究極のバリアフリーに見えて、しかしそこは、必ずしも「平等・公平」とは言えない。ウサギは可愛らしく弱いモノ、キツネはずるがしこくて信用ならない。そんな「偏見」が、彼らの夢を阻む……
登場人物は動物でも、イメージはどっかの多民族国家。
そうやって決めつけられて自分自身を正当に見てもらえなかった経験のある人には、おおいに共感できることでしょう。ていうかそういう経験のある人がこの作品を作ったとしか思えない。「反ステレオタイプ」の設定が随所にあって。小さいのに「ビッグ」って呼ばれていたり、スピード狂のナマケモノとか。
そしてウサギちゃんは、困難があっても、夢を諦めない。知恵と勇気とガッツでウサギ初のポリスになって、事件に立ち向かう。
これを、応援せずにいられるだろうか。