「道化師の蝶」2012/03/04 23:32

読書の時間確保のために、通勤電車の中で文庫本を広げることもありますが、十分少々の細切れよりも、図書館で集中して読める方が、やっぱりいいなあ。

 と、言いながら、これ読んでいて、始めのうちは、眠かったー。
 芥川賞採った、もう一作。文章を味わうとかストーリーを楽しむとか哲学を考えるとかしようとせずにただ単に日本語の字面だけを追っていくようにすると、なんとか読めるようになりました。
 読み終わってからの感想は「これ、SFやったんかー」
 作品の特徴の一つが、整合性のなさ。複数の人間の一人称で語られているのですが、なんか各自の語っている内容が、一貫しているようなオカシイような。
 この中で、人の「着想を捕まえる網」というアイテムを使う人物が出てくるのですが、要はこの作品の主人公は他でもない「着想」であるようです。人から人へと飛び移り、卵を産み付け増えていく……それこそが道化師の蝶。
 もう一つの特徴が、手段の「必要性」にこだわっていること。旅行中でしか読めない本が欲しい。という着想から、この小説は始まるのですが、そこから、この作者でなければ、この言語で書かれなければ、という風に広がっていきます。
もちろん、世の中には他のツールで置き換え可能な部分が大半なので、そのこだわりにどういう意味があるのかは一読しただけではサッパリなのですが。

「3月11日のマーラー」2012/03/11 22:51

 音楽番組かと思ったら、ドキュメント番組でした。

 昨年のあの日に、東京はスカイビルの足元で行われた新日本フィルのコンサート。
 何千人も収容可能なホールに、お客さんは100人足らず。
 電車が止まってしまって、何時間も歩いてきた観客。走ってきた演奏者。
 この国に異様な事態が起こっている。
 それは誰もがわかっていて、家族や友人の安否が気がかりだった人も居たことでしょう。
 それでも、コンサートは開かれました。
 指揮者のダニエル・ハーティングさんはイギリス出身。人生初地震があの揺れ。
 しかし、この人はいいことを言いました。
 みんなが不安になっている。そんな時に大切なのは一人にならないこと。自分が一人だと思わないこと。コンサートを開けば、自分も、楽団員も、観客も、共にいることを感じられる。
 曲は、マーラーの交響曲第5番。重苦しい葬式から始まって、最後に明るい希望を見出す。
 異様な緊張感の中で、奇跡的な演奏が行われた(らしい。演奏自体は放送部分的にしか放送されなかった)。
 震災直後のN響の海外公演も、TVの画面越しで聞いただけで、ものすごく迫ってくるものがありました。これも、演奏者は異国にいながら日本の様子が気にならないわけがなく、観客の皆さんも報道によって全員日本の惨状を知っているだけに、尋常でない注目度の中での演奏でした。
 音楽というやつは、人間のメンタルがこんなにも純粋に表れてくるものなのか……

「平清盛」2012/03/17 00:17

 明後日の小川洋子のラジオでも、西行を取り上げてくれるし。
 もうちょっと引っ張って、桜の散るころに出家してくれても良かったんやけど。

 大河ドラマです。視聴率はあんまりよくないのかな?
 私も最初は、清盛があんまりアホな感じなんで、昨年の我儘ヒロインを思い出してちょっと不安だったんですが、それもまあ、マシになってきて。
 文武両道のイケメンと、ずいぶん高評価な設定になってる西行の美学とか。
 新選組の鬼副長がオジャルな感じのお公家さんになってるのに笑いが止まらなかったり。
 どう見ても清盛よりその家臣の方が貫録あるんだけど、上川隆也じゃしょうがないか(いや、今はまだ若いけどそのうち主人公も風格を身に着けてもらわなきゃだけど)とか思ったり。
 結構楽しくドラマを視聴しています。
 中でも素敵なのが、三上博史演じる鳥羽上皇の、愛憎入り乱れて病んだ人間性でしょうか。
 悲劇を負った人物としては崇徳帝にほうがメジャーなはずが、三上博史の悲痛な演技力と存在感に押されてサッパリと印象薄いです(笑)。
 もちろん、待賢門院タマコさんの、異様なキャラクターも光っています。ああいう女にマジになってしまったら、男たちはああなるんだなあ。と、納得。その男が国のトップに立つ人物だと、社会が転変するのだなあ。
 今のところ、野心満々な武家の皆さんよりも、醜く乱れて衰退していく貴族社会にスポットを当てていて、それがなんか新鮮なんですよね、大河ドラマっぽくなくて。
 日曜の夜八時台にそんなドロドロっぷりを放送してくるのってチャレンジャーですねえ。
 平安時代の最後の華が、咲き誇ります。

京都・ワンダーランド2012/03/21 00:12

 流行りの、ご朱印集めも、やってみました。たしかに格好いいけど、一枚三百円てぼったくってるよなあ。

 日曜なのに、小雨が降ったりやんだり。
 ですが、冬の文化財特別公開の最終日だったので、思い切ってお出かけしました。
 一番のお目当てが、妙心寺の三門。三つの煩悩から解脱する門の、急な階段を登れば、極彩色であらわされる極楽浄土の世界。眺めもいいし、ここで何時間でも粘ってあれこれじっくり見ていてもいい。
 と、思ったのですが、せっかくなので他にもいろいろ見て行きました。
 同じ妙心寺の隣華院と、玉鳳院。法堂の雲竜図は特別公開じゃなくても通年公開しているものでしたが、以前拝み損なっていたのでこの機会に。
 それから、同志社大学のそばの相国寺・大光明寺。六本牙の象に乗った普賢菩薩がご本尊なんですが、私のお目当ては伊藤若冲の芭蕉小禽図や水墨画の龍。
 同じ相国寺の法堂でも「鳴き龍」の公開があったのですが、残念ながら、その頃には受付の四時を過ぎてしまって。時間が経つの早いです。
 いつもなら、ここで帰宅の途につくのですが、今回はさらに東山まで行きました。
 今年10周年を迎えた、花灯路。昨年は震災の自粛ムードの中で規模縮小されちゃいましたからねえ。
 雨も止んで、星も出てきて。灯籠も、まあキレイなんですが、それでなくとも、東山界隈は楽しいんですよね。可愛い雑貨屋さんいっぱいで、お菓子も美味しくてかわいくて。いくら歩いても飽きない。
 パンフレットを見れば、夜間のライトアップや特別拝観だけでなくて、八坂神社の舞の奉納やら学生パフォーマンスや、イベントたっぷり。
 ああ、やっぱり、翌日の仕事を気にせずに時間いっぱいたっぷり遊べる土曜日に行っとくんやったなあ。
 楽しいお祭り。東山って、寺社の参道っていうより、大人の和風テーマパークなんですいよねえ。

第84回センバツ、三日目-雨風2012/03/24 22:19

 土曜日だから?
 普通、始球式はその日の第一試合の前だけなのですが、今日は各試合の前に、計三回行われました。投げたのは三人とも、被災地の中学生。
 
 しかし、春一番なのか?堺では風が強いだけでしたが、甲子園球場では雨も結構降って、第三試合目はノーゲームになりました。土曜日で、両アルプスに大応援団が来てたのになあ。昨日も雨で中止になったから、二日も順延です。 
他の二試合にも、影響はあったでしょうねえ。

鳴門2-1洲本
中盤までは、洲本が試合の主導権を握っていたのですが。今年の21世紀枠は、これで三校とも初戦敗退です。
意外なことに、常連のイメージだった鳴門高校、センバツ白星は42年ぶりだとか。
互いのことをよく知っているご近所チーム対決は、両エースによる投げ合い、ノーエラーで四球も0ですが、死球の多さが危なっかしい。締まった投手戦といえなくもないですが、貧打線の印象が。
しかし、10回裏のサヨナラ打は心ふるえました。粘り強く投げ続けた後藤田投手が、チーム三本目の安打を放って出塁。力投のエースを、何としてでもホームに返したい。そんな場面で、よくぞタイムリーを打ってくれました。

作新学院7-3倉敷商
倉敷商のブラバン、「もーもたろさん、ももたろさん」のメロディーは岡山らしいけど、やっぱり応援曲としては長閑すぎる。
そんな倉敷商が三点先取したのですが、足を使ってかき回し、自分たちのペースをさっさと取り戻してあっさり逆転してしまった作新学院。さすが、昨夏4強のメンバーも残っている、実力と経験。
倉敷商も、終盤のエースのピッチングなんかお見事だったんですが、序盤のうちだけしか得点できなかったのが残念。

第84回センバツ、四日目-琵琶湖ブルーにひこにゃんメガホン2012/03/25 23:53

第一試合 光星学院-北照
雪国対決。
とはいえ、光星は秋の明治神宮覇者ですし、序盤に簡単に三得点したものだから「このままワンサイドになるかも」と危惧したのですが。
北照のい大串投手が立ち直って、ゲームが面白くなりました。しかし北照打撃陣は、回が進むにつれいい当たりも出だしたのですが、もう一本が出ず、零封。

第二試合 履正社-地球環境
 帽子の「EARTH」の文字がなんか新鮮。ほとんど学校に行かないことが特徴である通信制高校で、どうやって野球チーム作っているのか疑問でしたが、選手は寮に入って、きちんと練習積んでやってきまし た。
 無失策で、機動力も使って、点の取り方が「三塁打の走者を内野ゴロで」「盗塁で三塁に進んだのを犠牲フライで」と、タイムリーがなくても少ないチャンスを確実にものにするというやり方で。バントがうまく決まらなかったのを除けば、初出場ながら、チームの持ち味出して野球やれたんじゃないでしょうか。
 対する履正社は、「走者が出たら四番打者だろうとバントで進める」「投手3人できっちり3回ずつ」……堅実ともリスキーとも言えるパターン化戦術。昨年4強チームですが、「強豪」というより「強か」なイメージが。
 でも、試合中盤で2点本塁打で勝ち越し、四番打者が二本のタイムリーで三得点とか、ホントに理想的に思い通りに試合を進めていった感じ。

第三試合 愛工大名電-宮崎西
 今年のセンバツは、初出場校に厳しい組み合わせ多いです。強豪伝統校が高い壁になり初勝利を阻む(健康福祉大高崎は天理相手に快勝しましたが、このチームがは春は初出場でも昨夏にいいゲームをしてましたからねえ)。
 進学校でもある宮崎西もまた、神宮大会準優勝校相手に、8失点零封3失策と、いいトコなしでした。
愛工大名電は伝統の走る野球もあり、注目の浜田投手は散発3安打14奪三振無失点無四球と、実力を見せつけました。

第4試合 近江-高崎
 高崎高校ベンチの記録員、学生服に学生帽!古風な……
 面白い野球でした。昨日のノーゲームになった試合も、そう感じましたが。
7-2。中盤点差が開いたのですが、それでも両チームの集中力が切れた様子がなくハツラツとして、攻めても守っても色々魅せてくれて。
初回に高崎が四番のタイムリーで1点先制すると、その裏にすかさず同点にする近江。近江が勝ち越したと思ったら高崎も負けじとすぐに追いつき、しかし近江もすぐに集中打でビッグイニングを作って突き放した。

第84回センバツ、五日目-四点差2012/03/27 00:48

横浜4-0高知
星光学院2-0鳥羽
智弁学園5-2早鞆

 今日も、寒かった。
 試合結果は、だいたい予想どおりでしたが。
 横浜は、ちゃんと四点差を守りきって、柳投手は三安打完封しました。
 ……昨夏の、投手交代失敗して土壇場で四点差ひっくり返されたゲームは、まだ記憶に新しい。
 その相手、智弁学園も一回戦突破しましたし、両チームとも、もう一勝ずつして準々決勝で再戦してくれれば面白いのだけどなあ。

第84回センバツ、六日目-本塁打攻勢2012/03/28 00:46

関東一1-0別府青山
浦和学院2-0三重
大阪桐蔭5-2九州学院

 関東一高相手に別府青山、善戦はしてくれたけどなあ。一回戦が終了して、初出場校で一勝挙げたのは健康福祉大高崎のみ。
 で、春は投手力っていうけど、大阪桐蔭はやっぱり攻撃力。一回戦に続いて本塁打で試合を決めた。四番打者が死球で骨折してリタイヤしてるってのに……
 次の準々決勝では、今日三重を完封した浦和学院と対戦。