「セールスマン」2017/07/23 23:20

何年か前に観た「別離」がとても良かったので、ファルハディ監督の今作も期待して観に行きました。
「別離」に比べるとちょっと分かりにくかったというか。タイトルにもなった劇中劇の「セールスマンの死」もタイトルしか知らなかったし。パンフレット見て初めてあのシーンはこういう意味だったのか理解できた点がチラホラ。
イランの人々がとても誇り高く、その分体面を気にするし辱的な態度を取られることに過敏に反応するということがミソです。
善良で気の良いひと。それが、状況の変化によってイライラトゲトゲした別の顔になるのが、とても自然に上手に描き出されます。
アクシデントがあって、いろんな意味で傷ついた夫婦。
神経質になって、でも忘れたいそっとしておいてほしい妻。
どうしても報復したい夫。
後味の悪さは、「別離」以上のものがありました。

「思い出のマーニー」2017/07/15 01:33

久しぶりにのんびりと金曜ロードショー。


外国の児童文学チックが全開なお話。
としか言えないなあ。序盤に見られた、主人公アンナさんの、繊細さと鬱陶しさがいかにも少女らしい青臭さで結構良いと思いました。そこから、普通に女の子同士の友情につなげて遊んだり喧嘩したりして……でも、ファンタジーにしちゃったからなあ。
周りの大人たちの寛大さが大したものです。夜間に出歩いて度々自力で帰宅できなくなる徘徊少女に、異様に優しい。
そんなこんなで、青臭さがリアルな割に全体的にふわっとした白々しさを感じるのですが。
本当に、恵まれた子だなあって結論でいいのだろうか。
自分が嫌いなそこのお嬢さん、あなた結構愛されてますよ!

「マンチェスター・バイ・ザ・シー」2017/07/01 02:00

慣れした親しんだ地元だからこそ、離れたい。そこに居られない。
アカデミー賞で主演男優と脚本賞とった作品。「マンチェスター・バイ・ザ・シー」までが町の名称で、コンサートテロのあったイギリスのマンチェスターとは別物です。
無愛想で情緒不安定な男が、兄の死をきっかけに故郷へ戻る。折に触れて、友達や家族に囲まれて楽しげだった過去が再生されるのですが。
結局のところ主人公のリーは、悲しみを克服することはできません。観客も、そしておそらくは心臓を患って亡くなった彼のお兄さんも、彼が故郷に戻って昔のように活き活きした生活を取り戻すことを期待してしまうのですが、そうそう簡単に乗り越えることはできません。
主人公の元奥さんは、年月を経て人生の再出発を始めました。
主人公の甥っ子は、父親が亡くなったり母親に受け入れてもらえなかったりと円満な家庭環境とは言い難いのですがそれにもかかわらず部活やらガールフレンドやら高校生活を充実させることを最優先に考えています。
しかしリーは、罪の意識から逃れられません。どうしても。
それでも、いつの日か虚しく苦しい人生から逃れたい、とは思っているのでしょう。
ほんのわずか、0.5歩だけ、前に進んだかな?

「花戦さ」2017/06/26 00:32

どの花が美しいか。
どれも、それぞれに。
なーんて、某アイドルグループの代表曲みたいなマトメになったけど。
期待以上に面白かったです。戦国末期の時代の暗さもあるのですが、ユーモラスな部分も結構あります。「花の中に、仏様がいる」……野村萬斎演じる池坊専好の、人に優しく天真爛漫なキャラクターの魅力が、お話を殺伐とはさせません。
クローズアップを多用した映像で、豪華キャストの熟練の表情(頭踏みつけられる佐藤浩市とか!)の演技とお花の可愛らしさを味わえます。
ベテランはもちろん、中堅も若手も子役も犬に至るまでキャストに文句なし。京都が舞台なので京・大坂人はみんな上方言葉でしゃべるし。
久石譲の音楽も相変わらず良かった。
森下佳子脚本は、冷静に考えれば多少無理のありそうな強引な話の展開でも、キャラクターの魅力と勢いで細かい疑問を吹き飛ばして楽しませてくれます。

「猿の惑星」2017/06/23 07:46

人類の敵は、人類に似ている。
2001年の、ティム・バートン監督バージョン。ご存じ進化した猿の世界を描いた作品ですが、これだけ長い間様々なバリエーションが制作されているのも、この設定に人間の本質に迫る魅力があってこそ。
昔見た初代よりも、猿の顔が人間っぽい。とくに雌猿は頭髪を延ばしたりして。なのに動きは猿っぽいところがあります。そして奴隷扱いの人間たちはちゃんと人語を話していました。ちゃんと文明残っているのになんで猿に負けているんだろう……と思いましたが、言葉がある分ちゃんと「キャラクター」として存在しています。
猿も人間も、どちらもけっこう野蛮です。
終盤はかなり強引でご都合主義だとも思いましたが、あのラストを描きたかったんだなあというのはよく分かりました。
猿が人間を真似たからああなったのか。
そもそも人間も進化した猿も大差なくて当然と言うべきか。

「インデペンデンス・デイ」2017/06/11 23:24

96年米国映画。
宇宙人による地球侵略に対抗!がんばれ地球人!
というマンガか特撮ヒーローモノみたいな設定ですが、結構面白かったです。
圧倒的な破壊力で壊滅する都市。あらゆる攻撃を受け付けない強大な敵。
昨年観た「シン・ゴジラ」を思い出しつつ録画を観ていましたが。
「ゴジラ」との大きな違いはふたつ。
リアリティー度が「ゴジラ」に比べて格段に劣る。その分漫画チックな派手さやワクワク感があります。
もう一つが、キャラクター描写。ちゃんと個々のプライベートや考え方人間性を描いていて感情移入しやすい。大統領自ら戦闘機のパイロットやるとかビックリでしたし、おとーさんのカミカゼ・アタックなんてちょっと感動したし。
いい娯楽作品だと思いました。

「家族はつらいよ」2017/06/04 23:05

引っ越ししてから、映画を観に行きにくくなりました。前は天王寺まで通勤で出ていたし、原付で出掛けたりもしたけれど。
休日の引きこもり具合に、拍車がかかる。


そんなわけで、TV放送されていたやつを録画して視聴。昨年公開されて、現在続編が公開中の作品です。
橋爪功(息子さんが薬物所持って報道されていたけど……しゃれにならないリアル「つらいよ」)演じる口の悪い親父さんが面白い。憎まれ口をたたきながらも周囲から「しょーがないなー」と受け入れられているキャラ。
登場人物みんなどこか「とほほ…」な感じを出しながら、でも明るく楽しげな家族。熟年離婚とか亭主が嫌んなっちゃった妻とか真面目なテーマを、全く深刻さを感じさせない映画に。肩の凝らないほのぼの娯楽作品として、山田洋次監督の意図した通り。
なんでしょうが、なんか物足りない。
コメディだけど笑えるのはツルベエ登場とか不自然に明瞭に歌う寅さんのテーマ曲とかで。
ほのぼのだけど、やっぱり真面目なのでしょう。
寅さん的な、愛すべき出鱈目さがもうあと一押し欲しい。

「La La Land」2017/03/13 00:24

たまに行くカフェバーの姐さんが、「ラストをハッピーエンドと見るか悲しいと見るか、意見が分かれる」って。なるほど、切なさを含んではいますが。
それより、話題作なので観に行ったのですが「それほど面白いかなあ」というのが私の感想。もっと楽しい作品を期待していたのですが、あんまり昂揚感がない。ピアノ演奏はとっても素敵でしたが。
あんまり恋愛映画とかラブ・ストーリーに好むわけではないのですが、そんな私の恋愛モノ歴の中でも最低クラスなロマンチック度だと思いました。
予告で面白いと思った高速道路ダンスシーンも、派手だけどなぜか力強さを感じない(予告で観すぎたせいかもしれませんが)。全体的に、ふわふわ軽くて薄い印象。
夢を追って頑張る人たちを応援します!というメッセージはとてもストレートに理解できるのですが、あまりにもストレートすぎて、かえって感動薄くなる。
恋も夢もファンタジックでドリーミングで、現在就職活動中の身には甘すぎかもしれません。

自分内アカデミー賞20162017/03/04 10:51

昨年も、心に残ったり外れだったり見逃したりした映画が多々ありましたが。
昨日の日本アカデミー賞は、ゴジラが強く、山田洋次枠はもう要らんやろうと思わされました。
最優秀主演男優・女優は作品を観ていないのでピンと来ないのですが、脚本・音楽・話題賞で「君の名は。」なのは納得です。
怪獣とアニメが元気だけど、全体的に邦画は小粒になっている気がします。
では、自分が昨年観た中で面白かったのは……
邦画は、結構迷うのですが、
1「この世界の片隅に」
2「太陽」
3「セトウツミ」
……3位は迷うのですが、良質なコメディも押したくて。次点で「シン・ゴジラ」と「君の名は。」

洋画は
1「心に剣士を」
2「レヴェナント」
3「ライト/オフ」
……こちらも、3位に面白いエンタメ(ホラー)を持ってきたい。次点で「ルーム」。
洋画は子供さんがカワイイ映画が多かったのですが、2位には骨太な男の生と死の物語を。

さて、今年はどんな映画を見られるか。とりあえず次は、話題のミュージカル映画を見る予定。

「相棒 劇場版Ⅳ」2017/02/26 00:42

観に行こうかどうしようか迷っていましたが。
職場の皆さんが面白い、とおっしゃっていて。
宣伝文句は「切ない」でしたが、悲しく可哀想な印象ばかりが強い。
要は、国家は国民を見捨てるよ、というお話(残念な現実)。
残念さを突き付けて、それに対するフォローというか救いが見えなくって悲壮感一辺倒なのです。
脚本も乱暴で(展開が偶然に頼りすぎとか、今時正体不明のUSBを職場パソコンにつなげてしまう迂闊さとか)、結局過去シーンの悲壮さばかりがリアルに残ります。
すっきりしない映画でした。