「追想五断章」2024/04/28 22:23

過去の事件を追想する、五つのリドルストーリーを追う物語。
米澤穂信の小説は皮肉をまぶしたり、やりきれないしょっぱさが付いてきたりしますが、これは特に景気が悪い。依頼を受けて捜索するのが、不景気で大学を休学せざるを得なかった若者で、人生の方向を見いだせないままで終わってしまう。
結末の伏せられた、リドルストーリーを中心とした物語らしい、とも言えます。
諦念が漂う作中で、それでも諦められない、しがみつきたい、すがりつきたいものは何か。
沈黙を選んだ男は、五つの物語によって、何を語ろうとしたのか。
未来の結末は分からない。
せめて、過去の真相を明らかに。

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