「道化師の蝶」2012/03/04 23:32

読書の時間確保のために、通勤電車の中で文庫本を広げることもありますが、十分少々の細切れよりも、図書館で集中して読める方が、やっぱりいいなあ。

 と、言いながら、これ読んでいて、始めのうちは、眠かったー。
 芥川賞採った、もう一作。文章を味わうとかストーリーを楽しむとか哲学を考えるとかしようとせずにただ単に日本語の字面だけを追っていくようにすると、なんとか読めるようになりました。
 読み終わってからの感想は「これ、SFやったんかー」
 作品の特徴の一つが、整合性のなさ。複数の人間の一人称で語られているのですが、なんか各自の語っている内容が、一貫しているようなオカシイような。
 この中で、人の「着想を捕まえる網」というアイテムを使う人物が出てくるのですが、要はこの作品の主人公は他でもない「着想」であるようです。人から人へと飛び移り、卵を産み付け増えていく……それこそが道化師の蝶。
 もう一つの特徴が、手段の「必要性」にこだわっていること。旅行中でしか読めない本が欲しい。という着想から、この小説は始まるのですが、そこから、この作者でなければ、この言語で書かれなければ、という風に広がっていきます。
もちろん、世の中には他のツールで置き換え可能な部分が大半なので、そのこだわりにどういう意味があるのかは一読しただけではサッパリなのですが。