「ナミヤ雑貨店の奇蹟」2019/06/30 09:33

東野圭吾原作、毎年のように上映/放送されているので一定以上の集客と期待値と満足度が保たれているのでしょう。しかし無難にまとまっているのだと思うと「劇場まで行かずとも金曜ロウドショウでいいや」となってしまう。

何年か前にちょっと話題になった大学生協の販売員さんによる業務外学生相談お手紙受付を思い出す。同様のことを、雑貨店の店主がやっていた、という設定。当の昔に閉店されたそこに転がり込んできた三人組が、時を越えて相談お手紙受付をすることになってしまったのは、亡き店主の想いと、縁の力としか言いようがない。
「この娘のこと、助けたいな」
このお話の肝は、そこでしょう。
三人組の素性について多くは語られませんが、色々苦い思いをしてきて現在も地に足付けて希望を持って生きている感じではない。現実の苦さを知ってなお、会ったこともない誰かを「助けたい」と思うのは、その誰かもまた、他の誰かを助けるために行動する人だからだ。
この作品の登場人物たちは、みんなそう。
「助けたい」の想いが巡り巡って、自分自身を救う。