「挑む浮世絵 国芳から芳年」 ― 2022/04/03 23:45
遅めのお昼ご飯は、京都文化博物館併設の飲食店で血の池に見立てた赤いスープのおうどん。……血の池そのものが登場する作品はなかったのですが。
「猫大好き」国芳先生と「血まみれ」月岡芳年作品を中心とした歌川一門の浮世絵展。同じ題材を師匠作と弟子作並べて展示したり、武者絵の特集では陣太鼓BGMだったり、飲食店のコラボがあったり、そして一番のサービスが、写真撮り放題。それ絵葉書や図録が売れないんじゃないかと思いましたが、スマホで撮影してもあんまりキレイに映らない。
何年か前に歌川国芳展は見に行ったことがあります。サービス精神たっぷりで楽しげで、人斬りシーンを描いていてすら、ぴょーんと首が飛んでいく感じがコミカルっていうか、芝居の舞台っぽい。
その弟子の芳年の方は、真に迫る。西洋的写実主義を導入する時代性の関係もあるでしょうが、ご維新で上野の戦を近くに感じたことも大きいのでしょうね、血の描写。
今回購入した絵葉書は、国芳師匠の擬人化雀の吉原風景と、芳年の「月百景」シリーズのひとつで僧に化けた狐。ミッキーマウスを始めとして、ひとはなぜ、動物の擬人化を好むのだろう。
「猫大好き」国芳先生と「血まみれ」月岡芳年作品を中心とした歌川一門の浮世絵展。同じ題材を師匠作と弟子作並べて展示したり、武者絵の特集では陣太鼓BGMだったり、飲食店のコラボがあったり、そして一番のサービスが、写真撮り放題。それ絵葉書や図録が売れないんじゃないかと思いましたが、スマホで撮影してもあんまりキレイに映らない。
何年か前に歌川国芳展は見に行ったことがあります。サービス精神たっぷりで楽しげで、人斬りシーンを描いていてすら、ぴょーんと首が飛んでいく感じがコミカルっていうか、芝居の舞台っぽい。
その弟子の芳年の方は、真に迫る。西洋的写実主義を導入する時代性の関係もあるでしょうが、ご維新で上野の戦を近くに感じたことも大きいのでしょうね、血の描写。
今回購入した絵葉書は、国芳師匠の擬人化雀の吉原風景と、芳年の「月百景」シリーズのひとつで僧に化けた狐。ミッキーマウスを始めとして、ひとはなぜ、動物の擬人化を好むのだろう。
きらきらピアニスト ― 2022/04/10 23:06
正直に言うと、ベートーヴェンのピアノ協奏曲4番は第二楽章のアンダンテが眠たくって苦手なのです(第三楽章は好き)。
それでも、一度は藤田真央君のピアノを生で聴きたくって。どうせならモーツァルトがよかった(ソニーさんからピアノソナタ全曲集リリースするってさ)とは思ったけど。
当初予定されていた外国人のピアニストさんが入国制限(コロナ!)のため、代替出演。
TVで見たまんま、天然と天才は表裏一体的な雰囲気。不思議なカワイイ魅力の演奏。客席に珍しくお子さんの姿があったのだけど、ピアノ習ってる小学生だろうなあ。
次の曲は、100年ほど時代を進めてエルガーの交響曲二番。一番に比べてウケが悪いのがよく分かるっていうか。管楽器やティンパニが派手に鳴るのに何故か盛り上がらない。
過渡期ってやつなのか。ベートーヴェン以降の19世紀ドイツ系クラシック音楽と20世紀ロシア系との中間で、派手に盛り上がるような哲学的に抑制されたような。
指揮者の尾高忠明さんは英国からエルガーメダルなるものをもらってるんだけど。
けっこう鮮明な寝息が聞こえてきて。ちょっと解釈が難しい曲だ。
それでも、一度は藤田真央君のピアノを生で聴きたくって。どうせならモーツァルトがよかった(ソニーさんからピアノソナタ全曲集リリースするってさ)とは思ったけど。
当初予定されていた外国人のピアニストさんが入国制限(コロナ!)のため、代替出演。
TVで見たまんま、天然と天才は表裏一体的な雰囲気。不思議なカワイイ魅力の演奏。客席に珍しくお子さんの姿があったのだけど、ピアノ習ってる小学生だろうなあ。
次の曲は、100年ほど時代を進めてエルガーの交響曲二番。一番に比べてウケが悪いのがよく分かるっていうか。管楽器やティンパニが派手に鳴るのに何故か盛り上がらない。
過渡期ってやつなのか。ベートーヴェン以降の19世紀ドイツ系クラシック音楽と20世紀ロシア系との中間で、派手に盛り上がるような哲学的に抑制されたような。
指揮者の尾高忠明さんは英国からエルガーメダルなるものをもらってるんだけど。
けっこう鮮明な寝息が聞こえてきて。ちょっと解釈が難しい曲だ。
「隠し剣 孤影抄」 ― 2022/04/23 23:19
藤沢周平の短編集、いくつか読み進めるうちに「アレ」と思ったのが、なんか覚えのある人名が出てくること。どうやら、収録された8編全部あるいは幾つかは、同一の城下で近い年代に繰り広げられた殺人劇のようです。……このご城下、剣術流派と伝えられし秘剣がてんこ盛りか。そして、ここの殿様はさっさと成敗されなきゃダメなタイプやん(病死ってあったけど)。
惨殺されたり自害したり、命を散らすのは下っ端の侍たちと、女たち。剣客小説だけど、意外と恋愛もの。登場する女たちは総じて健気っていうか愛情深く一途っていうか厳しく筋を通すっていうか。非業の死は、刀剣を持ちすぐに死ぬし、殺すし、な侍たちだけではなく、武家の女たちの宿命でもあるようです。
半分くらいが後味の悪いバッドエンド作品、とくにラストの「宿命剣鬼走り」の救いの無さは呪いじみてほとんどホラーでした。
惨殺されたり自害したり、命を散らすのは下っ端の侍たちと、女たち。剣客小説だけど、意外と恋愛もの。登場する女たちは総じて健気っていうか愛情深く一途っていうか厳しく筋を通すっていうか。非業の死は、刀剣を持ちすぐに死ぬし、殺すし、な侍たちだけではなく、武家の女たちの宿命でもあるようです。
半分くらいが後味の悪いバッドエンド作品、とくにラストの「宿命剣鬼走り」の救いの無さは呪いじみてほとんどホラーでした。
「白い牛のバラッド」 ― 2022/04/30 14:17

この土曜から、長めのお休みスタート。
今年はあんまり映画を観に行けていない。見たい作品もポツポツあるのに。この連休には、もう少し映画館に行けるかな。
ババクは確かに被害者と揉めていたし、手を上げることもあった。しかし最後にトドメを刺したのは別の人物だったのです。
そんな事を、彼が死刑に処されてから一年後に発覚したらどんな気持ちになるか。
愛する夫を失い一人で子育てしてきた妻は。
見当違いな人物を殺人者だと信じて恨んで死刑を望んだ被害者遺族は。
嘘の証言を真に受けて殺人罪と死刑を判決してしまった判事は。
けっこうしばらく前に観た、イランの映画。中国の次くらいに死刑執行が多いイラン国内では当局からの規制でほとんど上映されなかったと聞けば、逆に観たくなるもの。
真犯人(実は、この映画では話の中しか登場しない)以外の人たちは決して悪人ってわけじゃないのに、みんながちょっとずつ誤ってしまう。それは人間の感情としては十分理解できて、間違ってはいないハズなのに、それでも間違っていく。
映画を見ている時はよく分からなかったことがあって、あとで知って納得だったのが、あちらでは殺人事件の被害者遺族が殺人犯への罰を死刑か賠償金支払いか選択できるということ。「目には目を」の国らしいっていうか、遺族感情に寄り添ったシステムとも言えますが、これが冤罪となるとヒドイことに。
マリヤム・モッガム(主演も)とベタシュ・サハイナの共同監督・脚本で、シンプルな設定を深みのある心理サスペンスに。しかしイラン映画の特徴で、核心的な部分をぼやかして観客の想像にゆだねてくるのです。あの後彼女たちがどうなったのか、ラストシーンの先が、気になるう。
今年はあんまり映画を観に行けていない。見たい作品もポツポツあるのに。この連休には、もう少し映画館に行けるかな。
ババクは確かに被害者と揉めていたし、手を上げることもあった。しかし最後にトドメを刺したのは別の人物だったのです。
そんな事を、彼が死刑に処されてから一年後に発覚したらどんな気持ちになるか。
愛する夫を失い一人で子育てしてきた妻は。
見当違いな人物を殺人者だと信じて恨んで死刑を望んだ被害者遺族は。
嘘の証言を真に受けて殺人罪と死刑を判決してしまった判事は。
けっこうしばらく前に観た、イランの映画。中国の次くらいに死刑執行が多いイラン国内では当局からの規制でほとんど上映されなかったと聞けば、逆に観たくなるもの。
真犯人(実は、この映画では話の中しか登場しない)以外の人たちは決して悪人ってわけじゃないのに、みんながちょっとずつ誤ってしまう。それは人間の感情としては十分理解できて、間違ってはいないハズなのに、それでも間違っていく。
映画を見ている時はよく分からなかったことがあって、あとで知って納得だったのが、あちらでは殺人事件の被害者遺族が殺人犯への罰を死刑か賠償金支払いか選択できるということ。「目には目を」の国らしいっていうか、遺族感情に寄り添ったシステムとも言えますが、これが冤罪となるとヒドイことに。
マリヤム・モッガム(主演も)とベタシュ・サハイナの共同監督・脚本で、シンプルな設定を深みのある心理サスペンスに。しかしイラン映画の特徴で、核心的な部分をぼやかして観客の想像にゆだねてくるのです。あの後彼女たちがどうなったのか、ラストシーンの先が、気になるう。
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