「MIDWAY」2020/09/22 16:51

「銀河英雄伝説」では主要な決戦が「巨大戦艦の大艦隊ぶつかり合い」なので、SFなのに中世的な感じがした。
現代戦なら、ミサイル基地からの長距離攻撃が花形なのかな。
そして近代戦なら、航空機からの爆撃が最大の戦果を上げていた。
四半世紀くらい前にも同名の映画が作られている(観たことないけど)、近代戦争歴史ジャンルとしてはメジャーな題材なのかな。真珠湾攻撃からミッドウェイ海戦までの半年間の攻防を描く。
戦闘映像の迫力はさすがのハリウッド・クオリティ。ほとんどCGなんだろうけど、大がかりでスクリーン映えする格好さ。……でも、「売り」はそれだけって感じもする。観客を選ぶ作品だろう。
歴史ものはお話の結末自体は知れているので、途中経過をいかに描くかにかかってくる。
日本の空母を沈めたパイロットが一応の主人公に設定されているけど、群像劇っぽい。200分近い長編の中に諜報部、日本本土空爆、戦争映画監督まで詰め込んできた。……ちょっと疲れてくる。
戦闘以外で印象的だったのをいくつか挙げると。
出撃前に、ガムを噛む。お行儀の問題ではなく、昔からそういう文化なんだなあ。
真珠湾で将校さんが下っ端水夫を先に逃がして自分は焼死。偉い人が先に避難するんじゃないんだ、責任者は最後なんだ。
東京が初めて攻撃を受けた日。陛下の身に危険が及ぶことを恐れる軍人さん。非戦闘民一般市民に被害が出ることはどう思っていたのでしょう。
空母が撃沈されて、大海原で帰る場所を失ったゼロ戦パイロット。そのまま海の藻屑となったのか、降伏して一命を取り留めたのか。

大阪クラシック2020、大砲でふっとばせ2020/09/20 00:24

ベートーヴェンの8番は初めて聴く。演奏機会の多くないマイナー曲なだけあって派手なパンチ力には欠けるけど、大植さんの指揮だとこんなチャーミングな演奏になるんだなあ。
しかし、次の曲を考えると、3番の「英雄」でも面白かったような。
チャイコフスキーの序曲「1812年」は、舞台上に大砲が据えられる。コンサートホールで本物を撃てはしない(自衛隊の演奏では空砲ぶっ放すらしい)が、大太鼓をドンと打つのに合わせて白煙を吐く仕組みが愉快。かつて大阪城野外コンサート(復活を望む!!)でも定番だった、お祭向きな曲。ナポレオン(武力)が冬将軍(自然の猛威)に退けられた歴史を描いているので、「大砲でコロナウイルス吹っ飛ばそう」という大植さんのお言葉には根本的な矛盾があるよな気もするけど、そういうのは些末な問題である。
威勢の良いチャイコフスキーから一転して、アンコールはエルガーのニムロッド。しめやかな曲。大植さんは本拠地がドイツなので、日本在住の我々よりは厳しいトコロを見ているのでしょう。
最後は恒例の八木節で、賑やかに締める。

大阪クラシック2020、公会堂でチェロ2020/09/16 00:15

予想はしていましたが、今年の大阪クラシックは有料公演のみ生演奏、無料公演は配信。ウイルス風邪予防のために例年より大幅に規模縮小、ある意味省エネで効率的だけど、やっぱり寂しい。活気、というやつは大規模非効率から生じるものなのだ。

オープニング公演はチケット購入し損ねましたが、でも近藤さんのチェロ公演は行く。万難を排して。
もちろん、この人だってオケもソロも公演できない期間があったわけです。もしかしたらマスク着用で喋ってくれないかな?と思っていたけど、ちゃんと、例年のように曲紹介してくれました。
最初のシューマンは熱くて難しそうで、
次のブラームスはかのクララ・シューマンにささげたピアノ曲のチェロ版で、
メインはベートーヴェン・イヤーでチェロソナタ第4番。第一楽章は普通にゆったりした曲が第二楽章から急にトンガッた、おもしろ曲に。
アンコールはブラームスの子守歌に、無伴奏チェロ。
楽しくって美しいって、素敵だ。

「銀河英雄伝説 黎明編」2020/09/12 17:24

 学生の時以来、改めて読み直したのは、NHKアニメ版でジェジカさんの死にざまが衝撃的だったから。昔読んだときはさほど印象に残っていなかったのに。英雄たちの英雄的活躍も格好良いが、こういう普通の一般人が真面目にまっとうに知恵と勇気を振り絞って動き出す姿の方が胸に迫る。
 映像が付くと艦隊戦闘は映えるし分かり易い(原作の戦闘シーンの簡素さに驚いた)。小説を読み直すにあたっても、キャラクターが多いこのお話で、割とすんなりイメージできる。小説では状況説明が詳細だ。
 今回読んだのは創元SF文庫版、もともとは徳間書店から82年刊行。しかし世に生み出された当初よりも、21世紀の現在、この年齢になってからの方が、この物語をよりリアルに感じられる気がする。
 描かれているのは、停滞し腐敗し衰退する世の中が大変動する、人類社会の定型。それは独裁者の専横や、軍事クーデターや、外部勢力の制圧を受けてのことだったりする。つまり、ヒトラーの誕生とか明治維新とか太平洋戦争敗北とか。災害や疫病は、そのきっかけにはなるかもしれないけれど、東日本大震災やコロナ騒ぎが社会制度そのものを転換させはしない。
 強権による変動。それは現在進行中だったり、これから生じる事態なのかもしれない。でも願わくば、人類社会が知恵をつけて、別の形で停滞や腐敗や衰退を転換させてもらいたい。

「事故物件 怖い間取り」2020/09/06 23:18

芸人が事故物件のお部屋に住むというTV企画は、実際に放送されていたそうです。間取りそのものは怖くも何にもない普通の物件なので、変なサブタイトル。ホラーよりもネタ映画として観るべきだったか。大阪感はたっぷりあります。
次々移り住むお部屋に現れる怪異も、あんまり怖くなくて、事故物件の悪魔(?)との対決はむしろ、笑う。
怖いっていうより、気持ち悪かったのが、物件にまつわる過去の悲劇。そのイメージ映像の方が狂気に満ちていて、悪霊なんてリアル人間の邪悪さの残滓に過ぎないように思いました。

「The Public」2020/08/29 16:32

監督・制作・主演がエミリオ・エステベス。
邦題に「図書館の奇跡」って副題がつきますが、言うほどミラクルなお話ではないように思います。むしろ、地味なくらいリアリズムな描き方です。図書館は立派で魅力的だけど、ホームレスたちのお話なので絵面的美しさには欠ける。
図書館あるある理不尽、ホームレスたちの結束、勝手なこと言うマスコミ。司書をやっているスチュアートは、真面目だけど口下手で同情心と押しの弱さで騒動に巻き込まれていく。雄弁で無い分、歌や文学作品からの引用を使うのは、納得できるけどちょっとズルい。
体臭を理由に市民を図書館から追い出すのは人権侵害なのか。凍死するかもしれないホームレスたちが避難場所を要求して図書館に立てこもるのは不法占拠なのか。「公共」の有り方を問う着眼点も、個々のキャラクター造詣も、非暴力なラストも興味深いのですが、何か物足りない。
あるいは、逆に色々詰め込みすぎて散漫になってしまったか。テーマ性よりも、巻き込まれた主人公が貧乏クジで気の毒に思うほうが強く残ってしまう。行政がホームレスたちに避難場所を用意すれば、それだけで解決できるお話なのに、それができない。
メガネをかけて、視界がクリアになる演出。ほんの少し目先を変えるだけで、大事なところは見えるはずなのです。

チャイコフスキー チクルス Ⅱ2020/08/23 23:52

Ⅰは延期になってしまったので、今回の2番と5番が最初の公演になってしまった。Ⅰで演奏される4番は結構好きなんだけど、平日公演になってしまったなあ。

フェスティバルホールの観客席は市松模様。入口のカメラで検温。住所氏名を記載。演奏者は笛・ラッパ系以外マスク着用。
そんな中でも、生演奏聴きたいのさ。
チャイコフスキー2番が”Little Russian”なのは、「小ロシア」ウクライナ民謡を取り入れているそうで、もう少し素朴で可愛らしいのを想像していたのですが、なんか不穏な感じが強い。三十代前半に作曲されたモノを後年改訂したもの。
それに比べて、はっきりと差が出てくる、5番の洗練された美しさに格好よさ。尾高忠明指揮のこの曲は昨年も聴いた。メジャー曲は演奏する側も慣れていて聴く側も聴きどころを心得てくるのはあるかもしれない。
秋に予定されている6番「悲愴」、どうしようかなあ。

大阪大会2020夏2020/08/10 23:18

今春センバツ出場し損なったチームの救済で、今日から甲子園球場で交流試合が始まりました。今のヘンテコな時世、このイベントを行うために、関係者の方々はさぞかし神経を使っていらっしゃることでしょう。頭が下がります。
全試合決勝戦の扱い。と誰かが言っていましたが、聖地でのこの一試合を今シーズンの集大成として、球児たちは力をぶつけ合い、野球を楽しんでもらいたいです。そして実際に、初日から好ゲームが繰り広げられました。

それにもかかわらず、本日のメインは舞洲の、大阪大会準決勝なのでした。大阪の高校野球ファンが身びいきたっぷりに「実質全国一位決定戦」という、つまりは昨年の全国制覇チームと一昨日の全国制覇チームの対決だ。
日程の都合で決勝戦は行われない(今年は梅雨が長かった)のですが、準決勝でこの両チームの対戦があるんならまあいいかって感じ。
二回に一点先制したのは大阪桐蔭、その裏すぐに履正社が逆転し、その後も着実に加点して行って、前半終了までに9-1と圧倒する。桐蔭ディフェンスに大きなミスがあったわけではなく、攻撃も度々塁を埋めて行ったのですが、履正社の攻守がそれを上回った!
まさかの七回コールドの可能性も出てきたのですが、そこは六回に大阪桐蔭が意地の二打点上げて、試合続行。しかし、その後は追い上げならず。
秋のリベンジを果たした履正社、この勢いを甲子園の星陵戦まで持って行くか。
二桁安打で三点しか取れなかった大阪桐蔭は、このうっぷんを甲子園の東海大相模戦にぶっつけるしかないぞ。平日ゲームだから見られないけど

「おおきく振りかぶって はじまりの冬」2020/08/09 12:33

いろんな業界がオカシナことになってるんだろうけど、今年は春のセンバツも夏の選手権大会も無くなっちゃってお盆休みも(それ以前からも)盛り上がらない。

単行本が33巻まで積み上がってようやく一年生の冬っていう、本当にスローペースな高校野球漫画。この年の主な試合は前の巻で終了したので、今回はゲーム無し。
練習になると、テクニックの説明が難しいのもこの漫画の特徴。戦術説明の複雑さは練習でも試合でも。
そして、メンバーひとりひとりの描写がオイシイ。
三歩進んで二歩下がる的な投手と捕手のチグハグっぷり。
股関節のやらかい三橋。
はまちゃんの中学野球部時代と留年の理由が垣間見えたり。
泉くんの「内容によっては嫌いますけど」…ハッキリキッパリ素晴らしい。
前巻の「勝ちたい気持ち」から、花井くんの「それはいやだ」がいい。
そこからザワザワしてしまう、豪胆なくせに繊細な田島くん。毎度のことながらあらゆる意味で意識高い彼ならば、自室が片付いているのは意外なようで納得。
チーム内が色恋でモメてしまう危険は初めから潰してしまうらしい。
実質的にはほとんどのヤツに関係ないキマリだ。
そこで、ただ一人監督をキマリの対象者に入れる阿部君の合理的思考。

ほーっと漫画読んでたら、ちょっと浮上。

「コンフィデンスマンPJ ロマンス編」2020/07/20 22:43

本編の内容以上に、冒頭の短いお悔み文の方が衝撃的で謎めいていた土曜プレミアム。
まだ若くてイケメンでお仕事も大きいのをこなしていってて。そんな状況でこんなことが起こるなんてねえ。

人気脚本家と豪華俳優陣によるコメディシリーズ、昨年の劇場版。TVドラマ版はポチポチ見ていたので、その時のゲスト(詐欺被害者)の方々がチラチラ出てくるのにちょっと笑ったり。
ゲストといえば、江口洋介の格好良いのに三枚目、な姿が拝める貴重な作品でもあります。
信用詐欺師三人組が中心となって大がかりな仕掛けを行う。大人数動員しすぎて情報漏れ必至じゃないか、とか利益がほとんどないんじゃないか、とかも思っちゃうけど。
……報道で、コロナ対策とか五輪費用とか見聞きしていると、彼らの言う金額が数百億でもあんまり大きく感じられないというオカシナ麻痺感覚もあります。
それでも、今週封切りの新作映画はきっとウケるだろうな、と思います。こういう辛気臭い世相だからこそ、ぱーっと明るく楽しい作品は必要だよね。