「また、桜の国で」2023/08/25 22:44

日本では八月ジャーナリズムと言われる戦争特集がメディアによって行われますが、来週から青春アドベンチャーの再放送が始まるのは、9/1のポーランド侵攻に合わせてのことなのでしょう。久々に、聴いてみよう。

ワルシャワ蜂起。教科書の記載一行ほどのその出来事は、結果から見れば、一年もしないうちにヒトラーが倒れるのだから、武器を取るよりじっと耐えていた方が、被害は小さくすんだことでしょう。
ドイツが劣勢となる44年、彼らが立ち上がるまでに、どのようなことがあったのか。ドイツとソ連の間にある、ポーランドの人々の苦難、ユダヤ人たちの尊厳を徹底的にたたきつぶす政策、状況次第で信じられないほど非道になれる人間の業。
須賀しのぶの歴史小説、力作でした。物語はミュンヘン会談後の1939年欧州から始まり、主人公は在ポーランド駐日大使館の書記生。彼らは日本とポーランドの友好を維持するため、戦争を阻止するため、力を尽くすのですが、彼らの祖国は仲良くする相手を間違ってしまう。
過酷な運命の中で、祖国とは何かと問う。戦時下の状況で結ばれた絆に胸が熱くなります。骨太の歴史小説ですが堅苦しさや小難しさを感じさせず、とても読みやすい。
在シベリア・ポーランド孤児というのも、初めて知りました。昨年あたりに支援事業100周年で取り上げられたりもしたようですが。本書は平成27~28年頃の発表。
辛く重い物語ですが、この悲劇と散る桜のごとき美しさを語りたい伝えたいという著者の想いがひしひしと伝わります。

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