「手塚治虫のブッダ―赤い砂漠よ!美しく―」2011/07/03 22:41

 この、サブタイトルのセンスは、なんとかならんかったんか…

 苦しみとは痛みのことではない。己の自由にならないこと。不自由なことをどうにかしようとすること。
 結構前に観た映画で、三部作の第一作。
 手塚治虫は中学高校時代に興味深く読んだものです。「火の鳥」とか「アドルフに告ぐ」とか「ブラックジャック」とか。なんか、深いです。生きることの根源を突き詰めていきます。
 映画の冒頭が、自ら火に飛び込んで我が身を食べさせたウサギのエピソードで。
 そのあとは、他を犠牲にして生きていく生き物達の姿です。
 ほとんど二人に接点はないのですが、王子と奴隷、のダブル主人公でお話は進んでいきます。しかし、何が何でもって感じでのし上がっていく奴隷の子の方が、善良だけど悩むばっかりで何にも出来ない王子(後のブッタ)の方がずっと好感持てるんですよねえ。
 そういうストーリー設定だからしょうがないんですが、声優さんのキャスティングの問題でもあるかもしれません。ぶっちゃけ私、堺雅人さん(奴隷の子が大人になってからの声)目当てのところがあって、この人はTVアニメで、声の出演でもお上手だということは分かっていたので安心していたのですが、他は微妙なところもあって。肝心のブッダ、声細すぎるやろ。
 でも、おおむね、よく出来た作品だったと思います。お母さん若すぎるやろ、とかどうしてもチョッパーの声に聞こえるよ、なんてことも思いましたが、やっぱり深いのです、手塚作品は。
 物事にちゃんと表と裏があることを見せて、簡単に善悪に分けない。例えば、毒矢で倒れた将軍を助けようと手を尽くしたことが、「一つの命を救うために幾つの命を犠牲にしたのか」って偉い坊さんに叱られることになったり。
 人間って悲しいですね。
 でも、愛しいですね。

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