「遠くの空に消えた」2010/06/03 08:21

監督は行定勲。
今年観た同監督の「今度は愛妻家」が大変よかったので、昔(2007年9月)書いた感想を引っ張り出してきたのですが。


 夏も終わりのこんな日は、なんか切なく青臭い映画でも観ようと思ったのですが、「遠くの空に消えた」、想像していたのとはちょっと違っていました。
 冒頭の甘ったるいモノローグで「失敗したかな」と引いてしまったのですが、本編は、コメディと言うか、ファンタジーと言うか、思ったより漫画的な空気でした。世界観や、演出が。たとえるなら、赤塚作品の世界のような(警官がいきなり発砲するし)。
 その村の名は「馬酔村」。西部劇に出てくるゴロツキのようなカウボーイハットの男たちが村を牛耳り、酒場の様子や外国人女性や演奏音楽はロシアっぽい。飛行場建設の公団と打ち捨てられた薬局のカエル人形のみがかろうじて日本的ですが。そんな異世界と、そこに暮らすなんか濃い登場人物によって物語は進みます。
 お話の中心は子供たちなのですが、脇を固める大人達のほうが印象的でした。こどものまんま大人になったような生物学者のお父さんや、酒場の女主人もかっこよかったですが。
 満月からゆっくりと舞い降りてくる夏帽子。
 UFOに導かれて月へと飛び立っていく男。
 その幻想的なこと。
 子供たちより、大人達のほうがファンタジーしてるんですよね。
 子供たちは、「信じることが大切」と、UFOと交信しようとし、星を捕まえようとしますが、「・・・・分かっている」と、幻想にすがりきれません。そして彼らは現実を前に、「奇跡は自分たちで起こす」的行動に移ります。
 それと平行して、ファンタジーによって、かろうじて救いを得られる大人たちが描かれるのですよ、切ないですね。
 主題歌はCocco。

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