「おおきく振りかぶって はじまりの冬」2020/08/09 12:33

いろんな業界がオカシナことになってるんだろうけど、今年は春のセンバツも夏の選手権大会も無くなっちゃってお盆休みも(それ以前からも)盛り上がらない。

単行本が33巻まで積み上がってようやく一年生の冬っていう、本当にスローペースな高校野球漫画。この年の主な試合は前の巻で終了したので、今回はゲーム無し。
練習になると、テクニックの説明が難しいのもこの漫画の特徴。戦術説明の複雑さは練習でも試合でも。
そして、メンバーひとりひとりの描写がオイシイ。
三歩進んで二歩下がる的な投手と捕手のチグハグっぷり。
股関節のやらかい三橋。
はまちゃんの中学野球部時代と留年の理由が垣間見えたり。
泉くんの「内容によっては嫌いますけど」…ハッキリキッパリ素晴らしい。
前巻の「勝ちたい気持ち」から、花井くんの「それはいやだ」がいい。
そこからザワザワしてしまう、豪胆なくせに繊細な田島くん。毎度のことながらあらゆる意味で意識高い彼ならば、自室が片付いているのは意外なようで納得。
チーム内が色恋でモメてしまう危険は初めから潰してしまうらしい。
実質的にはほとんどのヤツに関係ないキマリだ。
そこで、ただ一人監督をキマリの対象者に入れる阿部君の合理的思考。

ほーっと漫画読んでたら、ちょっと浮上。

大阪大会2020夏2020/08/10 23:18

今春センバツ出場し損なったチームの救済で、今日から甲子園球場で交流試合が始まりました。今のヘンテコな時世、このイベントを行うために、関係者の方々はさぞかし神経を使っていらっしゃることでしょう。頭が下がります。
全試合決勝戦の扱い。と誰かが言っていましたが、聖地でのこの一試合を今シーズンの集大成として、球児たちは力をぶつけ合い、野球を楽しんでもらいたいです。そして実際に、初日から好ゲームが繰り広げられました。

それにもかかわらず、本日のメインは舞洲の、大阪大会準決勝なのでした。大阪の高校野球ファンが身びいきたっぷりに「実質全国一位決定戦」という、つまりは昨年の全国制覇チームと一昨日の全国制覇チームの対決だ。
日程の都合で決勝戦は行われない(今年は梅雨が長かった)のですが、準決勝でこの両チームの対戦があるんならまあいいかって感じ。
二回に一点先制したのは大阪桐蔭、その裏すぐに履正社が逆転し、その後も着実に加点して行って、前半終了までに9-1と圧倒する。桐蔭ディフェンスに大きなミスがあったわけではなく、攻撃も度々塁を埋めて行ったのですが、履正社の攻守がそれを上回った!
まさかの七回コールドの可能性も出てきたのですが、そこは六回に大阪桐蔭が意地の二打点上げて、試合続行。しかし、その後は追い上げならず。
秋のリベンジを果たした履正社、この勢いを甲子園の星陵戦まで持って行くか。
二桁安打で三点しか取れなかった大阪桐蔭は、このうっぷんを甲子園の東海大相模戦にぶっつけるしかないぞ。平日ゲームだから見られないけど

チャイコフスキー チクルス Ⅱ2020/08/23 23:52

Ⅰは延期になってしまったので、今回の2番と5番が最初の公演になってしまった。Ⅰで演奏される4番は結構好きなんだけど、平日公演になってしまったなあ。

フェスティバルホールの観客席は市松模様。入口のカメラで検温。住所氏名を記載。演奏者は笛・ラッパ系以外マスク着用。
そんな中でも、生演奏聴きたいのさ。
チャイコフスキー2番が”Little Russian”なのは、「小ロシア」ウクライナ民謡を取り入れているそうで、もう少し素朴で可愛らしいのを想像していたのですが、なんか不穏な感じが強い。三十代前半に作曲されたモノを後年改訂したもの。
それに比べて、はっきりと差が出てくる、5番の洗練された美しさに格好よさ。尾高忠明指揮のこの曲は昨年も聴いた。メジャー曲は演奏する側も慣れていて聴く側も聴きどころを心得てくるのはあるかもしれない。
秋に予定されている6番「悲愴」、どうしようかなあ。

「The Public」2020/08/29 16:32

監督・制作・主演がエミリオ・エステベス。
邦題に「図書館の奇跡」って副題がつきますが、言うほどミラクルなお話ではないように思います。むしろ、地味なくらいリアリズムな描き方です。図書館は立派で魅力的だけど、ホームレスたちのお話なので絵面的美しさには欠ける。
図書館あるある理不尽、ホームレスたちの結束、勝手なこと言うマスコミ。司書をやっているスチュアートは、真面目だけど口下手で同情心と押しの弱さで騒動に巻き込まれていく。雄弁で無い分、歌や文学作品からの引用を使うのは、納得できるけどちょっとズルい。
体臭を理由に市民を図書館から追い出すのは人権侵害なのか。凍死するかもしれないホームレスたちが避難場所を要求して図書館に立てこもるのは不法占拠なのか。「公共」の有り方を問う着眼点も、個々のキャラクター造詣も、非暴力なラストも興味深いのですが、何か物足りない。
あるいは、逆に色々詰め込みすぎて散漫になってしまったか。テーマ性よりも、巻き込まれた主人公が貧乏クジで気の毒に思うほうが強く残ってしまう。行政がホームレスたちに避難場所を用意すれば、それだけで解決できるお話なのに、それができない。
メガネをかけて、視界がクリアになる演出。ほんの少し目先を変えるだけで、大事なところは見えるはずなのです。