「ジャッジ!」2015/03/02 00:16

 妻夫木君の、たどたどしい英会話に好感。
 土曜プレミアム、13年のコメディ映画。広告会社のダメ社員が、ムチャブリされて国際広告コンテストの審査員をやらされる話。
 思っていたよりずっと面白かったです。秀逸だったのが「ニャーニャー(超美味しい)」の大流行。
 主人公が出国前に先輩社員(リリー・フランキー)から伝授されたワケの分からん教え(カマキリのポーズとか)がちゃんと要所要所で役立っているのが、ご都合主義には違いないのですが、でもコメディは笑わせれば勝ちです。
 最初はホント冴えない感じだったのに、人間は、オタクを名乗ると自由に開き直れるものなのだなあ。
 でも開き直りハッタリだけではなくて、彼の真っ正直でアホみたいに人の好い所が周囲の人間を動かしていったことも確か。
 国際的な舞台で大切なのは、ハッタリと、誠実さ。
 この二本立てがキッチリ描かれた、良くできた脚本だったと思います。

「アメリカン・スナイパー」2015/03/07 17:02

 重厚な戦車、その行く先に女と子供。女が子供に何か手渡す。対戦車手榴弾。そこで主人公が銃を構えるのですが、「子供撃つの嫌だなあ、でも撃たなきゃ味方がやられちゃう」という心の揺らぎが、緊張感が、伝わってくる。
 テキサス育ちのカウボーイが「国を守りたい」と海兵隊へ志願。スパルタ訓練、そして9.11、イラク戦争へ。伝説的な活躍をみせるも、帰国後PTSDに苦しむ。そこから回復していって家族と平和に過ごしていたのに、精神を患った帰還兵士によって銃殺されてしまったのが2013年のこと。
 イーストウッドの、「実話を元にしました系」なので、期待していたし、冒頭の子供を撃つシーンはとても良かったと思ったのですが。
 わりと普通に戦争もので、派手なのにどうしてか、眠たくなる。
 イラクからの帰還兵の心の病については描写が薄くって、あんまり深刻な問題な感じがしませんでした。
 実在した「合衆国の英雄」のイメージを、暗くしてしまうことを恐れたのかなあ。

「悼む人」2015/03/12 00:15

 見ず知らずの人々の「死を悼む」旅を続ける主人公。当の本人を含めて、誰もその行為の意味を理解できない。しかし、その切実さがひしひしと伝わってきます。
 意味不明なのに感動できるという、傑作です。
 役者陣も完璧でした。主演の高良健吾君、真摯な感じが非常によかった。そして井浦新の幽霊が、気持ち悪さ大爆発(褒め言葉)!大竹しのぶ、椎名桔平、石田ゆり子、みんないい芝居で印象的でした。
 役者の演技力と美しい演出と繊細な脚本がばっちりかみ合って、人の心の機微を優しく描き出してくれました。

もうすぐ春が2015/03/15 00:06

 ミズノも講談社もヤル気だ。夏の大会が終わった「ダイヤのA」が四月からも放送続行で、しかも放送時間を夕方に変更。最初の頃は非常にテンポ悪かったアニメなのに、固定のファンが付いているのだなあ。
 そして、スポーツものはやはり一定の盛り上がりと感動を作り上げるから。
 リアル世界でも、センバツの抽選が始まって、いよいよ春が始まります。トーナメント表を見つつ、大会三日目はお休みを取ろうと思案。ただ、お天気予報を見ないと正確な日付を決められないのが難儀なところ。
 スポーツマンというやつにドリームを抱いています。実際はそんなキレイなモノばかりじゃないのは分かっているけど。
 試合そのものは、100%リアルな、筋書きのないドラマです。
 リアルとドリームの混じりあった境界線の、心地よさ。
年を重ねていくと、以前ほど熱心に浸れなくなってきました。
 それでも、ドリームばかりでは物足りなくなってくる、リアルばかりでは味気なくなってくる。
 そんな人間には、年に二回くらいこんな祭りがあるくらいが、ちょうど良いサイクルなのだと思っています。

「サマルカンド年代記」2015/03/16 00:20

 オマル・ハイヤーム。セルジューク・トルコ時代の詩人、数学者、天文学者。酒と人生と世界の美を愛した、イスラム史上屈指の文化人。
 アラムートの暗殺教団。まるでラノベの設定みたいなんですが、実在したイスラム教シーアの一派で、その名の通り、自分たちと対立する者たちに刺客を差し向けて抹殺した恐怖の軍団。・・・・それでも、爆発物の無い時代なので犠牲になるのは特定のターゲットのみで、現代の無差別テロに比べればまだ節度がある方だと思ってしまうんですが。
モンゴル軍によって降伏させられるまで独特の地位を築いていたと、高校のとき授業で聞いた覚えがあります。TVアニメにもなった「Fate/Zero」に出てきたイスラムっぽいのがゾロゾロいる暗殺者集団の元ネタ。
 その教団の創始者・ハサンと、前述のオマルさんが若い頃お友達同士だった、という設定。11世紀イスラム世界の、光と影を描いたのが第一部。
 第二部では、時代が変わり、オマルのルバイヤートに魅せられたアメリカ人ベンジャミン君が、ペルシア(イラン)の立憲革命に首を突っ込むことになるのですが、ここから、物語はあんまり面白くなくなっていきます。
 オリエンタルの情緒は過去のものとなり、世界情勢がややこしい時代。その辺の知識が自分に乏しく、本書もジックリ詳しく歴史を解説してくれているワケではないのが原因かなあ。
 ただ、日本のことも、チラッとだけ会話の中にでてきます。
 生まれたばかりのペルシア議会が英露からの無茶な要求を受けてニッチもサッチも行かなくなった時に「ミカドにペルシア王位を譲ってはどうか」・・・・・なんやそれ!日露戦争から数年後のことなんだと年表を見るのですが、もちろん本気でそんな打診があったはずもなく、日本帝国軍がペルシアの保護に派遣されるなんてこともなく、結局芽生え始めたペルシアの近代化は列強の圧力によって潰されてしまったわけです。
 現代にまで続く、中東の混乱。ISを始めとしてイスラム過激派が異様に幅を利かせている昨今なものだから、「元祖イスラム過激派」たるアラムートを取り上げた本書を読んでみたのですが。
 ムスリムのみなさんより、ロシアをはじめとする西洋列強の方がやることエグイ。
 西洋人たちに踏みつけにされてきた歴史が、彼らにはある。
 一方、そんなシガラミの無い日本には、軍隊を派遣するのはアレですが、でもなんか力になれないものか、などと思ったりしました。

「桐島、部活やめるってよ」2015/03/21 11:37

センバツ開幕前に、と思って、映画も話題になった高校生部活群像小説を読んでみました。
しかしこれが、あんまり面白くない。
正直、スクールカーストって概念があまり好きではないのですが、好き嫌いは別として、そういうものがあるのは確かです。だから、「こういうこともあるよね」と理解はできる。頭で理解できるのに、なんか中身がふわふわで。
文章が合わないからかなあ。ポエムですよ。高校生ポエム。今時の高校生の一人称をリアルにやろうと思ったら、あのボキャブラリーでポエムになるものなんかなあ。
しかし、大事なことを何度も言われるとかえって軽くなる気がします。
ところが、巻末に収録された番外編「東原かすみ~14歳」は、ちゃんと面白かったのです。文章はやはりポエムっぽいし、テーマも「周囲が何と言おうと自分が好きなモノは好きでいいじゃないか」って割と普通。でもその分明確で、甘い所もあるけど説得力もありました。
やっぱり、場の空気に流されない「自分」があるキャラの方が、清々しい。

第87回センバツ、開幕、進撃の2015/03/22 00:47

開会式から、TV観戦です。
開幕試合
積極的な守りの姿勢ですが、守りきれない九州学院(熊本)。四回に四球やバッテリーのミスで走者を溜めてしまい、2-1と逆転をゆるす。終盤もヒットによらない走者を出し、長打もゆるして大差がつきました。
校名が長ったらしくなってしまった八戸学院光星ですが、「KOSEI」の常連ユニフォームに恥じない後半の力強さ、9-2で大勝。

第二試合
大阪桐蔭のブラバン演奏に「進撃の巨人」のテーマ曲があったものだから、関西弁変換の漫画を思い出してしまいました。
しかし実際のところ、打撃の迫力、積極的走塁と盗塁、華麗な守備、とホンマ力強い。マウンドの田中投手はなんか小っさくて可愛い感じで、球速はたいしてないのに、凡打の山を軽々と築いていく(「おおふり」の三橋タイプか)。8-0で圧勝。
東海大菅生だって東京大会を制しているのに、相手にならなかった。
二回戦は光星と因縁の対決ですが、大阪桐蔭の進撃をとめられるか。

第三試合
常連チームの常総学院、今大会初アーチで華麗に先制。
しかし最大の勝因は、初出場の米子北が四死球で自滅してくれた感じ。もらった走者をどんどん走らせて伝統の走り勝ち。14-1。

第87回センバツ、三日目、投手戦ようやく2015/03/23 23:42

 甲子園は風ふきっ晒しで結構寒いのでしっかり厚着していたら、出勤時より遅い時間帯の地下鉄は予想外に混んでいて暑くって。
 甲子園駅周辺は、「ダイヤのA」押しと「アルスラーン戦記」押しの二種類で染められていました。
敦賀気比3-0奈良大付属
仙台育英12-0神村学園
浦和学院2-0龍谷大平安

 お休みを取って朝から野球観戦です。
 敦賀気比の平沼投手、投げては一安打無四球完封、打っても二安打一打点と、昨夏の活躍そのままの実力を見せてくれました。チームとしては、打線が昨夏ほどの爆発力が無くって一ケタ安打で3得点中2点が犠飛なのは物足りない気がしましたが。
 奈良大付属の坂口投手が上手に気比打線をかわしていたのが、このゲームを面白い接戦にもちこんでくれました。
 もう一人、注目の投手である仙台育英の佐藤選手なんですが、緒戦は神村学園の失策連鎖自滅がひどすぎて・・・・・
 二回戦の敦賀気比戦に期待です。
 本日のメイン、第三試合は普通に実力のあるチーム同士の投手戦で、投手の制球も良くバックも飛球でもゴロでも軽快にサバいて観ていて安心感がありました。
 打つ方は淡泊で、浦和学院は再三ノーアウトの走者を出しながら進められず、延長11回表でようやくタイムリーが二本出て、勝利をもぎ取りました。
 平安の高橋投手は昨春優勝のチームらしくお見事なピッチングだったのですが、チームの安打が3本では勝てるもんじゃありません。打撃力を鍛えなおして、もう一度、あの高々と足を上げる投球フォームを夏の甲子園で見せてもらいたいもんです。
 
 そしてセンバツはやっぱり寒いので、「甲子園カレーよりラーメンの方が良かったかな」「ヒザ掛けなども用意するべきだったか」と、本日の反省。

第87回センバツ、八強常連2015/03/29 00:57

 センバツも大詰めです。今年は昨夏に引き続いての出場チームや常連校の名前が多く、八強に入ったのも良く言えば豪華、悪く言えばダークホースなしの順当すぎる結果なのですが。
・大阪桐蔭
今年は野球以外のニュースでも話題になっています。しかしその強さは本物で、二回戦で光星との三度目の対決も軽く勝って三連勝。隙がない。バットを振らずともボール球を見逃すその余裕な態度だけで強そう。
・常総学院
 これも優勝経験のある常連校、今年も堅い守備と走力を見せてくれますが、1、2回戦とも相手投手の自滅に乗じた感じもあるので、今年のチームの真価は、高くて厚い壁、準決勝での大阪桐蔭戦で見せてもらいたい。」
・静岡
 センバツ出場は16年ぶりですが、昨夏の出場メンバーも多く残り、昨秋のチーム打率は出場校の中では一番。打撃力と走力で攻める県立校
・敦賀気比
 私の今年のイチオシ、そろそろ北陸に優勝旗が行ってもいいよなあ。エースで四番の平沼君に注目。ここまではロースコアで勝ってきていますが、昨夏の小気味よい打撃大爆発も待ち望まれます。
・浦和学院
 一昨年の優勝校。一回戦の延長にもつれた接戦を制して、勢いに乗っているところでしょうが、次の対戦相手が・・・
・県岐阜商
 高橋投手が、上手すぎる。今日TVで観戦していましたが、あの球速であのコントロール!対戦相手の近江も、投手王国の面目躍如で三投手それぞれ良い投球で守りも堅かったけど、打ち崩せる感じが全然しませんでした。
・健大高崎
 走る高校野球、の代名詞的チームとなりました。今日も相手のわずかな隙をついた技アリの本盗で決勝点をあげ、昨秋の近畿王者・天理に逆転勝ちです。けっこうランナー刺されてもいますが、それでもいろいろ動くチームは見ていて楽しい。
・東海大四
 ここも昨夏話題なったチームで、例の超山なり投球(笑)も受け継がれていました。優勝を狙う大手さんが居並ぶ中で、「二つ勝つのが目標」と控えめで試合後監督さん男泣きしていましたが、北海道には駒大苫小牧以外でも勝ち進めるチームがある所を見せて欲しい。

明日の準々決勝楽しみなんですが、お天気が心配です。

第87回センバツ、準々決勝、白熱雨中2015/03/31 00:54

 準々決勝の第一、第二試合は、かなり強い雨の降る中。どうせならグラウンドコンディション良好な中でプレイしてもらいたいものですが。
 でも、日曜日の本日、最も面白いと言われる準々決勝を見せてくれて感謝です。

大阪桐蔭5-3常総学院
敦賀気比4-3静岡
浦和学院5-0県岐阜商
東海大四1-0健大高崎

サイレンの鳴り響く中の、初球先制本塁打、主将の一振り。
堅守と、それを狂わせる悪天候。
劣勢を跳ね返す、昨夏王者の意地。
エースで四番の本塁打。
9回二死のドラマ、サヨナラ勝利。
好投手攻略。
一点を争う投手戦は、連戦の中での控え投手の活躍があってこそ。
代打タイムリー。
・・・・・高校野球の面白さ満載の四試合でした。
一日休養日を挟んで、準決勝はどうなるか。
昨夏の再戦、敦賀気比は雪辱なるか。
試合巧者相手に逆転勝ちした大阪桐蔭は、さらに勢いに乗るか。
一昨年の栄光再び、浦和学院がくるか。
初の四強、東海大四が神宮大会の借りを返し、歴史を塗り替えるか。