「テンペスト」2015/06/22 23:33

ドラマ版は第一回を見て即切ったのですが、もっかい原作本を読んでみようと思ったのは、まあ、最近の沖縄基地問題の件があるのと、そして作者・池上永一のデビュー作がけっこう面白かったからですね。ファンタジーノベル大賞系の作家はハズレが少ない。
で、本作が面白いかどうかというと、微妙です。癖のある作風で、少女マンガのノリ?。男装女子が主人公ですが素顔丸出しなのに同僚もお友達も気付かない。でも髪を下ろすといきなり正体バレちゃう(笑)。
超美形で頭良くて有能な外交官で何カ国語もペラペラで強い霊力もあってしかも昔の王朝の血を引くという完全無欠ぶりで、さっぱり共感できないヒロインです。
彼女に比べて、登場する男たちは皆そろって情はあるけどなんか頼りない。
ヒロインはガチガチの真面目さんですが、脇役の女性陣の方がパワフルでハッチャケていて楽しいです(こちらのノリの方がこの作者の本領なのだと思います)。
しかし、最終章「王国を抱いて翔べ」は胸が痛みます。国の存立を守ろうと、ヒロインたちは清国や薩摩藩やペリー提督と渡り合ってきたのに、怒涛のごとく、琉球は日本のものにされてしまうのです。文庫本四冊に渡って描かれてきた愛国の心が、独自の文化が、踏みにじられる。
ある登場人物がこんな風に言います。百年後、琉球が誇れるように、日本に併合されて良かったと思えるようにして見せる・・・・・・・・・・・
今、中東地域のゴタゴタの根っこに西洋列強の帝国主義があるように。
沖縄をめぐるゴタゴタも、明治以降の日本の帝国主義から発しているのだろうなあ。

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