「天使と悪魔」2011/02/28 13:55

 書店の観光書コーナーに置いておきたい。
 文庫本で上中下巻、いずれにもカラーの写真がついていて、読む前にじっくり見てしまうと本書のネタバレになってしまうのですが、写真に続いて掲載されるローマ市街地図と合わせて読むと楽しいです。イタリア行きたい。
 映画の方は観ていません。「ダ・ヴィンチ・コード」もそうでしたが、映画化には向かない原作じゃないでしょうか、中身が濃すぎて。
 読み始めてすぐに「ダ・ヴィンチ・コード」より面白い、と思いましたが、読み終わったら「ダ・ヴィンチ・コード」より断然面白い、に評価はアップしました。
 物語の導入は最新の科学技術のお披露目から始まっていて、私には小難しいことは分からないのですが、でもそういうのってSFちっくでわくわくしてきます。
 そこから一転、物語は中世に生まれた秘密結社、そしてカトリックの総本山へと移っていくのです。
 おなじみの主人公、宗教象徴学者のラングドンさんは今回もがんばっていました。でもあんな状況で生存可能なのは、ギャグ漫画かインディー・ジョーンズくらいでしょう。
 個人的にツボだったのが、ノースリーブのシャツにショートパンツなイタリア系物理学者のお嬢さん。アウトドア派健康美な理系女性から反物質やらビックバンやら講釈されるって、なんかいいなあ。
 しかし、本書の真の主人公はローマ教会のカメルレンゴでした。いろんな意味で、彼は飛びぬけていました。
 ご都合主義過ぎる点もありましたが、本書のテーマは明快にして真面目なもの、「科学と宗教」です。科学の発展は目覚しく、それを扱う人間は未熟なままな。
 しかし自然科学と人文科学は、対極にいながら相互作用してこの世界に存在している。