「満願」2019/05/05 23:36

ミステリ連休になってしまった、三作目は米澤穂信(78年生まれ、同世代なんだ)の短編集。この人も、シニカルな哀愁を描く作風だ。収録作品の初出は2010から2013だけど、発表順に並んでいないのは何の意味があるのかしら。
六篇のうち「万灯」が印象深い。アジアの資源開発と日本の古い民間信仰を繋ぐイメージ、日本のミステリとしては珍しい切り口じゃないだろうか。視点の遠近に、著者の「さよなら妖精」をちょっと思い出す。
メインタイトルになった「満願」も面白い。トリックや犯人探しより動機探しをテーマにすると、重要なのが犯人の人物描写。そういうのが上手い作家さんだ。
求めるモノは、人それぞれ。密かな願いを叶えようとするその数だけ、ミステリが生まれる。

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