「悪霊の島」2010/08/31 22:20

 能代高校軟式野球部、全国制覇おめでとうございます。硬式の無念を軟式で晴らした秋田県。




 キングは面白いのですが、話が長いんですよねえ。
 話がなかなか前に進まない、ダラダラ長いけど何処が伏線になっているとも知れないので読み飛ばせないって辺りは京極堂シリーズに通じるものがあります。それに加えて、アメリカンジョークはよく分からん、という文化的問題もあります。
 さらにこの小説(原題「Duma Key」)は、事故で脳に損傷を負った五十代男性の一人称という、非常に共感しづらい思考回路(これがもう、事故シーンの恐怖、そして肉体的にも精神的にも苦痛に満ちて満ちて)に付き合っていかねばならないのです。
 しかしだからと言って読むのを止めてしまうのももったいない。そこを我慢して四分の一ほど読み進めると、もう止まらない。
 脳と腰を損傷し隻腕となった主人公が、療養にやってきたメキシコ湾の小島、デュマ・キー。そこで仲良くなったのが、脳に弾丸が埋まったままの男と、彼が世話をするアルツハイマーの老女。
 主人公は島の貸し別荘で絵を描き始めるのですが、失った右腕の痒みに急かされるように描きまくった絵は、不思議な力を持っていました。肉体の損傷と引き換えに得た魔法、超常的力。
 彼の絵は芸術的にも高い評価を得て、個展は大成功、離婚した奥さんとも仲直りして娘たちにも以前の仕事仲間たちにも祝福されて。
 そんな幸福の絶頂期から、急転直下。島の悪霊が本領発揮。仲良し三人組の一角が失われ、さらに悲劇は続き。
 そして新たに結成された仲良し三人組が、悪霊の親玉を封じるために島の廃屋へと向かう!
 読み終わってみれば、正統派冒険譚。ホラー映画とかにならないかなあ、これ。